昨年の臨時国会では、自公政権の強行採決により「特定秘密保護法案」が可決した。しかし1月24日に召集される通常国会で、民主・共産両党は「特定秘密保護法」の廃止法案を提出する予定だ。

 そうしたなか21日、参議院議員会館で「秘密保護法と民主主義の危機」と題した院内集会が開催された。主催は「秘密保護法を考える市民の会」。

 「この法律(特定秘密保護法)は、これで終わったわけではない」
 山下幸夫・弁護士は、特定秘密保護法が日本版NSC(国家安全保障会議)とセットであり、「アメリカの為に日本がいつでも戦争できるようになること」が目的と指摘。そのため安倍政権は今年4月、集団的自衛権を認める閣議決定をするつもりだと訴えた。

 さらに特定秘密保護法に関して様々な法律が作られるという。
 「具体的に(特定秘密保護法違反の)犯罪として立件するには証拠をとらなければいけない。特別教唆などを証明するには何を話していたかなどの状況を聞くしかない。そのために会話盗聴、室内盗聴などが行われる」

 実際に、取り調べの可視化を議論している法制審議会では、一部の犯罪のみに認められていた「通信傍受」の対象犯罪拡大が検討されている。そこに特定秘密保護法も含まれる可能性が高いという。

 「特定秘密保護法だけでなく通信傍受法の改悪、共謀罪などが次々付け足されていく。それが混ざって運用されるなかで平成の治安維持法として機能する。戦争に反対する市民を弾圧する手段として考えている」

 足立昌勝・関東学院大学法学部教授は、「民主主義は民(たみ)が主(あるじ)。国は私たちに委任されて統治しているに過ぎない。全ての情報は国民に明らかにすべき」と訴える。

 日本では明治32年に軍事機密を保護する「軍機保護法」が制定され、日露戦争などの戦争に向かうたびに秘密は強化された。最終的には国家総動員体制が確立したなかで「国防保安法」が成立。軍事だけでなく、枢密院、衆議院、御前会議の会議録や、外交、経済などが全て秘密となった。

 敗戦によってそうした秘密保護法は廃止されたが、2001年の自衛隊法改正によって防衛秘密の概念と処罰規定が作られた。それは今回の特定秘密保護法の防衛に関する規定と全く同じだという。

 「日本国憲法のどこに軍隊を持てると書いてあるのですか。昔の戦争の反省から生まれた前文がある。その立場から言えば防衛秘密はあってはいけない」

 海渡雄一・弁護士は、1月24日の国会開会日にあわせて行われる秘密保護法廃止の国会包囲行動を訴えた。(「秘密保護法」廃止へ!実行委員会のHP http://www.himituho.com/

 さらに政府が主張する3つの第三者機関は権限がないか、官僚で構成されており「独立性を持った組織は皆無」と指摘。特定秘密保護法の最大の目的は、公安警察の権限拡大にあるのではないかと推測した。

 昨年、週刊現代(12月18日号)で「官邸のアイヒマンと呼ばれる男」と題するスクープ記事が掲載された。これは警察庁警備局警備課長などを歴任し、公安警察のトップであった北村滋・内閣情報官のこと。安倍首相が特定秘密保護法案で第三者機関の設置を提言したのに対し、それを骨抜きにした張本人とされている。

 「この法律(特定秘密保護法)の対象としてテロ対策、スパイ防止に関わる情報が秘密になるとされている。これは公安警察、公安調査庁の情報を特定秘密にすること。これから公安警察が秘密保護法の所管をする役所になるということ。国民のなかで秘密を洩らす人がいないか監視する。その監視する組織の活動を秘密にする。それがこの法律の施行で最も重要な点ではないか」

 最後に海渡弁護士は、エティエンヌ・ド・ラ・ボエシの『自発的隷従論』の一節を紹介し、次のように呼びかけた。

「どんな圧政でもそれを市民が支えているからこそ続いている。今まだ5割ぐらいの市民が安倍政権を支持している。この状態を変えなければいけない。日本の民主主義、表現の自由に対する危機をもたらすこの法律に対してはNOを叫び続けなければいけない」

 (温井立央)

 

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