東京大学アイソトープ総合センター長の児玉龍彦氏が4月18日、「改めて内部被ばく問題を考える」と題して都内で講演を行った。児玉氏は2011年7月に衆議院厚生労働委員会で国の原発事故対応を厳しく批判したことで知られているが、現在は福島県南相馬市での除染活動にも関わっている。

 今回の講演会を主催したのは、有機食材宅配サービスを行う「大地を守る会」。同社の放射能連続講座として開催された。

 講演は内部被ばくの問題と除染がテーマ。最初に児玉氏は「東京大学という組織が原発事故と無関係ではなく、原発を推進したり、絶対に安全だということを言ってきた。その意味ですごく責任のある立場ではないか」と語り、テレビに出て権威で一つの結論を強制するような専門家は「東京大学の主要な研究者ではない」とした。

 今回の東電福島原発事故はチェルノブイリと比較して放出された放射性物質が少ないとされている。しかし「人為的にベントという格好で排出された放射性物質が歴史上最大規模のベクレル数」であり、その重大性を認識すべきと訴えた。中でも事故初期に大量放出された希ガスや放射性ヨウ素は半減期が短いが、その分危険であるという。

 「崩壊数が多いから、どんどん放射線が出ていくということになります。一番最初のヨウ素が大量に飛散した時は、逃げるしかない」

 キセノンなどの影響を指摘すると「医療用に使われたのだから問題ない」との批判がある。しかし児玉氏は「医療用に使われたものが後に害があるというのが分かったのが、ほとんど放射性物質の歴史」であると、肝臓がんを引き起こした造影剤トロトラストの例をあげた。

 低線量被ばく問題では、チェルノブイリ事故で初めて甲状腺ガンの増加が認識されたことを指摘。さらにゲノム解析によって、放射線を受けた一部の染色体が3つに増えていることが判明したと紹介。パリンドローム(回文的)増殖と呼ばれる遺伝子修復エラーだという。

 「低線量被ばくの時はDNA修復が盛んになるから切れてもいいんだという議論だが逆。DNA修復に使われる酵素は、普通の酵素の100倍エラーが多いことが知られている。大半の修復エラーは、ガンになるなどはっきりした表現系が分からないために認識されていない。(チェルノブイリでは)そういう修復エラーが染色体の7番のそばにあると分かった子どもだけで4000人いた」と、その教訓に学ぶことが重要だとした。

 放射性物質の除染については、高圧洗浄などではなく「環境中に散っている放射性物質を隔離して濃縮して保管していくこと」が本質だとし、素人ではなく専門家がすべきことだと指摘。

 最後に児玉氏は「福島の人は非常に大きな苦難に直面している。何か現地から住民と共に支えることができないのか、避難されている方を応援することがもっと大きな力でできないかと考えること。自分の子どもさんを心配されるのと同じように福島のことをみんなで考えることが大事」と参加者に呼びかけた。

 (編集部・温井)

 

5 Responses to 児玉龍彦氏・講演会 原発事故から2年経った今改めて内部被ばくを考える

  1. [...] ry for System Biology and Medicine, RCAST, University of Tokyo, who warns convincingly that “Two Years After the Nuclear Accident, We Must Now Contemplate the Internal Irradiation,” Actio, May, 28: http://actio.gr.jp/2013/05/28103038.html [...]

  2. [...] Laboratory for System Biology and Medicine, RCAST, University of Tokyo, who warns convincingly that “Two Years After the Nuclear Accident, We Must Now Contemplate the Internal Irradiation,” Actio, May, 28: http://actio.gr.jp/2013/05/28103038.html [...]

  3. [...] Laboratory for System Biology and Medicine, RCAST, University of Tokyo, who warns convincingly that “Two Years After the Nuclear Accident, We Must Now Contemplate the Internal Irradiation,” Actio, May, 28: http://actio.gr.jp/2013/05/28103038.html [...]

  4. [...] Laboratory for System Biology and Medicine, RCAST, University of Tokyo, who warns convincingly that “Two Years After the Nuclear Accident, We Must Now Contemplate the Internal Irradiation,” Actio, May, 28:http://actio.gr.jp/2013/05/28103038.html [...]

  5. 河上牧夫 より:

    児玉先生の著作に感動しいます。
     同時に温暖化の原因がCO2効果より遙かに大なる原発冷却にあることを世界に発信してください。
     個体の隷属体である細胞のさらにその隷属機であるgenomが解れば病気が解明されると幼稚な医学やiPS細胞に組織改善を期待する幻想医学の錯覚のもならず、倒錯の例では昨今の地球規模の巨大災害についても申せます。その唯一最大の要因が海水温度の上昇にありますが、世界が思い込むCO2の所作は数%に過ぎず、9割以上が”原発”の為せる技に過ぎません。それが事故や放射能の話種のレベルに限定され、批判者を間引きした”安全委員会”での裁量に委されて、批判漂白された目下430器以上の原発が”破壊のtripple dance”を踊り続けているのも、愚かな奇観に思えてなりません。tripple danceとは, 1) 地球破壊基: 地球環境に対する負荷が無いとの触れこみですが、東大原子力研究所の水戸巌助教授のdataでは100万KWの原発一基当たり,”70トンの海水温を1秒間に7°C上げる’”冷却力でしか、ウラン燃焼から必要なenergyを取り出せないとあります。地球のmagma冷却水である海水を430基で加温し続けられている事になります。両極やアルプスの氷山融解のみならず、海水温上昇のエルニョーニョやラニャーナ現象, 大気保水の異常増加による深層災害や, 季節風による地表気象の緩衝作用不全を含む地球異変は加速しています。2) DNA損傷基: 原発稼働に伴う許容量以下の放射能汚染は不断増強していますが、今や生物濃縮などを通じて生とし生けるもの全てにDNA破壊の猛威を加速させています。北海道癌センター元総長の西尾氏は戦前の癌死3%から現在の46%の漸次上昇現象は放射能汚染の影響以外では説明出来ないと言い切っております。”clean energy”としての妄想宣伝が完全に破綻しています。3) 経済破綻基: 原発基での燃費レベルの費用計算で”化石燃料に比して格安”という誘惑宣伝とは裏腹に、設営、維持、放射性ゴミの始末, 廃炉費はで途方もない高額な付加コストを要求し、ましてや”もんじゅ”の使用済燃料使用に至っては3000万円/日の冷却用ナトリウムを国民に負担させ、原爆作成能保持のための”究極の国税無駄遣い”を強いています。安倍政権は更に高浜原発もMOXでと、無知蒙昧の愚策を強行させようとしています。お隣の習中国政権は先週、原発をbase energy に位置づけ、愚かにも多数の原発増設を決定しました(現在東シナ海では、中国/韓国で20器作動中で、巨大災害と越前クラゲと大王イカの異常巨大化)。

    河上牧夫              
    勤務先: 聖隷佐倉市民病院病理科:043-486-2120-(3436) / 2270.〒285-8785千葉県佐倉市江原台2-36-2   mkawakami@sis.seirei.or.jp
    研究所Morphologia:〒285-0866千葉県佐倉市 臼井台1350-45:TEL/FAX043-463-7024

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