「慰安婦問題」を考えるドキュメンタリー映画の上映が、12月8日と9日の二日間にわたって都内で開催された。

 主催したシグロの代表・山上徹二郎さんは、政治家が「慰安婦問題」に関してあまりにも事実を無視した発言を行うことが看過できず、緊急開催を決意したという。

 初日は、長年にわたり中国人元「慰安婦」の支援活動を続けている班忠義監督の『ガイサンシーとその姉妹たち』を上映。その後は班監督と「一水会」顧問の鈴木邦男さんとの対談。残念ながら都合でこの日は取材できなかった。

 翌日は、パプア・ニューギニアの「慰安婦問題」を取り上げた関口祐加監督の『戦場の女たち』。制作されたのは23年前で、登場した人物の全員が故人となっている貴重な記録だ。

 監督の関口さんは、日本の大学を卒業後、オーストラリアに留学。そこでニューギニア戦線と慰安婦のことを初めて知り、ショックを受けた。その後7年のフィールドワークを経て映画を完成。本作が初めての監督作品となり、以後映画監督を天職とすることとなった。

 日本軍だけでなく、その後進駐してきたオーストラリア軍にも強姦されたと語る女性。実際に村で生活してきた関口さんだからこそ、語りづらい過酷な証言を拾い上げることができたのだろう。

 映画にはかつての日本軍将校や軍医、看護婦の貴重な証言も記録されている。

 「いったい日本は何を補償するのですか。何も迷惑をかけていない。戦場になったことぐらいですよ」という日本軍将校。慰安婦について「必要悪」と語るかつての看護婦。

 その認識のギャップに驚かされるが、現在はそれよりもはるかに悪い状況だ。上映後の監督を交えたトークで、テレビ・ジャーナリストの金平茂紀さんは「今の日本で慰安婦問題は事実としてあるのになかったことにしようとしている。矮小化してホワイト・ウオッシュしようとしている」と指摘。

 映画には「慰安所規定」を撮影した当時の軍医の証言も記録されている。関口さんは貴重な証拠を託されたとの想いで映画をつくったという。そして「慰安婦問題」と同様に原発事故も「ないことにする」風潮があると訴えた。

 戦争の時から3・11の原発事故まで連綿と続く、日本社会の病理、支配構造が浮かび上がるような上映会だった。

 (編集部・温井)

 

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