福島県甲状腺健康調査をめぐる問題点
東電福島原発事故による被ばく影響について11月23日、東京大学で「甲状腺被曝をめぐる放射能リテラシー―福島原発事故後の子どもの健康をめぐって」が開催された。主催は東京大学大学院教育学研究科影浦ゼミ。
基調講演では、北海道がんセンターの西尾正道さんが、臨床現場から福島県の甲状腺検査に疑問を投げかけた。
まずチェルノブイリで調査を行った山下俊一教授の報告書に記された小児甲状腺がんの特徴を紹介。「半数以上が周辺のリンパ節や肺に転移。普通の甲状腺がんとは全くかけ離れた症状」だという。さらに報告書には「20歳未満で10ミリから100ミリシーベルトの過剰な放射線被ばくをすると発ガンが起こりうるというリスクを否定できない」とあり、東電原発事故後の山下氏の発言とはまったく異なることも明らかになった。
現在行われている福島県の健康調査の「最大の問題は、正確な被曝線量が不明なこと」であり、検査が健康障害が起きないとのスタンスで行なわれていること。しかも通常のがん検査と比べて、精度の低いやり方であると指摘。
超音波検査は、のう胞や結節の有無だけでなく、微小石灰化、形状の不整、結節内の血流の増加、縦横比など様々なファクターを考慮したうえで判断を下すべきもの。しかし実際は、技師が検査し、その静止画像を医師がみて判断を下している可能性があるとした。
「本当は専門医がリアルタイムで甲状腺検査をして、きめ細かにやるのが本筋です」
さらに「所見となる一番のキースライドを渡していない。基本的に被験者(患者)の医療情報のデータは本人のもの。病院のものではない」と、被験者に画像情報を渡さないのは基本的な考え方が間違っていると訴えた。
現在の機械ならその場ですぐにプリンターで印刷したものを渡すことが可能で、今後どこの医療機関で検査しても最初の画像と比較できるという。
今の調査方法には多くの問題点があることを改めて痛感する内容だった。
(編集部)
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