東京高円寺でリサイクル店を営む「素人の乱」の松本哉さんは、数々の画期的なデモや路上イベントを行ってきた。昨年4月10日には地元高円寺で「原発やめろデモ」を主催。原発事故後はじめて1万人を超える人々が参加した。その後も継続し、今年7月1日の新宿デモで6回目となった。なぜデモにこだわるのか、松本さんに聞いた。

プロフィール▶まつもと・はじめ
1974年東京生まれ。現在、「素人の乱」5号店店長。高円寺北中通り商栄会副会長。94年法政大学に入学し「法政の貧乏くささを守る会」結成。05年リサイクルショップ「素人の乱」を高円寺でオープン。「俺のチャリを返せデモ」「PSE反対法デモ」など独自のデモを行う。07年杉並区議選挙落選(1061票獲得)。東電福島原発事故後「原発やめろデモ!!!!」を主催。著書に『貧乏人の逆襲! タダで生きる方法』(筑摩書房)、『素人の乱』(河出書房新社)、共著に『さよなら下流社会』(ポプラ社)など。

<何の反省もなく「日常」に戻る気持ち悪さ>

◆なぜ反原発デモをやろうと?

 原発事故が起きた時は、被災地では多くの被害もあって、日本中がてんやわんやの状態でしたが、2~3週間経った3月下旬頃、急速に「日常」が戻ってきた。今でさえ原発事故は何の解決もしていないのに、あっという間に政治家もマスコミも事態が沈静化しているかのように伝え、テレビのバラエティ番組も再開した。

 この気持ち悪さは、原発事故や津波以上のインパクトがありましたね。日本の一番悪いところが見えた気がした。全部うやむやにして何の反省もせず、元の状態に戻る感じ。「このまま戻ったら、本当におしまいだ」と思ったのが、「原発やめろデモ」のきっかけです。

 震災前までは、変わった店や面白い飲み屋を作ったり、路上でイベントをするなど、いかに人が出会う場所をつくるかを考えていました。人間同士のコミュニケーションが希薄になっているので、人と人がつながる場所をどんどん作っていけば面白いなと。

 それで「家賃タダにしろデモ」や「放置自転車持っていくなデモ」などをしていたわけです。一見するとくだらないかもしれないですが、町を自分たちの手に奪い返す、居場所を自分たちで作るという趣旨がうっすらとあった。その上で自分たちの言いたいことを言うスタンス。そういう意味では「原発やめろデモ」も基本的に一緒です。

 放射能の影響などで東京では、原発問題が自分たちの生活圏に入り込んできた。遠い政治問題とは違ってだいぶ近い感じがしました。加えて自分たちの居場所がなくなるような感覚もあった。

 高円寺で店をはじめて7年ちょっとになりますが、商店街の活性化や地域の人たちと仲良くするなど、人間関係を基本に色々と努力してきました。そこへ放射能が降ってきたわけです。

 東京はまだぎりぎりですが、福島は本当に人が住めないところもある。原発のせいで人が住めなくなるのはとんでもないこと。しかも電力会社や財界の金儲けのためだなんて、これはちょっと文句を言わないといけないなと。

(続きは本誌1329号でお読みください)

 

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