野田首相は大飯原発再稼働にあたって「安全性を確認した」と語ったが、その直下に活断層があると指摘されている。この断層の再調査を訴える変動地形学の専門家・渡辺満久さんに話を聞いた。(聞き手=温井立央)

プロフィール▼渡辺満久(わたなべ・みつひさ)
新潟県生まれ。東洋大学社会学部教授。東京大学 理学系研究科地理学専攻博士課程修了。理学博士。 専門は地形学(変動地形学)。共著に『新編 日本の活断層』(東大出版会)、『都市圏活断層図』(国土地理院)、「活断層地形判読−空中写真による活断層の認定」(古今書院)など

<原子力施設で横行する活断層の値切り>

 どのくらいの規模の活断層がどこにあるかを見極める専門家は、地震学者ではなくて地形学者です。その中でまともに現在の原子力行政に異論を唱えているのは、中田高さんと鈴木康弘さんと私の3人ぐらいしかいません。

 その上で、私の立場をはっきりさせておきたいのですが、私は何が何でも原発を止めろとは思っていません。安全性がまったく担保されていないことが問題だと考えています。

 日本にある原子力施設の中で、心配すべき活断層が近くにないと考えられるのは、私たちが見る限り玄海原発だけです。川内原発は、少し離れた場所に活断層があります。その他のすべての原発は直近に活断層があり、しかもその断層の長さを実際よりも短く評価しています。その結果、想定すべき震度が小さく見積もられていますので安全性に問題があると考えられます。

 このなかには、なんと敷地内に活断層がある原子力施設もあります。心配しているのは、若狭にある4つの原発(敦賀、美浜、もんじゅ、大飯)と静岡の浜岡原発、下北半島の東通原発、六ヶ所村再処理工場です。敦賀、浜岡、東通、六ヶ所は、活断層が確実に原子炉もしくは施設の下にあると考えられます。これらは早急に確認が必要です。

 敷地内に活断層があると何が問題なのか。第一には、活断層によって非常に大きな地震の揺れが起きますが、その大きさが想定されないことです。活断層の長さは地震の規模に関わってきますが、原子力施設設置に際してはやたらと短く見積もられます。

 これを私たちは「値切り」と言っています。活断層の存在そのものが無視されたり、長さが値切られますので、地震動が正しく評価されず、耐震性が欠如する非常に大きな問題となります。

 こうした指摘に対して、「ストレステストで2倍安全裕度をみているから大丈夫だ」とおっしゃる方がいますが、値切りが甚だしい場合には地震の大きさを100分の1ぐらいに過小評価している場合があるので、2倍の裕度ぐらいでは無意味です。さらに活断層の存在そのものを無視しているケースもあるわけですから。

 第二の問題は、活断層による地盤のずれです。これは耐震性とは関係のない被害です。たとえば台湾では活断層の真上にあったマンションが、揺れ自体で倒れなくとも地盤のずれによって破壊されました。

 同じように原子力施設の建屋も耐えられないと思います。原子炉自体は丈夫に作られていても、中の配管が破壊されれば大変な事態になる。断層の上にある建物がずれた時の被害は甚大です。活断層の上にある原子力施設は、そもそも建ててはいけない場所につくられているわけです。

(続きは本誌1328号でご覧ください)

 

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