昨年東日本大震災後の余震で、青森の東通原発と六ヶ所再処理工場は一時外部電源喪失に陥った。特に再処理工場は耐震設計が甘く危険度は高い。しかも直下に巨大な活断層が存在する。原子力安全委員会のワーキンググループで、下北半島の大陸棚外縁活断層の存在を指摘した東京大学・池田安隆准教授に話を聞いた。(聞き手=温井立央)

プロフィール▶いけだ・やすたか
東京大学大学院理学系研究科・地球惑星科学専攻。准教授。理学博士。研究分野は変動地形学・地殻変動学。共著に『活断層とはなにか』『第四紀逆断層アトラス』(東京大学出版会)、『地球のテクトニクスI 堆積学・変動地形学』(共立出版)など。

<日本は地殻変動が激しい造山帯>

◆地震と活断層は密接な関係にありますね

 地球上には地殻変動の少ない安定大陸が広くあり、そこにはほとんど断層がありません。しかし日本列島のような造山帯には断層がたくさんあります。ただし長い歴史を経ている日本列島には、古い断層も新しい断層もあります。その中でも、将来動く可能性のある生きている断層を「活断層」と呼びます。

 断層は繰り返し動きますが、この先全ての断層が動くわけではありません。将来も動く断層かどうかを判断するには、近い過去にどのくらい繰り返し活動してきたかを調べることが必要です。

 まず地形・地質の調査を行い、地形のずれや、地層が切れている場所を探します。そこで断層が見つかれば活動した時代を特定。新しい時代の地層が切れているかどうかなどを検証して証拠を集め、認定します。

 では近い過去とはどのくらい前なのか。通常過去数十万年間に複数回活動していれば活断層とみなし、将来も動くと考えます。原子力の世界では、その期間を12万5千年前以降に限っています。

 年代を恣意的に区切ったのは技術的な問題です。日本の陸上には12万5千年前の色々な地形や堆積物がかなりひろく分布しています。そこでその年代を指標にして、以降の断層活動の有無を判断しやすくしたのです。

<原発の耐震指針見直しはお手盛り>

◆地震の活動期に入ったとも言われます

 柏崎原発が想定を超える地震に襲われたことをきっかけに、耐震指針が改定されました。その新指針に基づいて、日本全国の原発すべての耐震性を見直すバックチェックを行うことになり、原子力安全委員会でワーキンググループ(WG)が立ち上がりました。

 私は初めて原子力安全委員会の委員になり、WGの2と4に振り分けられました。そのWG4で、再処理工場や東通原発のある青森・下北半島の断層を扱いました。

 原子力安全委員会は第三者の審査機関で、我々は審査側の委員です。しかし審査に必要なデータはほとんどすべて電力会社などの事業者が出し、その結果をまとめた結論が報告書として提出されます。それをもとに最終審査機関である原子力安全委員会が審査します。

 電力会社など事業者からの資料が9割以上を占め、原子力安全・保安院からほんのわずかだけデータが出ます。しかし保安院は経済産業省に属しており、原子力政策推進サイドの官庁です。

 要するに資料として上がってくるものは、すべて推進側が作ったもの。研究者が独自に調べた資料を出すことは基本的にありません。これは誰が見てもおかしい話です。

 審査が裁判だとすれば、事業者は被告人の立場です。にも関わらず検証する検察側が何の証拠も出さず、被告側だけが証拠を出し、それをもとに裁判を行なうわけです。

 事業者は調査資料に対してフィルターをかけることができます。都合の悪い資料を出さず、自分たちの説明に都合よく見えるものだけを提出することは十分に可能です。ですから事業者の資料だけで判断することは根本的に間違いなのです。

 本来ならば原子力安全委員会、ないしは経済産業省や文部科学省(のうち旧科学技術庁)から独立した第三者的な機関が独自に調査して審査すべきです。ところが原子力安全委員会は審査機関でありながら、独自に調査をする予算もなければ体制もないのが実態です。

(続きは弊誌1323号でお読みください)

 

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