12月1日、永田町の衆議院第一議員会館大会議室にて「科学者たちの公開討論会 これでいいのか!ダム検証 ~八ッ場ダムを中心として~」が開催された。主催はダム検証のあり方を問う科学者の会。参加者は200名を越えた。

群馬県長野原町に建設予定の八ッ場ダム問題はこの12月に大きな山場を迎える。2年前に民主党がマニフェストとして掲げた「八ッ場ダム中止」は、中止どころか国土交通省の思惑どおりの方向で覆されようとしているのだ。

国土交通省がお膳立てをした「今後の治水対策のあり方に関する有識者会議」の検証結果「中間とりまとめ」が9月に発表されたが、その内容はダムを造ることを是とした、これまでの内容を追認するものでしかなかった。

これに対して良識ある科学者たちが集まり、急遽「科学者の会」を結成。今本博健京都大学名誉教授ら11名が呼びかけ人となり、八ッ場ダムの検証の抜本的なやり直しを求める声明を発表。

11月に「有識者会議」委員に対して、その検証内容が妥当かどうかを公の場で議論しようと公開討論会への出席を要求したが、委員は拒否。科学者の会のみで公開討論会(賛同者120名以上)の開催となった。

今回の討論会では今本博健代表が有識者会議のダム検証に対して、「これまでの治水理念への批判がないまま複数の対策案を検討するという、理念なきダム検証と言わざるを得ない」と批判。

大熊孝新潟大学名誉教授は、過去のカスリーン台風による利根川の氾濫図(昭和44年当時の建設省作成)のウソを指摘。当時、明らかに氾濫していなかった高崎あたりも氾濫したと捏造されており、今回のダム検証はさらにひどくなっているという。これをダムの必要性の根拠にするとはあまりにお粗末だ。

関良基拓殖大学准教授は、「森林の保水力を無視した検証だ。水田のあぜを15㎝かさ上げすれば、八ッ場ダムの治水容量の約40%を確保できる」と、ダムより持続可能で安価な方法を提案した。

嶋津暉之氏(元東京都環境科学研究所)は、「検証では、静岡県の富士川を群馬県まで200キロの導水管をひいて水を補うとの非現実的な代替案と八ッ場ダムの残事業費とを比較している。これではダムが安いとなるのは当たり前。しかも総事業費ではなく残事業費で代替案と比較している。現在は水あまりの時代。水需要の予測が過大すぎる」と指摘。

奥西一夫京都大学名誉教授は地質面での危険性について「八ッ場ダム工事によって代替地など地元住民を危険にさらすことがあってはならない」と発言した。

(新田乙絵)

 

 

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