12月6日、衆院本会議では原発輸出に向けた原子力協定が可決。しかしNHKが11 月に行った世論調査では、原発について「減らすべきだ」と「すべて廃止すべきだ」が70%近くに上った。民意は政治に反映されているのか。市民グループ【みんなで決めよう「原発」国民投票】事務局長の今井一さんに話を聞いた。

プロフィール▼いまい・はじめ
1954年、大阪市生まれ。ジャーナリスト。1981年以降、国内外で実施された住民投票や国民投票の現地取材を重ねる。著書に『住民投票』( 岩波新書)、『「憲法九条」国民投票』(集英社新書)、『「原発」国民投票』(集英社新書)など多数。【みんなで決めよう「原発」国民投票】事務局長。【みんなで決めよう「原発」国民投票】
http://kokumintohyo.com/

<国政選挙は民意を反映していない>

◆なぜ国政選挙ではなく国民投票なのですか

 東京1区を見てもらえれば分かりますが、今の衆議院議員は海江田万里さんと与謝野馨さんです。今度自民党から選挙に出る人も当然、原発推進。つまり東京1区で当選するのは誰であっても間違いなく原発推進派です。

 では東京1区に住んでいる人が圧倒的に原発推進なのかといえば絶対に違うと思います。それは東京都の他の選挙区も同じでしょう。しかし政党で脱原発・反原発をはっきり言っているのは社民党と共産党だけで、小選挙区(選挙区選挙)では、全国で一人か二人当選するぐらいです。

 本来ならば民意が反映されてこそ「間接民主制」といえますが、小選挙区制度は「死票」が多く、民意が全然反映されない。それに選挙は色々な政策のパッケージですから、原発の是非を問うのにふさわしくないのです。

 もう一つは、原発問題は憲法9条に匹敵するような重要な課題だということです。憲法改正については国会議員の10割が賛成しても、その是非は必ず国民投票にかけることになっています。原発問題も、イタリア、スイス、スウェーデンのように国民投票で一人一人の主権者に問うべきです。

 この間の内閣総理大臣の交代を見てください。脱原発の方針を掲げていた菅さんが辞めて、野田さんに替わった途端、原発運転再開・推進になりました。いったい国会でどんな議論があったのか、どんな国民的な議論が行われたのか。原発の是非をめぐって民意が全く反映されないまま、なし崩し的に原発推進に向かっているのは非常に危険です。

 朝日新聞が11月27日の社説で「国民投票支持宣言」をしました。そこに書いてあるとおりで原発の問題はきちんと議論し、絶対に国民投票にかけるべきだと思います。

<民主党は国民投票に問えと訴えていた>

◆国民投票法は憲法改正の是非だけです

 2007年5月、「憲法改正の是非」を決める国民投票法が制定されました。その憲法改正国民投票法の審議の中で、民主党は「憲法改正に限定している」ことを反対理由とし、それ以外の重要な統治機構や生命倫理に関する問題をきちっと国民投票にかけて決めるべきだと主張していました。

 本来ならば我々がお願いするまでもなく、民主党自身が明日にでも法案整備をすべきなのです。しかし政権についた後も、何の具体的進展もないのが現実です。こちらが出した国会質問状に対しても答えてこない。一般的な案件での国民投票のルールづくりを具体的にどう進めているのかと問うているのに、なんら回答がありません。

 そんな中、民主党の政調会長代理の桜井充議員が、「原発国民投票議員連盟」を立ち上げました。彼はTPPの問題が終わったら本格的に動くと言っています。文部科学大臣となった中川正春議員も議員連盟に加わり、一緒に活動しています。

 こうした知性派の議員は分かってくれている。問題は院内で風が吹いていないだけですが、それでも同じ考えを持っている議員がいて議員連盟を立ち上げてくれたことに大変勇気をもらっています。

<諮問型でも結果は簡単にくつがえせない>

◆現行憲法のままでも実現可能でしょうか

 憲法第41条には、「国会は、国権の最高機関であって、国の唯一の立法機関である」とされています。そのため国民投票に従うような法律をつくるには憲法の改正が必要です。しかし法的拘束力のない「諮問型国民投票法」ならば、現行憲法の下でも制定できます。

 「『諮問型』だと結果が尊重されないのでは?」と思うかもしれません。しかし全国で行われた401件の全ての住民投票の結果は、法的拘束力がなくとも名護以外全部遵守されています。

 例えば刈羽村のプルサーマルを巡る住民投票では、反対の意思が示されました。その後の村長選挙や村議選挙ではプルサーマル推進派が勝っています。それでもプルサーマルは導入されていません。

 巻町でも原発予定地の町有地は売却されていない。海山町でも原発はつくられていない。徳島でもダムはつくられていない。法的拘束力がなくても、住民投票、国民投票を行うのは相当な重みがあります。そこで示された結果を簡単にひっくりかえすわけにはいかないのです。

(続きは本誌1322号でお読みください)

 

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