細野豪志原発担当相は、福島第一原発周辺の放射能汚染がれきを福島県外で処分する方針を示し、汚染拡大を懸念する声が高まっている。食品汚染も深刻な問題だ。チェルノブイリや福島などで支援活動に取り組むチェルノブイリ救援・中部理事の河田昌東さんに話を聞いた。(ウクライナ現地の写真は「チェルノブイリ救援・中部」のホームページより転載)

プロフィール▼かわた・まさはる
NPO 法人チェルノブイリ救援・中部理事。秋田県生まれ。芦浜原発反対運動や四日市公害などの社会運動に関わる。現在はチェルノブイリや福島などの原発事故被災地での支援を行う。「遺伝子組み換え情報室」代表。著書に『遺伝子の分子生物学』(訳・化学同人)、『遺伝子組み換えナタネ汚染』(共著・緑風出版)、『チェルノブイリの菜の花畑から』(共著・創森社)など。

<放射能に汚染されたがれきが全国に広がる>

◆ゴミ焼却場でがれきが燃やされようとしています

 放射性物質に汚染されたがれきを全国で処分することは、汚染の拡大になりますので賛成できません。がれき処分には、そのまま埋める方法と焼却処理があります。焼却灰の基準はありますが、燃やす前のがれきに基準はありません。

 ゴミ焼却場で焼却すればセシウムは700度で揮発しますので、煙突から大気中に出ていきます。脱硫装置では取り除くことができませんので、本来ならば特殊なフィルターをつけなければいけない。そのまま焼却すれば周辺の汚染につながり、非常に危険です。

 また埋め立てることにも問題があります。環境省は当初、放射性物質に汚染されたがれきや焼却灰の処分に関して、1キロ当たり8千ベクレル以下であれば一般最終処分場に埋めてもよいとしていました。しかし8月末、セメントで固めることを条件に基準を10万ベクレル以下に引き上げました。さらに9月25日には、10万ベクレルを超える焼却灰の埋立検討方針も出しました。これでは際限なく日本全体を汚染することになります。

 そうした最終処分場からの汚染水が川に流れ込みますと、今福島で起こっている様々な汚染が、レベルは低くても全国で起きる恐れがあります。埋立は絶対に避けなければいけません。

 そもそも環境省や政府がどうして汚染がれきを全国で処分するように方針を出したのか、その理由やいきさつが伝わってきません。マスコミの方はそこをちゃんと追及していただきたいと思います。

 福島第一原発の20㎞圏内のがれきや土壌に関して、環境省は国の責任で処理すると言っています。しかし当然ながら20㎞以遠でも放射性物質で汚染されています。ところがその処理に関しては、各地方自治体が引き受けるよう要求しています。

 汚染されていない被災地の岩手、宮城のがれき処分に関しては、東北を助けたいとの気持ちで多くの地方自治体が名乗りを上げました。しかし今度は汚染したものも引き受けるべきだと政府は言っているのです。

 各地方自治体が受け入れるかどうかは分かりませんが、やはり政府が方針を出した以上、色々な形で自治体にはプレッシャーがかかってきます。一般市民が声を上げないと汚染は全国に広がっていくと思います。

<汚染対策の基本は広めず小さく固めること>

◆各地の下水処理場の汚泥汚染も深刻です

 そうですね、各都道府県の下水処理場で発生している放射能汚泥も心配です。福島県内はもちろん、北海道や宮城、岩手などの東北、栃木、群馬、茨城、千葉、埼玉、東京、神奈川の関東圏、新潟、長野、静岡でも下水処理汚泥から放射性物質が検出されています。

 汚染土壌に雨が降れば、放射性物質は側溝に流れ下水へ流れますし、汚染した食べ物を食べた後の糞便も下水に流れる。それらが最終的に下水処理場で処理され、放射性物質が濃縮した汚泥ができる。さらに脱水、焼却するので高濃度の放射性廃棄物となるわけです。

 最終的に国はこの焼却灰を、発生した都道府県で処分するように求めています。その前提として、先に述べたようにセメントで固めて埋め立てることを認めているのです。また場合によっては、あるレベル以下のものはセメント原料に混ぜてもいいとの通達が出ているようです。こうして汚染された焼却灰の混ざったセメントが、全国の建物や道路に使われることになります。

 今後、色々なルートを通じて生活環境の中に放射性物質が入ってきます。国は意図的かどうかは知りませんが、放射能汚染の全国化はやむを得ないと判断しているように思います。

 汚染が広く薄く広がってゆく。これは思い起こすと1960年代の公害問題と同じです。特に三重県の四日市公害に代表される大気汚染ですが、当初は煙突から出た高濃度の亜硫酸ガスが周辺の住民を苦しめました。問題が表面化するとそれまで約50メートルだった煙突を200メートルの高煙突へと標準化。その結果、局所的な汚染から薄く広範囲に汚染が広がることになりました。

 今は当時の状況とよく似ています。やはり放射能汚染物質は小さく固めて、環境中に流出しないよう処分しなければ非常に危険です。

 それと今回の放射性がれきの問題は、高レベル廃棄物処分とも絡む問題だと思います。福島原発事故以前から国は、廃炉時代に生じる多量の放射性廃棄物の処理を考えていました。あるレベル以下は普通のゴミとして処分する、いわゆる「スソ切り」を行なおうと進めてきた。

 それが今回の事故で一足早く問題となった。勘繰りかもしれませんが、国はチャンスだと考えているかもしれません。原発の新設をやめて廃炉にする方針が出ていますので、その時に備えて地ならしをしているように思えます。

(続きは本誌1320号でお読みください)

 

2 Responses to 広く薄く全国に拡散する放射性物質 チェルノブイリの経験を生かした食品基準・栽培方法を チェルノブイリ救援・中部理事の河田昌東さん

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