エコロジーという言葉は一般的だが、ではディープ・エコロジーと聞くとどんなイメージを持つだろうか。
 筆者は、どこか常人の理解を拒むような、非人間的な印象を感じたものだ。

 しかし読み進めるとそうでないことがわかる。
 エコロジーを端的に表すと「地球にやさしい」や「環境に配慮する」となるが、ディープ・エコロジーの意味するところはヨリ根源的だ。
 それは「人間も生き物の一つであると知る」「内なる自然に目覚める」ということであり、私たちが自然とのつながりを取り戻すことこそが、ディープ・エコロジーの実践となる。

 本書はナマケモノ倶楽部世話人の辻信一氏がスローや平和、ローカルを軸に対談を繰り広げるシリーズ「ゆっくりノートブック」の最新刊。
 今回の対談相手であるアンニャ・ライト女史もまた、ナマケモノ倶楽部の発足に深く関わった一人だ。

 スウェーデンに生まれ、今はオーストラリアで暮らすアンニャはマレーシア、次いでエクアドルの原生林を守るための活動に身を投じた。
 マレーシアでは逮捕・拘束までされたが、いずれの場所でも開発する側の当事者は日本企業だった。
 繁栄を謳歌するニッポンが世界中で繰り広げる自然破壊に、地球の裏側まで行って立ち向かったのがアンニャだ。
 そして森の住人や生き物との交感を通じてインスピレーションを育んだ彼女は、シンガーソングライターの顔も併せ持つ。

 ベジタリアンで、自宅出産を成功させ、自分で家までも建てるアンニャの行動力には舌を巻くばかりだが、それは自然を破壊しつくす人間の業に誠実に向き合った証だ。
 「あなたにも、あなたなりの方法で、ディープ・エコロジーを生きる道がある」と読者に語りかける。

 アンニャ・ライト、辻信一=著
 定価:1200円+税
 発売:大月書店刊

 (斉藤円華:ジャーナリスト)

(本誌1306号掲載)

 

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