生物多様性「じぶん条約」を宣言しよう 水の星の世界会議COP10 広田奈津子
ひろた・なつこ 音楽ドキュメンタリー長編映画「カンタ!ティモール」監督。国際音楽交流「環音」、ブログミーツカンパニー、生物多様性じぶん条約名古屋事務局
何十億年をかけて何度も気候変動を繰り返しながらも、これほど色とりどりの生物が暮らす水の星、地球。
それが近年たった数十年の私たちの行動で、多くの生物種の絶滅が急速に進み、ついには恐竜が絶滅した第5期以来、第6期の絶滅期に入ったとさえ言われています。
これを回避するために、地球の命について話し合うCOP(生物多様性条約締約国会議)という会議があります。
1992年、ブラジル・リオでの地球サミットで呼びかけられた世界最大規模の環境会議です。
その大きな節目になる10回目のCOPが、今年の10月に愛知で開かれます。
一つ前のCOP9は2008年のドイツでした。
191カ国が集まって3週間開かれましたが、環境の会議とはいえ、実際は国益がぶつかり合うお金の話し合いに。
絶滅の危機にあるというのに、すんなり自然破壊から手を引くわけにもいかない経済事情があるのです。
私は会議を傍聴しながら、沈没するかもしれない危機にあってもカジノとダンスパーティが続いていたタイタニック号を思い出しました。
カジノで稼いだ通貨は海に投げ出されたら役に立たないというのに。
しかし国益の正体は私たち大衆でもあります。
もうそろそろ知らないふりをやめて、ひとりひとりが自分の行動を見つめる時が来たように感じます。
<生きものたちとの記憶>
COPに集まる国々の中でも、断トツ遠くの物や命を取り寄せて消費している国、日本。
でも注意深く見れば、日本にこそ豊かな、生き物との絆を見つけることが出来ます。
昭和初期の日本列島を歩いた宮本常一はこう書いています。
「自然は寂しい。しかし人の手が加わるとあたたかくなる」。
水田にはられた水が虫を呼び、虫が鳥を呼び、鳥が種を撒いて裏山の果実も豊かになる。
木を選んで伐り出し、日光が入れば森はすこやかに水を育み、山菜も魚も育つ。
そうした里山の暮らしは、生き物を追いやるのではなく逆に豊かにするものです。
ネズミをとってくれるアオダイショウを白ヘビさまとして鏡餅にするのも、田畑をモグラやネズミから守るキツネをお稲荷さまにするのも、彼らの霊力を敬い共に生きた絆の現れではないでしょうか。
絶滅が進むスピードからしても、デッドラインではないかと思われるここ3、4年。
2012年インドではCOP11が、ブラジルではリオ+20(20年目の地球サミット)が開かれます。重要な決断を次々と下していく数年です。
ひとりひとりがサインを聞き逃さないように、感覚を澄ましておく必要がありそうです。
かつてない危機のおかげで、かつてない規模で人が出会えています。
民族それぞれの、自然との記憶が刺激されれば、新しい暮らし方が見つかるかもしれません。
今は遠ざかっている生きものたちも、私たちの準備が整えばまた友人として隣に来てくれるはず。
そんな光景を眩しく思い描いています。
まずは小さな一歩として是非「生物多様性じぶん条約」に皆さん参加してください。
生物多様性じぶん条約 (http://www.i-cbd.org/)
今、地球全体で生きものたちが次々と姿を消し、生物多様性が危機に瀕しています。
でも国益や企業の利益やら、みんないろんなことを抱えちゃって何も言えなくなっている。
言いやすい小さな個人がどんどん本音を言って、生物多様性条約世界会議「COP10」をもっと後押ししてあげよう。
「生物多様性じぶん条約」は、プライベートな宣言だけど、たくさんの人のいろんな言葉がつながることでパワーアップするおもしろいムーブメント。
これ、まさに多様性!!
やり方は、とっても簡単、とってもシンプル。
自分と地球の条約を、Twitter上で宣言しちゃう。
「国産材木のギターで歌います」「旬のものを食べます」「アマゾンの森のために牛肉はひかえる」
条約を宣言するときの約束事は、ひとつだけ。
それは必ず自分ができること、やってみようと思うことを、できるだけ具体的なかたちで、条約にすること。
宣言するときにはハッシュタグ「 #jibun_joyaku」をつけるのを忘れないでくださいね!このハッシュタグでみんなのじぶん条約がひとつにまとまります。
Twitterはこちら → http://twitter.com/
(本誌2010年10月号掲載)


