7月初め広島・上関へのツアーを現役高校生と共に行いました。

 彼らとの出会いは、今年の4月に毎年恒例で開催される野外イベント「アースデイ東京」。
 会場で目に飛び込んできた『山口県上関の綺麗な海に原発はいらない!』という力強い手書きメッセージに魅かれ、僕も何かメッセージを書こうと立ち寄ったのが始まりです。

 彼らの立ち上げた『発信する子供達』は、現役の高校生が集まって活動する平和活動団体。
 「自分達と自分達の子供が生きていく未来に何を残したいか?」との視点から行動しています。
 地球上で起こる様々な問題に対し真実の情報を発信し、実際に行動を起こしています。

 その時取り組んでいたのは、上関原子力発電所を建てようとしている中国電力に向けてメッセージを集めることでした。
 学校や部活動で忙しい中、あらゆるイベントや講演会に積極的に参加。色々な人に名刺サイズのカードにメッセージを書いてもらっていました。

 大人から幼稚園児まで様々な人に書いてもらった想いの詰まったメッセージ。
 これを中国電力にただ郵送するのではなく、自分達の想いと共に直接受け取ってほしい!!
 そこで高校生のメンバー4人は山口県に向かう事になったのです。

<中国電力との対話>

 7月7日の夜、彼らと共に夜行バスに乗り込みます。12時間後、梅雨の合間の奇跡的に晴れ渡った広島に到着。
 4人のメンバーのうち3人にとっては、初めて訪れた原爆投下の地。すぐに原爆ドームを見に行きました。

 60年以上前に投下された一発の原子力爆弾のせいで今も多くの犠牲者が苦しんでいる広島。
 その傍ら「平和利用」との名目で山口県に原子力発電所が建てられようとしている現実。
 被爆の爪痕や焼け野原の広島の様子を資料館で見た後では、到底『平和利用』なんて言葉はでてきません。

 メンバー一同は、メッセージカードをもって広島県にある中国電力本社に向かいます。
 高校生はしっかりと疑問点を資料にまとめ、電力会社の人に質問を次々ぶつけます。

 しかし「自然を壊さないで!」「責任のとれない原発は止めてください」という高校生の熱い想いと、マニュアルで決められているかのような電力会社の発言はかみ合いません。
 高校生たちの質問を、なんとも曖昧にかわしながら話を進めていきます。
 結局、業務用の心と情熱的な心はぶつかり合う事すらなく時間はすぎていきました。

 面会が終わってメッセージを渡しひとまず外に出ると、彼らから「本当に悔しい!」との思いがにじみ出ているに見えました。
 僕も少なからず同じ気持ちでした。
 しかし私たちの何倍も悔しい想いを20年以上も反対活動の中で感じている祝島の人を想うと少し心が落ち着きました。

<田ノ浦の自然に触れて気づく>

 翌日は、原発建設予定地である上関の田ノ浦に向かいます。
 予定地までの道のりは木が生い茂りジャングルの様。
 ようやく道を抜けるとゆったりとした海が目の前に広がりました。

 その時、僕は体で感じました。
 昨日の電力会社とのやりとりの中で、いつの間にか意識が紙の上での話になっていた事に。
 温排水や希少生物はどうすればいいのか。しかしそれは些細なことだったのです。
 この海を体をはって守っているのは細かい理屈じゃない! 

 データや知識だけでは感じられない確信で祝島の人達は動いている。
 実際に海を見て、シーカヤックに乗って体で感じることでそれが初めて分かりました。
 答えはシンプルでした。

 高校生達も海に感動し、昨日までの悔しさが嘘みたいに遊んでいます。
 「今度は電力会社の人達を連れて、この海でバーベキューをしながらでも子供の未来の話をできたらいいな」。そんなことさえ思いました。

 高校生達と行動した2日間は、本当に純粋な想いを取り戻させてくれました。
 これからも彼等は、この海を心に抱きながら実際にどう未来を変えていくかを模索し行動するでしょう。
 同じ行動をするにしても現地に行った事によってより芯の通った活動に繋がっていくと思います。
 これからも彼等に負けないくらいのシンプルなパワーで活動をしていきたいと思います。

  (米原草太)

 

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