4月11日、群馬県長野原町の八ッ場ダム予定地にて地質専門家を招いてフィールドワークと学習会が行われた。
 主催は八ッ場あしたの会と八ッ場ダムを考える1都5県議会議員の会。
 講師は京都大学名誉教授の奥西一夫氏と元京大防災研究所の中川鮮(あきら)氏。参加者は代替地や地すべり地を見学した。

 現地ではいまだダム関連工事が進められているが、一帯の地質は浅間山噴火でできた不安定な地質で、すでに地すべり地が22か所もある。
 07年には付け替え国道のトンネル工事中に岩盤が崩落し、作業員一名が死亡する事故も起きた。
 現地を見た専門家は「地滑りのデパート」と表現した。

 今回新たに分かったのは湖面一号橋の橋脚予定地に地滑り地があること。
 また川原湯温泉地区の打越代替地は、民間では考えられない超高盛り土で大変危険だとのこと。
 さらに一般的に宅地造成地では、造成後1~2年程度地面をねかし、風雨にさらし安定させるが、それがまったく行われていない。

 また川原畑代替地横の斜面にはアンカーボルトが多数埋め込まれているが、脆い地盤に打ち込んで土砂くずれを食い止められるかは疑問。
 もし大きな土砂崩れが起きれば住宅や道路を直撃することになる。

川原畑地区代替地。斜面の一部の凹みは崩れた跡と思われる

 さらに今年専門家が行った打越代替地ののり面安全計算の結果が明らかになり、国交省の宅地防災マニュアル(平成19年3月29日施行)の安全基準を下回っていることが判明した。

 1985年、町がダム反対から条件付賛成に転換した理由は、代替地で住民の生活が補償されることだった。
 しかしその代替地が安全でないとしたら、「ダム賛成」の合意そのものが成立しなくなるのではないか。

 群馬県議会は昨年2月、国に八ッ場ダム予定地の安全性に関する資料の提出を要求している。
 しかし依然「調査中」として回答がない(上毛新聞5月12日)。
 国交省は一刻も早く、地質の安全性に関する調査結果をすべて明らかにすべきだ。

 新田乙絵