文=日高薫(ジャーナリスト)

 「本件控訴をいずれも棄却する。控訴費用は控訴人らの負担とする」

 これだけ読み上げると裁判官は法廷を後にした。あまりのあっけなさに傍聴席は静まり返ったままだった。

 10月29日、夫の死の責任は動燃(現・独立行政法人日本原子力研究開発機構)にあると損害賠償を求めた「もんじゅ・西村裁判」の控訴審判決が下された。
 地裁に続き高裁でも訴えが退けられた遺族。判決言い渡し後、目を真っ赤にさせた故・西村成生さんの妻トシ子さん(63)の姿があった。僕はかけるべき言葉を見つけることが出来なかった。

<もんじゅ事故で暴かれた動燃の嘘つき体質>

 「もんじゅ・西村裁判」の発端は今から14年前の「もんじゅナトリウム漏れ事故」まで遡る。
 1995年12月8日、福井県敦賀市で試験運転中の高速増殖炉もんじゅでナトリウムが漏れ火災が発生した。
漏れたナトリウムの量は3トン。配管系からの漏出としては過去最大の重大事故だった。

 事故の翌9日、当時の動燃(現・原子力研究開発機構)は現場の様子をビデオ撮影し、その日の18時過ぎ、「16時に撮影された1分間のビデオ」を公開する。
 しかしこれはオリジナルではなかった。事故から3日後の11日、今度はオリジナルとして4分のビデオを公開する。
 しかしこれもオリジナルではなかった。さらに事故から12日後の12月20日、県の立ち入り調査で本当のオリジナルビデオの存在が発覚する。

 この時点で動燃のうそつき体質が大きな批判を浴び、動燃はこの「16時ビデオ」の経緯についての調査を約束する。
12月21日、動燃は社内調査チームを編成。後に控訴人となる西村トシ子さんの夫、当時総務部次長だった成生さん(当時49)はこの調査チームの一員だった。

 実は成生さんが調査チームに入ってからも事態は動いていた。
 22日、科技庁によるもんじゅへの強制立ち入り検査が実施され、今度は事故から約6時間後の「午前2時に撮影されたビデオ」の存在が発覚する。
 この午前2時に撮影されたビデオはその日(9日)のうちに本社に持ち込まれていた。しかし動燃は「16時のビデオより早い撮影時間のものはない」と明言していたのだ。

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西村成生さんの遺影を持つ妻のトシ子さん

 

One Response to 「夫は自殺したのではない。殺されたのだ」動燃社内調査チームで亡くなった西村成生さんの本当の死因は何か?

  1. [...] This post was mentioned on Twitter by yumi and 銀子, Akira Tsukahara. Akira Tsukahara said: 激務→うつ→自殺のパターンでは。 QT @ha_marie: ふむー。殺人?過労死? RT @Actio_edit:(略)動燃社内調査チームで亡 [...]