プロフィール▼しば・れい
1975年東京生まれ。大学卒業後、番組制作会社を経て、2002年春から環境、平和、人権をテーマにフリーランスジャーナリストとして活動。2003年のイラク戦争では、3月22日から4月6日まで、バグダッド南部のドーラ浄水場に「人間の盾」として滞在しながら民間人の空爆被害を取材。同年6月のイラク取材では、同国中西部ラマディにて米軍に不当拘束され、捕虜収容所に8日間拘禁されるなど、一貫してイラク戦争報道に力を入れてきた。

 もうじきイラク戦争開戦から7年になる。
 報道も大幅に減り、人々の関心も薄れてはいるが、現地の情況は今なお深刻だ。

 特に、この間の戦乱から逃れてイラク国内・国外で避難生活を送る人々は400~450万人にものぼると言われる。
 ざっとイラク人の6人に1人が我が家を追われ、同じく450万人が親を失った子どもなのだ。

 この戦争で殺されたイラク人が何人なのかは、ちゃんとした調査すらされていない。
 WHO(世界保健機構)の推計では15万人、ジョンズ・ホプキンス大学の推計では最大で65万5000人、米シンクタンクや英調査会社のように100万人以上という推計もある。

 確かなことは、開戦の根拠とされた「イラクの大量破壊兵器保有疑惑」「フセイン政権とアルカイダとの関係」といった情報が完全に誤りで、言わばいい加減なガセネタのために膨大な数のイラク人が犬死させられたということだ。

<政府の嘘を垂れ流したマスメディア>

 戦争に情報操作や煽動はつきものだが、その質・規模においてイラク戦争は近年では最もマスメディアが戦争に加担した事例なのではないかと感じる。
 中でも酷かったのは、米国の「リベラルな新聞」(私は異論があるけども)の代表格とされるニューヨークタイムズ紙の報道だ。

 02年9月8日付けの同紙は「イラクがウランの濃縮技術に使うアルミ管を入手しようとしていた」とトップで報じた。
 米政府高官はこの報道を受けて、イラクの脅威を強調したのだが、実は同紙のネタ元が当の米高官だったのだ。
 つまり、米政府によるマッチポンプだったのである。

 日本のマスコミの報道にも疑問を感じざる得ないものが少なくなかった。
 開戦前後に露骨な戦争支持の社説を連発した読売・産経の両紙は論外だが、米国や日本政府当局の情報を検証もせず、たれ流すということが、日本のマスコミに(いつものように)多かれ少なかれ観られた。

(続きは本誌2010年4月号でご覧ください)

 

 

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