千葉市でフリースクールを主宰する古山明男さんは、長年に渡り不登校や引きこもりの生徒と向き合ってきた。その経験とアメリカやヨーロッパの教育制度の視察から、教育におけるセーフティネットの必要性を訴える古山さんに聞いた。
(写真提供:古山明男)

 
古山明男さん

<アメリカに不登校は存在しない>

◆日本の教育制度は機能不全です

 日本の教育は、未だに明治以来の官製教育を続けています。一人一人の子どもの状況に応じた教育を可能にするシステムが整っていません。

 日本の教育は高度経済成長を支えました。しかし、日本教育はそれに自惚れてしまった。確かに70年代、80年代ぐらいまではプラス面が大きかった。しかし、欧米ではこの時期以降大きく教育が変化します。子ども一人一人の個性や状況に合わせた教育が発達しました。日本はすでに一周遅れです。

 こんなことを言うと信じてもらえないかもしれませんが、アメリカには不登校が存在しません。もちろん、アメリカには学校に行かない子どもがたくさんいます。学校嫌いの子どもも多い。いじめも存在します。しかし不登校はありません。

 なぜかと言うと、アメリカではホームスクールが認められているからです。すべての州で合法です。

 アメリカでも子どもがどうも学校に行きたがらないとなると、当然親は慌てます。しかしホームスクール組織もフリースクールもたくさんあります。自由教育系、学力系、宗教系、たくさんあります。そういうところが、「ご近所にこういう仲間がいますよ」などと相談に乗ってくれる。勉強が気になるなら、教材会社もちゃんと教科書のセットを用意して販売している。地域活動や、ボランティア活動の輪が発達していて、そこに子ども達を受け入れてくれる。

 ですから学校に行かなくても子どもたちは追い詰められない。日陰者にはならないのです。学校に行かないから「駄目な奴」とレッテルを貼られるのではなく、「別な教育を受ける人たち」になる。卒業証書もちゃんと出ます。

 さらにアメリカの場合には、コミュニティカレッジというものが存在します。これは各市が運営していて、高校生以上の人が希望すれば、義務教育課程の再履修がタダか、タダ同然で受けられます。アメリカでホームスクールをする人たちは、子どもが勉強に向かわなくても「あ、コミュニティカレッジがあるから大丈夫だ」って安心していられます。

 そもそも世界的に見れば不登校は東アジア特有の現象です。もともと儒教タイプの詰め込み教育の伝統がある社会で、官僚統制で運営していますから、「ついてこれないやつの責任だ」になってしまう。そこに、近代化により個人意識が発達してくると不登校が生じます。この典型が日本と韓国です。

 東アジアでも、中国では少ない。日本の昭和30年代と同じで、農村社会的ながまん強さと経済成長の最中にありますから、学校にしがみつくわけです。

★続きは『Actio』1294号(2009年8月1日発行)で!

ふるやま・あきお
1949年千葉市生まれ。京都大学理学部卒業。出版社勤務の後、私塾、フリースクールで補習、受験、自主性涵養、不登校児童生徒援助、教育相談など、地域のニーズに応じた教育活動を展開。その一方で古山教育研究所を主宰し、イギリス、アメリカ、オランダ、フィンランドなどの教育事情を視察しながら日本の教育制度研究に尽力。著書は『変えよう!日本の学校システム―教育に競争はいらない』(平凡社)。

 

 

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