神奈川県警の冤罪捜査が暴かれた 野本陽吾(河内国賠訴訟を支える会)
5月27日、横浜地方裁判所で河内誠国家賠償訴訟・第8回公判が開かれた。
河内誠さんは反戦運動で知り合った仲間2人と共同で、不動産仲介業者も了解のうえ賃貸アパートに住んでいたところ、2007年1月「住宅を極左暴力集団のアジトとして使用していた」として詐欺容疑で逮捕・勾留された。
07年末、河内さんは不当な刑事捜査による損害の国家賠償を求め、国家賠償裁判を起こした。
これまでの公判で河内さん側は、容疑の根拠となった家主による被害届などの資料提出を求めてきた。しかし被告である神奈川県警および検察庁は、裁判所の提出命令さえ無視し、資料を隠したままだった。かわりに当時の捜査責任者を証人として出廷させることになり、ようやく証人尋問が実現した。
紺のスーツに身を固め、硬い表情で出廷してきたのは、神奈川県警・公安第3課(当時の課長補佐)佐藤道男氏。河内さんが所属していたブントが20年近く前に関わったゲリラ事件については、暗記している年月日をスラスラ述べる。
しかし河内さん側の弁護士が今回の捜査について具体的な話を聴こうとすると、とたんに「捜査の手法にかかわることだから」「今後の捜査に差し障る」と証言拒否を連発。
「本件の捜査によって、原告のアパート契約に何らかの組織的背景がある証拠は出てきたのですか?」
「具体的証言は差し控えさせていただきます」
「河内さん宅に普通の住宅と何か違うところがあったか」と弁護士が重ねて問うと、「ブントの機関紙などがあった。ふつうの人は社会運動団体の機関紙など家に置きません」と発言。傍聴席からは失笑がもれた。
「家主から相談を受けたというが、家主はどのような方法で相談に来たのですか」
「家主からの相談は、どこで受けたのですか」
最初は警察署で受けたと答えたが、「本当ですか?借主に一言もなく突然警察に来たのですか」と追及すると口ごもる。
弁護士は語気を強め、「あなたね、さっきもキチンと証言することを宣誓したでしょう。ちゃんと答えなさい!どこで相談を受けたのですか」
証人は急に「…それなら申し上げます。家主の自宅に、警察署員が行きました」とシドロモドロに答えた。公安警察は家主の元に押しかけ「河内さんは反社会的団体の構成員だ」と吹き込んだのだ。
さらに「原告宅には凶器はありましたか」との質問には、「いいえ。住んでるところにそんなものは置かないですから」と証言。
佐藤氏の証言により、河内さんの逮捕・家宅捜査は、公安警察の不当な「でっちあげ事件」でしかないことが明らかとなった。
次回公判は7月27日。警察・司法の反省を促すため、今後もご支援をお願いいたします。
