昨年の大晦日から1月5日まで開設された「年越し派遣村」に私もボランティアの1人として参加した。この派遣村は、昨年11月13日に発足した「派遣法の抜本改正をめざす共同行動」が事実上の母体となっている。NPO法人「自立生活サポートセンターもやい」事務局長の湯浅誠さんが村長となり、「反貧困ネットワーク」代表の宇都宮健児弁護士を名誉村長として、日比谷公園の一角を借り切って開かれた。

 「派遣切り」等で野宿を強いられている人たちに、寝場所の提供や炊き出し、弁護士や医師による各種相談が行われた。ボランティアには、派遣切りにあってこの村を訪れた当事者も加わった。

 多くの支援が寄せられる一方、心無い批判も浴びせられた。1月5日、坂本哲志総務政務官は「派遣村には本当にまじめに働こうとしている人たちが集まっているのか疑問」と発言し、陳謝・発言撤回に追い込まれた。これは現場にいた者からすれば、まったく見当はずれの発言だ。

 私が出会った派遣村の人たちは皆、「まじめに働きたい」と真剣に考えていた。「今度こそがんばって正社員の仕事に就きたい」「もっと努力のしようがあった」「社会が悪いとは言いたくない」など、自分自身に対して厳しい見方を示す人が少なくなかった。私は「正社員であってもなくても生存の心配はない世の中にするしかない」と思っているが、当事者にとっては社会一般を批判してすむ話ではないのだ。

 今回の派遣村が世の中を変えるキッカケになるのかどうかはまだわからないが、たくさんの人が集まり国を動かす力になったのは確かだ。「貧困がどんどん拡がっているが、なかなか目に見えない」。そんな状況を変えたのは、派遣村に集まった人々だった。

(1286号 2009年2月25日発行)

「年越し派遣村」

 

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