原発に頼らない地域づくりを目指して

 5月7日、新潟県知事は地震で被災した柏崎刈羽原発の運転再開を容認。これに先立つ4月25日、「柏崎刈羽原発 運転再開NO!集会」が東京都内の恵比寿区民会館で開催された。主催は「原発止めよう!東京ネットワーク」。

 最初に原発に頼らない地域づくりを目指す柏崎市議の矢部忠夫さんが講演。4月23日に最高裁判決が下った柏崎刈羽原発1号機の原子炉設置許可処分取り消し裁判について報告した。

 1979年の第一次提訴から約30年経過しての最高裁判決。1審・2審とも「国の安全審査に問題はない」と請求を棄却したが、上告中の07年に新潟県中越沖地震が発生。変圧器の火災やクレーンの破損で全ての原発が停止した。住民側は改めて安全審査の誤りを指摘したが、最高裁は住民側の上告を棄却した。

 裁判所は国や電力会社の主張を全面的に認めたが、原発震災の危険性が消えたわけではない。

 「東京電力が行ったボーリング調査では、断層による20メートルの落差が確認された。しかし国はそれを認めていない。また東京電力は450ガルの耐震設定であった1~7号機を1000ガルに耐震補強したというが、中越沖地震では1600ガルの揺れだった」

 さらに柏崎刈羽原発内の倉庫で4月11日、地震後9回目となる火災が発生したことに触れ、「他の原発でも火災は起きているはず。きちんと報告せずもみ消しているのだろう」と安全管理のずさんさを指摘した。

 講演後は質問が相次いだ。「地震後、原発労働者はどうしているのか? 現地はどうなっているのか」との問いに対し、矢部さんは次のように答えた。

 「原発整備の為、労働者が以前より増えた。約6000人の労働者が村に来ており、道路も車で混雑している」
 「地震後、電力会社は安全性をさらにアピールするようになった。フルカラーの織り込みチラシを月に4~5回全戸へ配布している」

 お金に物を言わせて傷だらけの原発を稼動させようとするのは、住民の安全より企業利益を優先するからだろう。最後に矢部さんは「原発依存を止め、それにより交付金が入らなくなったとしても大丈夫。財政破綻した夕張市の苦労を思えばまだまだやれる」と訴えた。

 続いて「浜岡原発を考える静岡ネットワーク」の塚本千代子さんが、東海地震の震源域に建つ浜岡原発について報告。

 「浜岡原発1、2号機は老朽化のため廃炉が決定した。電力会社は安全性ではなく、耐震補強工事のコストがかかるとの経済的な理由で運転を停止した。新たに建設が計画されている6号機は4000億円の建設費用がかかる。中部電力も内心は迷っていたが、国に『原発は60年間使用でき効率が良い』と後押しされ計画を進めてしまった」

 浜岡原発訴訟団事務局次長でもある塚本さんは、2002年より開始された浜岡原発運転差止訴訟についても報告。現在東京高裁で控訴審が行われているが、国は審理を尽くそうとせず、早期に結審しようと不誠実な態度をとっていると批判。「きっちりとした審議を粘り強く求めていきたい」と強い決意を語った。

 集会後は、大雨の中を恵比寿までデモ。脱原発や柏崎刈羽原発の停止を訴える元気な声に街行く人も関心を寄せていた。