里山の水を汚染する廃棄物処分場

 3月21日、埼玉県寄居町にある「彩の国資源循環工場」周辺で住民による環境調査が行われた。主催は「彩の国資源循環工場と環境を考えるひろば」と「グリーンアクションさいたま」。工場周辺を流れる沢や河川の水質と水生昆虫を生物指標にした調査を行った。

 「彩の国資源循環工場」は、県営の最終処分場「環境整備センター」の敷地内に建設された産業廃棄物中間処理施設群。3年前の2006年に本格操業を開始。埼玉県環境部は住民に対して「施設はクローズドシステムで廃棄物の流出はない」と説明していた。

 しかし操業直後の06年9月、中核プラントの一つであるオリックスの「サーマルリサイクルプラント」から高濃度の鉛が流出する事故が発生。しかし工場の第二期工事の準備が進められており、住民の不安は高まるばかりだ。

 今回は砂利質の川辺に網を仕掛けて川底をかく乱し水生昆虫を捕らえた。網の中身をバットのうえに広げるとカワエビやカワニナに混じって、実に様々な種類のヤゴやサナエなどのトンボの幼虫が入っている。もともと寄居町周辺は、多くの湧水池が見られる豊かな里山で、数多くの種類のトンボが見られることで有名だ。コシボソヤンマ、オニヤンマ、クロスジギンヤンマなどユニークな顔立ちをした水生昆虫が見つかるたびに参加者から歓声があがった。

水生昆虫

 昆虫図鑑とにらめっこをしながら、あれでもないこれでもないと議論が盛り上がる。ヤゴに混じってゲンジボタルの幼虫も見つかった。県立高校で理科の教員をしている市ノ川さんは「ヤゴやホタルなどの肉食の昆虫が多く見られるということは、エサになる生き物がたくさん生息しており、生態系が豊かな証拠だ」と語る。

 春の日差しが注ぐ川岸で10人近い参加者が談笑しながら作業をしていると、道行く人々が足を止めて覗き込んでいく。ある老人はヤゴやホタルをより分けたバットを覗き込み、「この川も今では護岸工事がされてしまったが、以前はホタルがもっと沢山いたんだよ」と語る。このような住民参加の環境調査は、自分の住んでいる町の環境を再発見する機会にもなるのだ。

 里山が残る水系ではカワゲラやヒラタカゲロウなど、きれいな水でないと生息できない昆虫が数多くみられた。川底に落ち葉が堆積した沢筋では、トウキョウサンショウウオの卵塊も見つかった。

 一方、資源循環工場敷地内の調節池から流れる塩沢川にはセジユスリカやアメリカザリガニなどのかなり汚い川に棲む生き物が数多く見られた。06年の鉛流出事件の時にはこの川にも汚染物質が流れ込んだ可能性が高い。産業廃棄物の処理施設を集中的に建設したことの影響が如実に現れているといえる。

 「彩の国資源循環工場と環境を考えるひろば」と「グリーンアクションさいたま」では今後も環境調査活動を継続していく予定だ。

川の生き物調査