同じ人間として「対話と融和」を

 2003年3月のイラク開戦から6年。3月21日、東京都内で「それでも希望はある!」トークセッションが開催された。主催は日本国際ボランティアセンター(JVC)、現代史研究会。日本に住むイラク人、アフガニスタン人、パレスチナ人が今の状況と日本への期待を語った。

 最初に谷山博史JVC代表理事が挨拶。「9・11の同時多発襲撃事件の後、『対テロ戦争』の名の下にアフガニスタン、イラク、パレスチナ西岸地区への侵攻・占領・再侵攻が行われた。私たちの思いこみや傲慢さが、これらの戦争を長引かせているのかもしれない。原点に帰り、現地の人の声に耳を傾け、アクションにつなげたい」。

 イラクに関しては、JVCイラク事業ヨルダン駐在員・原文次郎さんとイラク人医師、モハメッド・シャキルさんが報告。シャキルさんは日本の大学院に在籍。1ヶ月半前、5年ぶりにイラクを訪問し、治安悪化を目の当たりにした。

 「ブッシュはイラクにDemocracy(民主主義)をもたらすと言ったが、もたらされたのはDeath(死)であり、アブグレイブ収容所のような人権のDeprivation(剥奪)だった」「治安回復は兵士を増やすことではない。レジスタンスとして米軍を攻撃している人がいる。そのように抵抗する人々をテロリストと呼ぶべきでない。米国は敵対する勢力との懸命な対話が必要。紛争の解決には賢い政治家が必要であり、暴力は必要ではない」

 JVCアフガニスタン事業担当・長谷部貴俊さんは、「米軍による民間人への誤爆が相次いでおり、外国軍への不信感は高まっている。米軍の増派は状況を悪化させるだけ」と指摘。旱魃や食糧不足、高い乳児死亡率への対策など人道支援こそが必要だと訴えた。

 アフガニスタン人、アミン・レシャードさんは、現在介護老人施設の副施設長。かつての緑豊かなアフガニスタンの様子をスライドで映し出し、「戦争は人間だけでなく環境をも破壊している」と語る。さらにアメリカによる民主主義の押しつけではなく、タリバンとの対話を含めたアフガニスタン人による自治の回復を提起した。

 JVCパレスチナ事業担当の藤屋リカさんが、壁に囲まれたパレスチナ自治区の様子を報告。続いてパレスチナ料理店オーナーのイヤド・マンスールさんが自身の想いを語る。

 「私たちの体の上にイスラエルは国をつくった。イスラエルは何トンもの爆弾を落とし、人を殺しているのに何故テロリストじゃないのか」「自分の国をつくるのは私たち。それをサポートして欲しい。心と心が通じれば何かをせざるを得ない。パレスチナの問題を周りに伝えてくれるだけでもありがたい」。

 対テロ戦争は、憎しみを生みだし、世界に混乱と破壊をもたらしている。アメリカやイスラエルは他国を侵略・占領しておきながら、抵抗する人々を「テロリスト」と呼ぶ。それでもイラク、アフガニスタン、パレスチナの人々は「皆、同じ人間なんです」と訴える。

 パネルディスカッションで3人は、「国や地域をつくるのはそこに住む人々。分断ではなく、対話や融和の環境をいかにつくるかが重要」と強調。そして憲法9条を持つ日本が、対米追随ではなく独自のスタンスで平和に貢献できるはずだと訴えた。

「それでも希望はある!」トークセッション