講演会「オバマ新政権と安全保障政策」 エコアクションかながわ 野本陽吾
米国の軍事政策はチェンジできるか
「オバマはブッシュとは違うはずだが、アフガン派兵強化を打ち出し、相変わらずイスラエルを支持している。実際は何が『チェンジ』したのか」。そんな思いで2月20日に都内で開かれた講演会「オバマ新政権と安全保障政策」を聴きに行った。
講師はNPO法人「ピースデポ(平和資料協同組合)」特別顧問・梅林宏道さん。平和NGOセイピースプロジェクトの主催で、北沢タウンホール会場には約60人が集まった。
梅林さんは「弱者の気持ちがわかるバックグラウンドをもったオバマ氏の大統領就任に感銘を受けた。しかし世界的な軍事超大国を固守しようとする立場は従来のアメリカと変わらない」と語る。
実は留任したゲイツ国防長官は、ブッシュ政権末期に「軍事的成功だけでは勝利できない」と明言。失われかけたアメリカのソフト・パワー(軍事力以外の、アメリカ自身の魅力など)を再活性化して安全保障を実現する方針を2008年6月の『国防戦略』で主張していた。オバマ政権が就任式の翌日に発表した「オバマ―バイデン・アジェンダ」も、安全保障に関してはゲイツ戦略と同じ方向だ。
注目すべきは米国の政権として初めて、核兵器のない世界を目指すと明記したこと。しかし一方で「核兵器があるかぎり強い抑止力を維持」とも宣言。陸軍や海兵隊を計9万人以上増員し「無敵の地上攻撃能力」「グローバルな航空アクセス」を維持、「海軍艦艇の近代化」「海兵隊の緊急出動能力の向上」も目指そうとしている。
さらに、新政権が駐日大使に指名しているナイ元国防長官は、軍事力(ハードパワー)とソフトパワーを組み合わせた「スマートパワー」を提唱。アメリカの軍事的優位の維持がスマートパワーの大前提であると強調し、日本に対しては露骨に軍拡・改憲・武器輸出拡大を要求している。
梅林さんは「軍事超大国でありつづけること自体がソフトパワーの発揮を難しくしている。しかしそれを反省できないのがアメリカの限界。オバマ政権もその点からは逃れられずにいる」「オバマは『敵とであってもタフに直接的に対話する』と語っている。今後は日本の市民の側もますますタフに直接的に行動することが問われてくる」と締めくくった。
