生活環境の悪化と健康被害の原因裁定を求める第1回審問

 東京23区では昨年10月からプラスチックごみの全量焼却を実施。それに先だって昨年9月、さらなる環境悪化は許容出来ないと23区民と周辺住民は、国の公害等調停委員会に原因裁定の申請を行なった。

 原因裁定とは、加害行為と被害の発生との間の因果関係の存否について判断する手続のこと。住民は清掃工場から排出される廃棄物がさらなる環境悪化と健康被害の原因になると訴えたのだ。

 これに対し同委員会は申請を受理。1月14日に第1回審問が開催され、申請人による意見陳述が行なわれた。

 中野区在住の主婦・武藤有子さんは、東京都の小中学校保健統計データにより中野区における就学児童の喘息罹患率が8・24%の高い数値を示していると指摘。主用幹線道路からの自動車の排気ガスと清掃工場の複合汚染の可能性があり、「プラスチックの全量焼却は安全性の調査が不十分。健康被害の拡大を阻止する必要がある」と訴えた。

 23区内の深刻な大気汚染は現在でも改善されておらず、子供の喘息罹患率は増大傾向を示している。

 練馬区在住大島いずみさんの息子さんは1歳の頃から小児喘息を患っている。現在でも毎日治療薬フルタイトを服用する生活を続けている。ところが大学進学で東京を離れ京都で生活した4年間は全く発作が起きなかった。「喘息が治った」と親子で喜んだが、卒業して東京に帰ると再び発作が起きるようになった。

 大島さんは息子さんに「僕はきっと長生きできないね。だってこんなに薬漬けなんだから」と言われた時のショックを涙ながらに語り、「東京の空気は危険。これ以上こんな思いをする母親を増やさないで下さい」と訴えた。

 調整委員会の大内委員長は「なによりも健康被害の実態を明らかにすることが大切」と原因究明に向け意欲をみせた。そのうえで、具体的な被害をどのように実証するつもりなのかを申請人に質問した。

 申請人の代理人である梶山正三弁護士は「清掃工場から排出されている有害物質で、法律的に規制されていないものが数多くある。これらの物質がどの程度排出されているのかが明らかに出来れば申請人の主張の正当性を裏付けることが可能」と回答。出来るだけ早い段階で、裁定委員がごみ焼却現場の視察を行うことを要請。被申請人である東京23区と清掃一部事務組合は積極的な反論は行なわなかった。次回の審問は4月21日。

 東京都は人口密集地域に清掃工場の煙突が乱立する異様な状態。これ以上の環境悪化や健康被害を許してはならない。

東京23区清掃工場の位置と首都圏影響範囲図