原発・再処理問題に関する講演会「終焉に向かう原子力」が、12月13日、東京都内明治大学で開催された。同実行委と現代史研究会が共催して2003年に始まり今回で7回目となる。

 最初に、1986年に起こったチェルノブイリ原発事故をビデオ上映。建物が吹き飛び炉心が真っ赤に燃えた4号炉。防護服もないまま事故処理を行う何十万人もの労働者や兵士。放射能によって茶色く枯れた森。放射線で皮膚がただれた人々。住民が避難しゴーストタウンと化した街。

 映し出される光景に言葉を失うばかりだ。さらにショッキングなのは世代を超えて放射能被害が続いていること。汚染された大地、空気、水、食べ物は住民たちの身体を蝕み、子どもたちの未来を閉ざす。肝臓と心臓に疾患を抱えた少年の姿が強く印象に残る。「恐いです。でも逃げる場所はない。隠れることはできない。勇気を持たなければいけない」「原子力は〝一部〟の人々に必要。安全は〝全て〟の人に必要。だから原子力は必要ない」。

 上映後は、京都大学原子炉実験所の小出裕章さんと作家の広瀬隆さんの講演。小出さんは次のように解説した。

 「日本では核は軍事利用、原子力は平和利用であるかのように言われてきた。しかし英語ではNuclear WeaponとNuclear Power Plant。核と原子力は同じ。もともと技術に軍事用も平和用もない。『原子力の平和利用』と称して使われている技術は米国のマンハッタン計画で生まれた。『ウラン濃縮』『原子炉』『再処理』の3つが核開発の中心技術」「中でも再処理は高度の軍事的要請で開発され、安全性と経済性を度外視したもの」

 さらにチェルノブイリの放射能が大気に乗って日本に到達したことを指摘し、「汚染は空気や海を通じ世界中に広がる。日本原燃は再処理工場の放射能は希釈して流せば問題ないとしている。しかしそれは全世界に汚染と被曝を広げる事を意味する。本格稼働させてはならない」と憤った。

 広瀬さんは核武装の観点から、日本が再処理と高速増殖炉にこだわる理由について語る。

 「発電用原子炉の軽水炉で生まれるプルトニウムの内、核兵器に適したプルトニウム239の比率は70%しかなく、軍事用としては不適。ところが高速増殖炉ではプルトニウム239が98%にもなり、原爆製造に最適となる」

 「東京電力社長・会長をつとめた荒木浩氏は六ヶ所再処理工場の稼働を積極的に推進し、2004年4月には小泉純一郎首相の『安全保障と防衛力に関する懇談会』の座長に就任、『新防衛大綱』『中期防衛力整備計画』を生み出した中心人物」

 さらに広瀬さんは「原発と軍事が密接に結びついているのはドイツでも同じ」と指摘。ベルリンの壁崩壊直後、ドイツのヴァッカースドルフ再処理工場建設が核兵器開発のためであったことが暴露され、広瀬さんが93年にジーメンス社のMOX燃料工場を取材した際も、この工場だけは取材拒否されたという。

 チェルノブイリ事故後、ある被曝男性は「あれは目に見えない戦争だった」と語っている。勝者のいない「戦争」は、持続可能な未来につながらない。

「終焉に向かう原子力」第7回