Actio 1277号(2008年10月10日発行)
Topics(1面)
・金融バブルは崩壊しマネーゲームは終焉した
ブッシュ政権の公的資金投入は本末転倒
9月15日、米国4位の大手証券会社リーマン・ブラザーズは経営破綻。さらに同日米国3位のメリル・リンチもバンク・オブ・アメリカに救済合併されると決まり、米国発の金融危機は世界を震撼させた。
当初は公的資金による救済に消極的だったブッシュ政権だが、世界最大の保険会社AIGまで経営破綻するに至り傍観できなくなった。翌16日、米連邦準備制度理事会(FRB)はAIGへ最大850億ドル(約9兆円)を緊急融資すると発表。実質的に国家管理下においた。
しかし大恐慌以来最大規模と指摘される金融危機の連鎖は、未だ序章でしかない。米国では既に、地方の中小銀行で取り付け騒ぎが起きている。米連邦預金保険公社(FDIC)によると、本年初頭から9月5日までに閉鎖された地方銀行は、1月のダグラス・ナショナル・バンクをはじめ11行。特に最近は閉鎖が相次いでいる。
Interview(2~3面)
・民族紛争が多発する世界
グルジアやチェチェン紛争に国際社会はどう向き合うのか
菊池由希子さん
8月8日、グルジアは停戦状態にあった南オセチアに侵攻。南オセチアの後ろ盾となっているロシアと戦闘状態になった。8月13日に停戦となったが、緊張状態は続いている。9月5日、チェチェン難民支援運動に関わる菊池由希子さんが、東京都内で南オセチアとチェチェンの現状について語った。
Reports (4~5面)
・原子力空母は横須賀に来るな!
ジョージ・ワシントン入港に対し連続抗議行動
エコアクションかながわ 野本陽吾
9月25日朝、米海軍横須賀基地周辺で、原子力空母ジョージ・ワシントン入港に対する抗議行動が行われた。約350人が沖合に浮かぶ空母に向けて「原子力空母入港反対!」とシュプレヒコール。抗議は数日前から連続して行われ、地元の市民団体と共に「エコアクションかながわ」も参加した。
・障がい者が地域で暮らせる社会を
精神障がい者の日常を描くドキュメンタリー映画上映
9月13日、埼玉県ふじみ野市サービスセンターホールで、精神障がい者の日常を描いたドキュメンタリー映画上映会と、監督及び主演者のトークセッションが行われた。障がい者家族会や当事者、首都圏からの参加者など約100名が活発な意見交換をした。
・ダム開発が地元自治体の財政を圧迫
「八ッ場(やんば)から地域の再生を考える」シンポジウム
新田乙絵
9月15日、東京大学弥生講堂一条ホールにて「ダムに負けない村第二弾、八ッ場から地域の再生を考える」シンポジウムが開催された。主催は八ッ場あしたの会。群馬県長野原町に建設予定の八ッ場ダムを中心に、ダム開発が地域に及ぼす影響を考えるシンポジウムだ。参加者は200名を超えた。
・荒れた水源林を再生する試み
東京檜原村で星座観察と水源林整備
水と森の保全を考える・かわうそ倶楽部 松浦雅明
9月13日と14日、東京檜原村の倉掛いろり小屋で、20人が参加して星座観察と、水源林整備が行われた。主催は「水と森の保全を考える・かわうそ倶楽部」。
Opinion(6~7面)
・戦争がないから平和とは限らない
構造的暴力を是正する「積極的平和」が問われている
市民講座はちどりの会 宮猫之助
今年4月27日、視覚障害者団体「視生会」主催の講演会「平和学でいまを考える」が開催された。講師は茨城大学人文学部社会科学科准教授の蓮井誠一郎氏。
ちょうど私は最上敏樹著『いま平和とは―人権と人道をめぐる9話―』(岩波新書)を学習中だったので、この講演には大いに問題意識を刺激された。
International (8面)
・作物か水か―選択を迫られる中東諸国(『New York Times』7月21日号より)
どちらを取っても行き止まりのジレンマ
アンドリュー・マーティン
世界的な食糧危機で、中東・北アフリカ諸国は板挟みの苦境に陥っている。増加する人口を養うために更に多くの作物を生産するのか、それともすでに不足している水を保存するのか。選択を突きつけられているが、そのどちらを取ってもジレンマから逃れられない。
Review (9面)
・書評『環境問題はなぜウソがまかり通るのか』(武田邦彦著 洋泉社)
焼き鳥屋のおじさんが元気だからダイオキシンは猛毒じゃない!?
マスコミや環境利権を批判するのはいいが内容は杜撰すぎる
鈴木 郁
かなり挑発的題名が受けたのか、25万部以上を売り上げベストセラーとなった本だ。「焼き鳥屋のおじさんがダイオキシンの被害にあってないのはなぜだ?」とのセンセーショナルな問いを見て思わず手にした。
ちょうど私は公害防止管理者のダイオキシン類関係資格取得へ向けて勉強していたが、ちょっと中だるみしていた。この本を読みながら、再度参考書と問題集に目を通す良い機会にもなった。
Close Up(10~11面)
・外来種が日本の伝統的な生態系を脅かす
大阪府・能勢の田んぼでアゾラと格闘中
おおさかエコムーブ 松葉井信一
私は友人たちと、毎年大阪府能勢町で米作りに取り組んでいる。昨年まではアイガモ農法にチャレンジしたが、今年は一時休止となった。理由は、アイガモの糞により田んぼが栄養過多になり、かつ水を管理する暗渠の穴がつまったため。田んぼの広さに比して、アイガモを入れすぎたのだ。
アイガモ農法は休止しても米作りは続けるが、「手間がかからない」アイガモ農法の最大の利点が消えてしまう。これまではアイガモが害虫や草を処理してくれるおかげで、収穫まで田んぼに入らずにすんだが、今年は計画的に草取りをする必要がある。
能勢の歳時記に合わせて米作りをしているので、昔ながらのやり方で3回ほど草取りに入ればなんとかなりそうだと考えていた。ところが、田植えも無事に終えた3週間後、草取りに集まったメンバーの目の前には、今まで見たこともない光景が広がっていた。なんと田んぼの稲の間は、緑の物体に埋め尽くされていたのである。
・里山を破壊する宅地造成
環境も安全も脅かされる
森澤清(30代 会社員)
私の親が東京都町田市に家を買ったのは30数年前。子どもの頃、周辺には雑木林と草原が広がっており、そこでよく遊んだ。ある日、家の前にバリケードが設置され、宅地造成工事がはじまった。雑木林は伐採され、大規模な宅地に変わってしまった。
近年も東京都心近郊や神奈川県では宅地造成が進んでおり、町田市でもいくつかの開発計画がもちあがっている。しかしこれ以上里山を切り崩して宅地を造る必要があるのだろうか。
