ツーリング洞爺湖2008 渡瀬義孝
 
 3月16日、宮城県仙台市で開催された「海に空に放射能を捨てないで!―STOP!再処理本格稼働」には、東北各県や全国から500名近い人々が集まった。

 私たちツーリング洞爺湖2008も、茨城県東海村を起点に約280キロの自転車ツーリングでこのイベントに参加。夕方仙台市内のウォークに出発する直前、主催者の好意で仲間がアピールした。

 冒頭「東海村から280キロ自転車で走ってきました」と報告すると「オーッ」とどよめきが。続けて「洞爺湖サミットでは温暖化対策が話し合われますが、日本は原発を温暖化対策の切り札にしようとしている。これを許さないキャンペーンとして、各地の原発立地地域をつなげながら洞爺湖まで自転車で走ります」とアピールし、大きな拍手で激励された。

 洞爺湖サミットまで残すところ2ヶ月余り。残念ながら当初から私たちが指摘していた懸念は現実味を帯びつつある。3月28日に福田政権が閣議決定した改定版の「京都議定書目標達成計画」。政府は低炭素社会(Low Carbon Society)への移行を大義名分に、原発と再処理政策を全面的に推し進めようとしている。

<原発は「唯一のクリーンなエネルギー源」!?>

 福田首相は、閣議決定に当って次のような談話を発表した。

 「地球温暖化問題は、我々の生活や経済活動に大きな影響を与える現実の問題となっています。一刻も早く温暖化を克服するための取組を強化していかなければなりなせん」

 「本日決定した新計画では、太陽光など新エネルギーの導入、省エネ家電への買換え、クリーン・エネルギー自動車の普及、住宅・建築物の省エネ化をはじめ、考え得る限りの取組を盛り込んでいます」

 首相談話では原発については一言も触れず、むしろ再生可能エネルギーの導入を強調しているが、実際の計画の中味は違う。「第3章 目標達成のための対策と施策」のなかでは、「発電過程で二酸化炭素を排出しない原子力発電については、地球温暖化対策の推進の上で極めて重要な位置を占める」と強調し、以下の具体的方針を打ち出している。

 「官民一体となった世界標準を獲得し得る次世代軽水炉の技術開発、高速増殖炉サイクルの早期実用化に向けた関係者と一体となった取組」「プルサーマルの着実な実施や六ヶ所再処理工場の本格操業開始を含む核燃料サイクル確立に向けた着実な取組」「高レベル放射性廃棄物の最終処分事業の推進に向けた取組の強化等」

 さらに「中長期的視点からの技術開発の推進」でも原発推進は繰り返し強調されている。

 「発電過程で二酸化炭素を排出しない原子力は、安全の確保を大前提として、我が国においては現段階で基幹電源となり得る唯一のクリーンなエネルギー源であり、ウラン資源の利用率を飛躍的に高め、放射性廃棄物の発生を抑える『高速増殖炉(FBR)サイクル技術』、安全性、経済性、信頼性等を大幅に向上させた次世代軽水炉技術、少ない資源で莫大なエネルギーを生み出す『核融合技術』等の開発・実用化を積極的に推進していく」

 まさに今回改定された「京都議定書目標達成計画」の基軸は、温暖化対策を大義名分として国策としての原子力開発をさらに推し進めようとするものだ。新エネルギー導入や省エネなどの他の施策は、基軸の原発推進を目立たせないための「イチジクの葉」に過ぎない。

 この計画を取りまとめた人々、そして閣議決定した政府は、原発を「唯一のクリーンなエネルギー源」だと認識しているようだ。だとすれば、一番電力を必要としている首都直近東京湾にでも建設したらどうか? 放射能汚染と原発震災の恐怖を地方に押し付けて「クリーンなエネルギー源」とは聞いて呆れる内容だ。

<経済成長主義からのパラダイム・シフトを>
 
 なぜ日本政府は原発推進にこだわり続けるのか? その理由は「第2節 地球温暖化対策の基本的考え方」のなかに明確に示されている。

 「温室効果ガスの排出は経済活動と国民生活に密接に関連していることから、『環境と経済の両立』という基本的考え方に立って、地球温暖化対策を大胆に実行する」

 健康で文化的な国民生活が維持されることは極めて重要なポイントだ。しかし、まず問い直すべきは、大量生産―大量消費を前提としたこれまでの経済活動の質と内容のはずだ。しかし「計画」ではそれを不問に付し、あくまで経済成長率を維持しながら温室効果ガスを削減するとしている。そんな「虫のいい話」を作り上げようとするから、技術開発ばかりが強調され、一番手っ取り早い原発に依存しようとする。

 一方、経済的インセンティブを伴って生活や経済活動を持続可能な低炭素社会へ導く環境税については、未だに「真摯に総合的な検討を進めていくべき課題である」と一言述べるに留まっている。結局、環境税導入に強硬に反対し続けている経団連の意向に全面的に沿うかたちで「計画」は取りまとめられたに過ぎない。

 言うまでもなく経団連の主要メンバーであるトヨタ自動車は、ゼネラル・モーターズ(GM)と世界販売台数首位の座を巡って熾烈な争いを続けている。2007年の世界販売台数は936万台で、まさに大量生産―大量消費を象徴する企業。こうした大企業の拡大戦略を最優先しながら実効性ある温暖化対策を行うことは不可能だ。しかし政府は経団連を恐れて環境税すら導入できない。

 こう指摘すれば、「日本経済が停滞したら国民生活はどうなる」と反論する人もいるだろう。しかし、小泉構造改革が生み出した「空前の好景気」は、国民生活を豊かにしただろうか? むしろ格差の拡大と地方経済の破綻が加速されただけだ。GNPやGDPが数字上いくら増えても、健康で文化的な国民生活の向上にはつながらない。

<物質文明の象徴に自転車で立ち向かう>

 「計画」では、「2005年度の我が国の温室効果ガスの総排出量は13億5900万t-CO2、基準年比で7・7%の増加となっており、削減約束との差は13・7%と広がっている」と指摘している。

 にも関わらず、経済成長主義と原発推進をセットにした温暖化対策しか打ち出せていない。これでは京都議定書で定められた数値目標を達成できないばかりか、地震大国日本でいつ深刻な原発震災が起きてもおかしくない。

 私たちツーリング洞爺湖2008は、洞爺湖サミット開催に合わせ日本政府の温暖化対策の抜本的な是正を求めて東京から北海道まで1300キロの自転車ツーリングキャンペーンを行う。

 全行程参加可能なメンバーは限られるだろうが、各地で1日のみのゲスト参加も大歓迎。茨城県東海原発、福島原発、宮城県女川原発、そして六ヶ所再処理工場、東通原発と、各原子力関連サイトへ申し入れを行いながらツーリングする。

 物質文明の象徴である巨大な原子力施設。それに対抗し私たちは、環境にも人にも優しい究極のノーカーボン移動ツールである自転車を駆使してキャンペーンする。ぜひ多くの方の参加を呼びかけたい。
 
※スケジュールの詳細などは ツーリング洞爺湖2008ブログに順次掲載

ツーリング洞爺湖2008代表 横山茂彦
http://tourtoya08.exblog.jp/
g8cycle@gmail.com

ツーリング洞爺湖2008スケジュール
 


【6月】

◎19日(木)午前8時半 国会前集合 政府へ申し入れ →茨城県東海村へ(128㎞)
◎20日(金)日本原子力研究開発機構申し入れ/東海第2原発申し入れ →福島県楢葉町へ(111㎞)
◎21日(土)福島第2原発申し入れ/福島第1原発申し入れ →宮城県仙台市へ(101㎞)
◎22日(日)休憩日 仙台にて交流会
◎23日(月)女川原発申し入れ(仙台~83㎞) →石巻へ(29・7㎞)
◎24日(火)石巻から大船渡へ(119㎞)
◎25日(水)大船渡から岩手県重茂へ(91・4㎞)
◎26日(木)重茂にて休憩日
◎27日(金)重茂から青森県九戸へ(91・8㎞)
◎28日(土)九戸から八戸へ(73・5㎞)
◎29日(日)六ヶ所村再処理工場申し入れ(58・8㎞)
◎30日(月)東通原発申し入れ(六ヶ所~54・3㎞) →大間港へ(68・2㎞)

【7月】

◎1日(火)大間から函館へフェリー 函館にて休憩日
◎2日(水)函館から長万部へ(102㎞)
◎3日(木)長万部から洞爺湖へ(58・7㎞)
◎4日(金)洞爺湖から札幌へ(109㎞)
◎5日(土)札幌市内でウォークに参加
◎6日(日)札幌市内でカウンターサミットに参加
◎7日(月)これ以降の予定は未定

<総走行距離>
1300㎞以上

(1266号 2008年4月25日発行)