開戦から5年 イラクでの混乱は続いている

 3月9日、国際女性デー(3月8日)の一環として、アメリカ軍占領下のイラク報告会が、東京・大田区生活センターで行われた。報告を行ったのはイラク自由会議(IFC)女性局長フリヤル・アクバルさん。主催は「3・9フリヤル・アクバクさんとのつどい実行委員会」で、80人ほどが集まった。

 IFCによるSANAテレビ(イラク平和テレビ局)の番組映像が流され、フルヤルさんが占領下における女性への人権迫害について語る。

イラク現地の過酷な状況が語られた

 最初に、イラクで起きた「名誉殺人」事件が報告された。殺害されたドゥアーさんは17歳で少数派宗教のヤジディ教徒。彼女はイスラム教徒の男性と恋愛したことで、何百人もの群衆の前で、親族からの投石によって殺害された。

 イスラム教の法律では、他宗教の人と恋愛したり、米軍などにレイプされた女性は「親族の名誉を汚す」とされ、殺害することが許される。かつては少なかった名誉殺人も、米軍占領下で宗教対立が深まる中で頻繁に行われるようになった。

 さらに女子学生は、ヒジャブを被って学校に行かなければ数日後に殺される。この2ヶ月間でキルクークだけでも280人を超える女性が殺害されたり、自殺している。イラク政府は何の手も打たず、犯罪者もろくに裁かれない。フルヤルさんはIFCを立ち上げ、女性をシェルターに匿い、トルコなどに亡命させて彼女たちの命を守っている。

 イラクでは国内難民も増加。政府軍や各宗派の民兵によって住居を追い出され、移住させられた住民が大勢いる。シーア派とスンニ派の対立は、戦後シーア派が実権を握ったことで深まった。バグダッドでは異なる宗派地区に足を踏み入れることができない。各宗派の教育現場ではそれぞれが異なるイスラム史を教えている。

 SANAテレビの番組は、バグダッド・ジャーリード地区に移住したある家族を紹介していた。彼らは爆撃によって破壊されたビルの一角に住んでいる。壁もなく、電気・ガスも通っていない。ゴミ捨て場の近くなのでハエが飛び交う。仕事は不安定で日によってはまったく無い。学校に行けない貧しい子どもたちは道端で石油を売る。悲惨な状況だが、その家族は「元の地域に戻ればまた、痛めつけられてしまう」と語る。

 米軍の劣化ウラン弾が人々を蝕んでいる様子も映し出された。アリ・カイス少年は上腕に頭より大きな腫瘍ができたが、何の治療も受けられない。職もなく栄養失調と貧弱な医療サービスの中では、まともに癌の治療も出来ない。

 フルヤルさんは「米軍の占領前はこんなにひどい抑圧は無かった。米軍さえ撤退してくれれば民主的な社会が取り戻せるはず」と語る。

 SANAテレビはイラクで危険を伴いながら撮影、放映されている。バグダッドではカメラを持っているだけで米軍に銃撃される危険があるという。

 日本政府はインド洋上における米軍への給油を再開したが、日本はいったい何を支援しているだろうかと考えさせられた。