Actio 1264号(2008年3月25日発行)
CONTENTS
Topics(1面)
・JCO臨界事故で被曝した住民の請求を棄却
国策に屈し健康被害を認めない水戸地裁判決
「原告の請求、棄却」。2月27日午前10時過ぎ、裁判長の声が水戸地裁の法廷内に響いた。その瞬間、外で待つ支援者へ結果を知らせるため、原告大泉夫妻の長男実成さんが外へ駆け出し、地裁正門前で「不当判決」と大きく記した幕を広げた。
取材していた多くのマスコミ関係者も一斉に走り出た。主文が朗読されただけであっという間の閉廷。全国から駆けつけた支援者たちも、ため息まじりに重い腰を上げて法廷を出る。
1999年9月30日に発生したJCO臨界事故。事故が起きた転換試験棟の目の前で仕事をしていた大泉昭一さん、恵子さん夫妻は、健康被害に対する損害賠償を求めて民事裁判を起こした。残念ながらその第1審は、完全敗訴となった。
Opinion(2~3面)
・再処理工場は1日で原発1年分の放射能を排出する
ラアーグやセラフィールドの悲劇を日本でも繰り返すのか
三陸・宮城の海を放射能から守る仙台の会(わかめの会)野村拓人
日本原燃の児島伊佐美社長は2月25日、六ヶ所再処理工場の本格操業は5月以降にずれ込む見通しだと発表した。アクティブ試験第4段階の、高レベル放射性廃棄物ガラス固化体製造試験でトラブルが相次いでいるためだ。
肝心のガラス溶融炉内の温度が安定せず、固化体製造に悪影響を与える希少金属(白金族)が底部にたまっている。このため試験期間は大幅に延び、日本原燃はついに今年度内の本格操業を断念せざるを得なくなった。
アクティブ試験ですら重大なトラブルが次々と発生するなか、これまで脱原発運動にはなじみのなかった多くの農家や漁師、そして消費者やサーファーらが本格稼動に反対する声を上げ始めている。再処理工場は海や空へ大量を放射能を垂れ流す。これへの疑問や不安の声は、確実に全国に広がっている。
にも関わらずほとんどのマスコミは、最大のスポンサーたる電力会社の圧力を恐れてこの問題を報道しない。輸入食品の汚染問題は連日のように報道しながら、はるかに重大な健康被害をもたらす再処理工場の放射能汚染に関しては固く口を閉ざしている。「報道の自由」を自ら放棄しているとしか思えない。
だからこそ私たちは、再処理の危険性をより多くの人々に知らせ、なんとかして本格稼動を止めなければならない。かってドイツでは、住民の強い反対によってヴァッカースドルフ再処理工場の建設が中止された。私たちも全力をあげて六ヶ所本格稼動を止めよう!
Reports (4〜5面)
・本格稼働に反対する声は全国に広がっている
「核燃料サイクルにもの申す!」 再処理工場問題を考えるフォーラム
環境達磨(エコダルマ) 寺本 貴
2月16日、仙台で「核燃料サイクルにもの申す!」再処理工場問題を考えるフォーラムが開催された。主催は六ヶ所再処理工場稼動阻止みやぎネットワーク。生協やNPO地球、「わかめの会」など、これまで再処理工場の問題に取り組んできた様々な団体のネットワークで、約200人が会場のハーネス仙台に集まった。
・横須賀市長は市民の声を聞き入れろ
「原子力空母母港化の是非を問う住民投票」の実施を求める署名活動
エコアクションかながわ 野本陽吾
3月6日午後4時、「原子力空母母港化の是非を問う住民投票」実施を求める署名活動がスタートした。横須賀市・京急横須賀中央駅前デッキに地元市民グループが集まり、1ヶ月間で6万人の署名を集めることを目標に通行人に協力を訴えた。
・水生生物に予想外の影響が出ている
彩の国資源循環工場周辺で川の生き物調査
グリーンアクションさいたま 蘇我畔太郎
2月23日、埼玉県大里郡寄居町にある「彩の国資源循環工場」周辺で市民団体による河川の環境調査が行われた。主催は寄居町の環境保護団体「彩の国資源循環工場と環境を考えるひろば」と、県内で里山再生事業などに取り組む「グリーンアクションさいたま」。
今回の調査対象は3河川。工場施設内の調節池からの排水が流入する塩沢川、工場の影響を比較的受けていないと考えられる山居川、資源循環工場第二期事業が本格化した場合に汚染が心配される五ノ坪川だ。
・ベトナムの防空壕の中でわたしは生まれ変わった
アレン・ネルソンさん トーク・ライブ
シビックアクション千葉 森田一成
3月8日、千葉市生涯学習センターホールにおいて、「アレン・ネルソン トークin千葉」が開催された。主催はシビックアクション千葉と、環境活動家のきくちゆみさんが代表を務めるグローバル・ピース・キャンペーン。
準備期間が少なかったにもかかわらず、210人が参加。
・春の兆しいっぱいのひな祭り
高尾ツリーダムイベント
エコアクション虔十の会 坂田昌子
3月2日、東京都・高尾山の高尾ツリーダムは、一日早いひな祭りを楽しむ子どもたちでいっぱいとなった。
Interview(6〜7面)
・臨界事故裁判原告団は怒りの記者会見
PTSDすら認めない判決の不当性を徹底的に検証
2月27日、水戸地裁はJCO臨界事故で被曝した大泉昭一さん、恵子さんの損害賠償請求を棄却。判決は被告のJCOと住友金属鉱山の主張を全面的に受け入れ、被曝と健康被害の因果関係をすべて否定した。直後に開かれた原告側記者会見を採録し、この判決の不当性をあらためて確認したい。(文責:編集部)
International (8面)
・5月ダブリン会議でクラスター爆弾全面禁止条約を
オスロ・プロセスは着実に前進している
グリーンアクションさいたま 渡辺栄一
クラスター爆弾禁止条約制定を目指すオスロ・プロセスの第4回国際会議が、2月18日から22日までニュージーランドのウェリントンで開催された。最終日の22日、日本を含む82カ国は年内に禁止条約を成立させることを謳った「ウェリントン宣言」に署名しこれを採択。最終交渉の場となる5月ダブリン会議までに、署名国はさらに増えていくと期待される。
Review (9面)
・映評『核分裂過程』(ベルトラム・フェアハーク&クラウス・シュトリーゲル監督作品)
ドイツのエネルギー政策を変えた人々の勇気と連帯
ヴァッカースドルフ再処理工場を止めた5万人の闘い
グリーンアクションさいたま 元木菜々子
青森県六ヶ所村再処理工場の本格稼動が迫っている。それを許せば大量のプルトニウムが空や海に放出され、取り返しのつかないことになる。
ドイツの再処理工場は、住民の反対運動で計画が断念された。そのプロセスを追ったドキュメンタリー映画『核分裂過程』。実際に稼動を止めた運動から私たちが学べるものは多い。
Close Up (10~11面)
・「食べて治す」のが食養生
「医食同源」の知恵でカラダと対話する
保科湘子(30代 社会福祉協議会職員)
昨年11月のある朝目覚めると、私は妖怪人間になっていた。アトピー性皮膚炎が突然悪化し、顔がジクジクを真っ赤に腫れ上がった。
出勤した私を一目見た同僚やお客さんは、異口同音に「うわっ、どうしたのソレ?!」。「だ、大丈夫ですか?」と後退りする人もいた。
アトピー性皮膚炎は生まれつきの持病。つまりこの病歴は私の人生と同じ長さ。以前にもステロイドを止めたリバウンド時に同じような状態になったことがあり、その時は回復するまで5年くらいかかった。
しかしここ数年は症状も比較的落ち着いて体調をコントロールしているつもりだったので、私はかなりショックを受けた。なんで突然こんなことに??
・足下からはじまる温暖化対策
エネルギーを節約する暮らしは家計と環境に優しい
天野 雀(30代 造園業)
京都議定書は2012年までに先進国全体の温室効果ガスの排出量を1990年比で5%削減することを目標にしている。日本は6%の削減が目標だ。私が中学生だった頃を基準にさらに排出量を減らさなくてはいけない。しかし現状は逆で、むしろ増加しているようだ。
日本の年平均地上気温はこの100年で1・1℃上昇。最近は異常に暑い夏と雪の積もらない冬が続いている。企業や国家だけでなく、一般家庭での日々の生活も見直さなければ温暖化は止まらない。
