洞爺湖サミットに向けて 貧困解決を”メイジャー・イシュー(最重要課題)”にする マエキタミヤコさん
今年の夏、北海道洞爺湖で開催されるG8サミット。そこで議論される環境や貧困問題に多くの市民が関心をもってほしい。身近な問題を壮大な問題につなげるためにはどうしたらいいのか。昨年、東京で開催された「洞爺湖サミットに吹く風Vol.1」でのマエキタミヤコさんの講演を採録する。
今年の夏、北海道洞爺湖で開催されるG8サミット。そこで議論される環境や貧困問題に多くの市民が関心をもってほしい。身近な問題を壮大な問題につなげるためにはどうしたらいいのか。昨年、東京で開催された「洞爺湖サミットに吹く風Vol.1」でのマエキタミヤコさんの講演を採録する。
どうも、マエキタです。よろしくお願いします。今日は貧困解決のために洞爺湖サミットに向けてみんなで何ができるのかを考えたいと思います。
様々な運動をやっている人たちは、「何が目的なんですか」と問われると、たいていの場合「メイジャー・イシュー」にすることだと答えます。野球のメイジャー・リーグのメイジャーです。『ビック・イシュー』という雑誌がありますが、イシューは雑誌を発行すること、そもそもは「問題」とか「課題」を意味します。
「メイジャー・イシュー」は、たくさんの人が関心を持つ「最重要課題」です。大事なことだけど優先順位が低いのはマイナー・イシューで、その優先順位を上げていくのがメジャーにすることです。マイナーとかメジャーは、日常生活のなかにもあります。誰もが自分のなかでマイナーなこととメジャーなことを振り分けて生活しているはずです。
マイナーという言葉は、地味とか人から余り注目されないという意味合いも含みますが、メジャーは皆が注目しよく知っていて人気があるイメージです。当然それをアピールする人もメジャーな存在になっていくことが必要です。
面白いことに、メジャー感にはお金はあまり関係ないし、同じ人でもある日はとてもメジャーで、別の日はとってもマイナーだったりします。ですから自分が貧困問題をメジャーにしようとすれば、お金はなくても喋り方だとか服装をメジャーにしていくことが大切です。
先日パキスタンのデモがニュースで流れました。それは弁護士さんたちが政権に不満をもって、みんな背広を着てデモしたんです。パキスタンで弁護士といえば超エリートです。投石をして警察に連行された人もいます。日本のマスコミは興味本位で取り上げたんでしょう。勿論そこには興味本位では済まされないパキスタンの混乱や悩みがあるんですが、背広を着た弁護士さんたちのデモにはメジャー感があったので取り上げられたのかなと思いました。
<身近な問題と壮大な問題はつながっている>
貧困問題は壮大な問題です。勿論日本の中にも貧困はありますが、北沢さんのお話にもあった遠い国の債務に想いを馳せる想像力を持っていることは大変なことなんです。
同じことがエコにも言えます。例えば「有機野菜を食べましょう」と薦めると、壮大な問題が苦手な人は「自分の体に良いから」と食べている人が多いですね。でも、「有機野菜は農薬を使わないから土壌が汚染されないので川も海も汚染されない。地球環境や生態系に良いから有機野菜を買うように努めている」と考える人もいます。身近なことをしているんだけれども、実は頭の中では壮大なことに想いを巡らせているわけです。
貧困問題の解決のためには、壮大なことを考える脳味噌の筋肉が必要ですが、それが必要だと考えない人もいます。その場合には、身近な問題と壮大な問題はつながっているんだよと優しく教えて結びつけてあげないといけません。一つ一つ丁寧に説明することが大切だと思います。
グレンイーグルスは貧困サミットと呼ばれましたが、来年の洞爺湖サミットは環境サミットになる可能性があります。そうすると貧困解決は環境の大切なファクターで、「環境問題を解決するには貧困問題を解決しなければ駄目ですよ」と口を酸っぱくして言っていけば、逆に洞爺湖サミットで環境と貧困をイコールに焦点化できると思います。日本政府に対して、「環境と貧困を分けて考えているのは日本ぐらいですよ。世界の注目は両方に集まっていますよ」ときちんと提起していくことが必要です。
問題を分りやすくするために図にしてみました(図1参照)。

12時からぐるっと時計回りに、メジャーで多くの人が知っている、馴染んでいる問題を並べてあります。夕方から夜にかけてのゴールデン・タイムは、割と有名ではあるけれども税金として広報予算が下りてないものを選んでいます。「無農薬野菜を食べましょう」なんて政府広報は見たことないですよね。「有機農業促進法」はツルネン・マルティさんの議員立法で今年通りましたが、それ以前は農薬産業に気をつかってか、大きく取り上げられていませんでした。
しかし今や政府が広報しようがしなかろうが、無農薬や減農薬、有機栽培の流れは止まりません。マーケットが求めていて、同時にフードマイレージやフェアトレードも大きなうねりになっています。そもそも戦争は最大の環境破壊ですから、平和構築も大きな課題です。
先日ミシュラン・ガイドブックで日本の店がいっぱい星を採りました。ミシュラン狂想曲を「いかがなものか」と批判する人もいましたが、私は「日本は先進国のなかで戦争をしていない国だから評価されたのかな」と感じました。確かに日本は洋上給油をしてきましたが、アメリカやヨーロッパの国はもっと激しい戦争をしています。そういう国に行くと街は汚いし、お店のガラスもきちんと拭いてないので、生活や文化の底力を感じません。戦争に気をとられているからなんだと思います。
翻ってみると日本は、テロ特措法はどうなるか分らないし、強行採決ばかりする人がいて腹立たしいけれども、それでも法律上では国連指揮下の平和維持活動にしか自衛隊は出ていけないことになっています。ところが洋上給油はアメリカの個別的自衛権への支援ですし、ISAFはNATO軍が指揮しています。つまり国連の活動ではなく、国連は承認しているだけです。にも関わらずアメリカに引きずられて自衛隊を派遣しているのです。
現在アフガニスタンに関しては国連指揮下の作戦はありませんから、法律を守れば自衛隊は出せないはずです。私はこのことを伊勢崎賢治さんから聞いてびっくりしました。「エッ、本当なの? テレビ見る限り誰もそんなこと指摘してないよ」と驚いたら、「だってテレビの人は誰も知らないもん」って言うんです。「テロップが間違っていたらクレームつけなきゃ駄目じゃない」といって104でフジテレビの代表番号を調べて電話して、「何時のかくかくしかじかの番組テロップは間違っている」と指摘すると担当者に回されました。スタッフはみんな疲れて眠ってるみたいで、アルバイトの男の子が「分りました。伝えておきます」と答えてくれたので、「必ずコールバックください」と念を押して電話を切りました。
つまり身分とか知識の問題じゃなくて、間違いに気付いた人が訂正してあげる。これをこまめに繰り返していかないと、本当に適当でいい加減なまま大事なことがどんどん見過ごされてしまいます。
図の深夜11時から12時の最もマイナーな場所にSSRを書きました。今お話したテロ特措法や伊勢崎賢治さんの話はこのSSRに該当します。Security Secter Reformのことで、武装勢力のところへ行き、「武器を出してください」と武装解除した上で新国軍、裁判所、警察の設立などを行います。戦争で滅茶苦茶になってしまった国に国連が出ていき、戦争が起きない安定した国にするための仕事です。アフガニスタンで成功したのは武装解除だけで、警察機構も新国軍も裁判所もきちんとできていないので国が滅茶苦茶になっているそうです。
伊勢崎さんはアフガニスタンでこの武装解除を担いましたが、日本は憲法9条があり戦争をしてはいけない国だからこそSSRに向いているそうです。戦争しているアメリカやヨーロッパをアフガンの人たちは信用しないから、彼らにはできない役割なのだそうです。伊勢崎さんは、憲法9条があったからこそ日本はアフガンで武装解除を行うことができ、紛争に巻き込まれないでいると語っていました。ぜひ多くの人たちに知ってもらいたいことです。
<「専門用語をスラスラ言わない人」と「しわ寄せ」>
「専門用語をスラスラ言わない人」に世の中はつけ込んで「しわ寄せ」します。その結果、貧困や環境破壊が起きます。貧困はその当事者だけで止まるわけではなく、その人たちが止むにやまれず森の木を切って焚き火したり、何かを採って輸出したりすれば生態系は崩れていきます。その意味で、環境破壊と貧困はまさに紙一重です。
つまり都合の悪いことを誰かにしわ寄せするのを止めないといけない。逆にしわ寄せされている人は黙っているんじゃなく、「みなさん! ここにしわが寄っています。私が困るだけじゃなく、あなたたちも困るからしわを寄せないでください」と声を出す。それによって、手遅れになる前になぜそこにしわが寄っているのか気付くことが大切なんです。
それは国内も同じで、特に目に付くのは数字や法律に弱い人につけ込むことです。そうした人たちにしわが寄ると発見されるのが遅くなります。また排他的な人もなかなか外に表現しないので、そこにしわ寄せがたまっていることがあります。
専門用語に関しては、例えば国際条例、国連、サミット、G8などもそうです。北海道洞爺湖で開催されるとなると、多くの人が来るから物が売れるかなと浮き足だつ人もいますが、実際上そこで何が決められるのかについてはよく知らない。サミットはそんなに排他的ではないのに、あたかも排他的であるかのように振舞う人もいます。
記者クラブに象徴されるように、マスコミ自体排他的だと指摘されますが、ある意味では私たちが容認している側面もあります。記者クラブ自体をもっと開放的にするためにみんなで知恵を絞っていく必要もあります。記者クラブが排他的だと被害を被るのは普通の人々です。一般市民の「知る権利」を奪うのは民主主義の冒涜であり重罪ですから、少々時間がかかったとしても「私たちの権利を守る」と自分達で主張しなければいけないと思います。
国際情勢・国際条例・金利・金融・貿易、そして環境では原子力などについてもいっぱい覚えなくてはいけない専門用語があります。計算とか数字とか単位とか。それらの意味を理解することも勿論大事だけれども、それを覚えて武器にするのも大事です。専門用語にひるまない。
例えばトリチウム水にはどのような害があってそれがどのくらい出ているのかとか。青森県の六ヶ所再処理工場では11月18日に、トリチウム水が原子力発電所の基準値の1400倍も出たそうです。今アクティブ試験中でたまたまその日だけ大量に出していたわけではなくて、本稼働すると1400倍のさらに376倍のトリチウム水が1年間に排出されるそうです。
よく「原発1年分の放射能が1日で出る」と表現されますが、青森県と日本原燃が発表している資料によれば、トリチウム水に関しては原発の基準値の1400倍が、正確には1404倍が毎日出ることになる。
トリチウムは日本では禁止されていますけれども、自発光する物体なので規制の甘い国では時計の文字盤や針の上にちょっと付けたりするそうです。面白がって自分の体に塗って死んでしまった人もいるそうです。
再処理工場から出るトリチウム水は放射性物質で、津軽暖流にのって三陸に流れてきます。同じ海流を三陸で採れるホタテの赤ちゃんが陸奥湾から流れてきます。すごく小さい卵で、三陸ではそれをつかまえるために小さな網のバッグを海の中に下ろしておく。小さな卵は最初、その網の目を行ったり来たりくぐり抜けているんだけど、だんだん大きくなるとキャッチされてその中で育つ。漁師さんは、大きく成長したホタテを引き揚げるだけというのにはびっくりするんですが、そうやって三陸のおいしいホタテは採れているらしい。
しかし貝は毒性が溜まりやすい生き物で、原発の1400倍ものトリチウム水と一緒に流れてくるから当然生体濃縮している。それが怖くて三陸では再処理に反対する9万人の署名が集まったそうです。
<排他を排他して声を集め仲間をふやそう>
先日その署名を背景に、川田龍平さんが国会で環境大臣に質問しました。「経産省の下に原発を推進する委員会と監視する委員会が両方あるのはおかしい。監視する委員会は内閣府にも一応あるけれど機能しているとは言い難い。環境大臣だったら、監視は環境省でやりますと言うべきなんじゃないか」と話をした。
鴨下環境大臣は、「それは共有します」と回答しました。すぐにそうなるとは思えないけれども、頑張ると言っていたので期待しましょう。もし実現しなかったら、「あの時共有すると言いましたよね。なんでまだ変わらないのですか」と聞くことができる。証拠をつかんでいるようなものだから、みんなで質問する。
質問は面白いですよ。質問することで無理なく相手にプレッシャーをかけることができる。責めたり、怒ったりするのはNGです。なぜなら相手が怖がって、頑なになって、「あんたなんかあっちへ行って」となってしまうから。でも「そう言いましたよね。どうなんですか」と聞くのはけっこう効きます。
カレル・ヴァン・ウォルフレンさんの『人間を幸福にしない日本というシステム』という本があります。私は社会人になってから読んで、「日本は官僚国家だ」という言葉にけっこう衝撃を受けました。でもこの本の良いところは、「官僚国家だからダメなのではなく、ちゃんと官僚を使えばいいんだ」と希望を書いているところです。官僚の使い手は普通の人達、一般市民です。一般市民がアカウンタビリティを申し立て、「あなたには説明責任があるんですよ」と言ってごらんと書いてあります。
普通の人が要求すれば、官僚は説明責任を果たさないといけない。彼らが黙っているのは、アカウンタビリティを求められないことを逆手に取っている。だから質問したり、政策提言を自分たちで作って出しなさいと書いてある。最近はアドボカシー、政策提言を出すことがNGO活動の定番になってきたので、少しずつではあるけれども進んでいるなと思います。
官僚はプライドが高くて、聞かれたくないことはこちらが聞かない限り一切説明しません。しかし情報公開法も作られました。この間、インド洋での自衛隊の給油が20万ガロンから80万ガロンに急に増えたのは、ピースデポの方たちがアメリカに情報公開を請求したからです。ピースデポの人もびっくりしているのは、請求したらちゃんと出てきたこと。裏をかえせば、どうせ出てこないと思っている人達が多い。もっとたくさんの人達が問い合わせれば面白い。請求しても出てこない時は、「なんだこれは」とみんなにそれを見せる。
六ヶ所再処理工場についても、自民党の河野太郎さんはどんな物質が出ているのか日本原燃に情報公開請求をしました。ところが真っ黒に墨塗りされた紙が出てきた。それを誰かがウェブにアップしてます。真っ黒なのでどんな物質かは分らないけれど、これが情報公開の現実なのだということをすごくよく分かるので、それはそれで意味がある。メディアの夜明けも近いと、ちょっと思いました。
「排他を排他しよう」というのは私じゃなく誰かが言った言葉で、すごい良いことだなと思ってます。排他的な人は情報が内部完結し自家発酵し、情報に疎くなってしまう。グループの場合は内部にうっ積が溜まる。グループの外には知られていないので、外側から助けることはできない。
自分の意見を言わない人は、周りもなかなか助けられない。しわ寄せに抗議しない人のところにしわが寄っていても、「主張しなかったあなたが悪い」と言われてしまう時がある。だから意見しないといけないけれど、いざ言おうという時に怒っている人が多いんですね。ずっと我慢した上で、限界が来てから言うから。その人にとっては怒るのは当然なんだけれど、周りの人にとっては青天の霹靂で「なんでいきなり怒っているんだろう」と感じてしまう。だからあまり我慢しない方が、言われる方の立場からしても、いいんです。
怒ると相手は怖がってしまう。怖がると逃げたりする。どんな偉い人もみんな基本は恐がりなんですね。だから「あなたと私は対等ですよね」という関係がすごく大事。対等じゃないと怒鳴ったり怒ったりけんかしたりして、どっちが上だと争う感じになる。対等であることは、自分自身も怖がらないことでもある。お互いが怖がっていては話し合いも進まないので、とりあえず話を進めるためにはどんなに意見が食い違っても、多様な意見を寛容して、そこでひるまずに怖がらずに普通に話をする。建設的に話を進めていくということが大事かなと思います。
そうやって自分達を外側に向かって開放すれば、仲間も増えるし広がりが出る。メジャー感も出る。だから排他的になる気持ちを抑えて、排他を排他しないといけない。これが運動のポイントだと教わったことがあります。
<知る権利を大切にして感じたことはすぐに伝える>
例えばフードマイレージ。日本は世界で一番食品を輸入している国なんですが、島国なので当然飛行機か船で運ばれてきます。その輸送で排出されるCO2が食品ごとに換算できます。産地と輸入経路と重さが分かれば計算できる。フードマイレージのホームページには計算機もあります。
問題はCO2を出すことだけじゃなく、たくさんの国に食べ物を頼っていること。「買ってやってる」という意識の人が多いかもしれませんが、実は輸入先の人にとっては迷惑かもしれない。「あなたたちが私たちの食べ物を買っちゃうから、私たちはそれしか作れない」と。本当は自分達の食べるものが作りたいと思っているかもしれない。
そもそも輸入品か国産か見分けがつかなかったら、まずそこまで思いが馳せられない。フードマイレージは、貿易不均衡に関する情報経験になるかなと思います。フードマイレージは大地を守る会がやっていて、単位をつくりました。100グラムのCO2で1ポコです。フードマイレージだけではなくて、他の様々な電化製品や省エネと比べられるのです。
図2を見てください。左の2列がフードマイレージ、右の2列が省エネやマイバックです。フードマイレージのCO2はすごく大きいのになぜそんなに問題にならないかと言うと、京都議定書から外されているからです。なぜ国家間の貿易から出るCO2は含まないとする条項が入ったのか勘ぐりたくなるぐらいです。これが含まれたら日本は到底京都議定書を達成できない。

一番びっくりするのはアスパラとブルーベリー。アスパラ7本でCO2排出量の差が210グラムです。主要産地が長野とオーストラリアで、鮮度がすぐ落ちるから飛行機で持ってくる。高くても売れるから1束230円とかで売ってますが、これが23・8ポコです。23ポコはガソリン1リットルを燃やした時に出るCO2と一緒なんですね。ということは、アスパラ1束の後ろに牛乳パック1本分のガソリンがくっついて売られているのと一緒なんです。専門用語でランドセルと呼ぶそうですが、アスパラはすごいランドセルをしょっているわけです。だから国産のアスパラを買って国内の農家がもうかる方がいいのかなと思います。
ブルーベリー1パックはCO2排出量の差が200グラム。これも主要産地は長野とミシガンでフードマイレージが、27・7ポコです。マイバック1回の省エネは0・6ポコです。私も「ああ忘れちゃった」といつも悔しい思いをするんですが、レジ袋2枚分が入る大きなマイバックでも1・2ポコぐらいの省エネです。エアコンの設定温度を2度低くする、屋上緑化、冷蔵庫の詰めすぎを止めるなどは0・2ポコの省エネ。太陽光発電をつけても1日あたり6・7ポコ。温水器をつけて4ポコ。最近メジャーになってきた「待機電力を消しましょう」でも0・7ポコです。
一生懸命省エネしても1ポコ前後減らすだけで大変だけど、野菜のフードマイレージは軽く2ポコ、3ポコになる。うなぎ1串も、鹿児島産と台湾産では3ポコも違う。豚肉は0・8ポコ。スーパーで売っているのは日本産が多いですが、外食産業はほとんど外国産食材だと教えられました。日本という国はこれだけ地球に迷惑をかけているし、海外の農家や畜産家の人たちにも迷惑をかけている可能性があるのです。
電気については、電気料金請求書の裏を見るとチェックシートがあって係数が記されています。それでCO2が計算できます。偉そうに言う私も、8月分の領収書を見たら1万円を超えていてすごくショックでした。私はほとんど日中家にいられなくて、ばあちゃんと子どもたちだけだったと言い訳しても、これはちょっと多すぎる。でも去年の冬はもっと多くて2万3890円払っていた。計算すると1日で112ポコ。豪邸なんかじゃないすごい小さい家なんですが、鉄でできているから光熱費がかかっているのかもしれない。すごく反省しました。
日本人は1世帯平均1日100~150ポコ出しているらしいです。当然これにはフードマイレージは入っていない。ガソリンも輸入していますから、日本は本当に他の国から色々なものをかき集めています。そのことをもう少し意識して、ちゃんと提言しないといけない。
<怒りをぐっとこらえて表現力を鍛えよう>
様々な問題を見てきましたが、これらはどんなふうに関係しているのかを最後に考えてみましょう。
例えばCO2が増えて地球が温暖化すると魚が獲れなくなって、農作物も採れなくなる。そうすると農家や漁師さんたちが貧しくなり、薪、燃料がなくなって木を伐るようになる。実は大企業の森林伐採よりも貧しい人たちの伐採や焼き畑のし過ぎから出るCO2の方が多いかもしれないとも言われています。
森がなくなって砂漠化が進めば漁師さんや農家の人たちはさらに貧しくなるので、債務も増え、飢餓も広がり、生態系も崩れてしまう。食べていけないから、戦争の方がまだましだと戦争が増える。そうすると劣化ウラン弾とかが使われて、ますます生態系が崩れてしまう。
CO2を減らすために原子力発電で補おうとすると核のゴミが出て、その核のゴミが三陸の海へ流れて被曝する人は増える。それが表向き出なくとも、風評被害は広がって三陸の漁師さんたちは打撃を受ける。日本の食材への信頼感も減ってしまって、ますます輸入に頼るとさらにCO2が出る。悪循環がいっぱいあるから、それを断ち切らないといけない。
タスマニアの森ではガンズ社という企業が原生林を切り倒しているそうです。法律違反なんですが、問いただされないことをいいことに、木をダイナマイトで爆破してチップにして日本向けに輸出しているそうです。日本製紙、王子製紙、中越パルプは10%ぐらいタスマニア原生林が混ざっているんじゃないかと言われているので、ティッシュを買う時は注意してください。ひとつ日本製紙、王子製紙、中越パルプの弁護をすると、オーストラリア政府が「原生林チップは混入していない」と約束しているから輸入しているのだと現地NGOが言っていました。この3つの日本の製紙会社もまた被害者なのかもしれません。それにしてもこのガンズ社という会社のやり方はえげつない、と言っていました。
ダイナマイトで爆破した後、森に住んでいた動物を殺すために殺獣剤と呼ばれる毒薬をニンジンに仕込んで撒くらしいんです。それを食べたたくさんの動物たちは死ぬ。現地のNGOウィルダネス・ソサイエティの人たちから写真をもらいましたが、美しいタスマニアでそんなことが行われている。しかしそれが知らされてない。だからそれをみんなで、口コミを含めて知らせないといけない。
「私たちには知る権利があります」と主張して、自分たちの意見をまとめ、人に伝え提案していく。誰かが言ってくれるまで待ってちゃいけない。民主主義をちゃんと機能させるために、「脱しわよせ」でいきましょう。
怒りたくなる気持ちがあった時も、ぐっとこらえて相手を怖がらせない。実りをある回答を引き出すために表現力を鍛えよう。洞爺湖サミットへ向けてはそんな感じでいきたいと思いますので、何かあったらよろしくお願いします。
PROFILE▼まえきた・みやこ
広告メディアクリエイティブ「サステナ」代表。1994年より環境NGO支援のための「サステナ」設立。エコ・ライフスタイル・メディア「エココロ」編集主幹。テレビ朝日「素敵な宇宙船地球号」番組内「エココロテレビ」企画監修。「100万人のキャンドルナイト」よびかけ人代表、ホワイトバンドキャンペーン「ほっとけない世界のまずしさ」キャンペーンアドバイザーなど環境、貧困の問題に新しい視点で取り組む。立教大学非常勤講師。近著に『エコシフト』。
