2・17 座り込み用デッキを建設
 
 東京都八王子市の圏央道(首都圏中央連絡自動車道)高尾山トンネル建設予定地。ここで2月17日、高尾山の保護を訴える「虔十の会」とトラスト地の地権者が集まって、トンネル建設に反対する座り込み用デッキを制作。土地の収用期限である3月25日が迫る中、「座っていいとも! 工事だよ、全員集合!チェーンアクション」が開始された。

座っていいとも!

 朝8時、京王線高尾山口駅に続々と参加者が集合。数台の車に分乗して高尾山南麓・南浅川にある「地権者の会むささび党」トラスト地に向かう。

 現在、圏央道は関越自動車道・鶴ヶ島インターチェンジから中央自動車道と連結する八王子ジャンクションまで完成している。国はさらに裏高尾町を橋梁でまたいで高尾山にトンネルを通す予定だ。

 自然破壊をくい止めようと「地権者の会むささび党」は、高尾山北側の立木トラストと高尾山南側の土地トラストで抵抗。また他の保護団体とともに工事差し止め訴訟や土地収用事業認定取り消し訴訟を提訴してきた。

 2006年12月、国交省は収用裁決を東京都の収用委に申請。2007年4月から公開審理がはじまった。ところが同年5月、国交省は裁決を待たずに高尾山南麓・南浅川(八王子南インター予定地)からトンネル工事に着工。これを追認するように6月には工事差し止め訴訟が「棄却」され、12月末には土地収用裁決が決定した。

 この土地収用に抗すべく、座り込み用デッキを提案したのは、地権者でもある「虔十の会」代表の坂田昌子さん。「国交省は『むささび党』の地権者に何の通達もせず、他の地権者立ち会いの下で境界線を確定し、工事を押し通そうとしている。そんなやり方には黙っていられない」と憤る。

 工事現場一帯の山はもともと入会地で、番地の境界線が不明瞭。境界線があいまいなまま、国側は恣意的に「収用区域」を画定し、トラスト地をフェンスで囲ってしまった。

 フェンス横には巨大な工事用橋梁が山腹に向かって掛けられている。山肌に打ち込まれた鉄柱が痛々しい。トンネル工事の現場は緑の鉄板で覆われ、中をうかがうことはできない。昨年12月に国会議員らが視察し、下り線がすでに140メートルも掘削されていることが明らかになった。合意形成をおざなりにして、既成事実をつくろうとする国の姿勢が如実に表れている。

 座り込みデッキは、トンネル工事現場の向かい側の斜面、フェンスで囲われた土地の外側に設置することに。現場は日が射さない沢筋で冷たい風が始終吹いている。作業開始時の気温はマイナス5℃。雪も凍り付いたままだ。

 参加者は手袋をはめ、材木をトラックから降ろし、工事用橋梁の下を通って作業現場に運び込む。太い梁材は裏高尾でつくったツリーハウスの残材。床材はホームセンターで購入したものだ。

 最初に支柱となる杉の木を決め、工事の安全を願って坂田さんが「御神酒」を注ぐ。その後、梁材をボルトで木に固定し、板材を張っていく。インパクトドライバーが4~5本用意され作業が早い。

手際よく作業は進む

 お昼には高尾山周辺の住民から豚汁とおにぎりの差し入れ。「うまい!あったまるなあ」。冷え切った体を豚汁が温めてくれる。

 昼食後も作業を続けていると、国交省相武国道用地課二課の西沢氏他3名が現場を訪れ、「我々が買収した土地だから撤去して欲しい」と語る。

 坂田さんや「むささび党」の石鍋誠さんらが一斉に抗議。「私たちのトラスト地に建てているだけだ。国交省こそ勝手に工事をはじめたんじゃないのか」。工事によって沢が涸れたことや、貴重植物種タマノカンアオイが減少したことを問いつめていくと、担当者は言葉少なに帰っていった。

  デッキは3時過ぎには完成。女性たちが作成した看板を取り付け、皆で記念撮影。「虔十の会」は、今後様々なアーティストに呼びかけて座り込みを盛り上げていく計画だ。寒い中での作業だったが、参加者の顔は明るかった。

  (編集部)
デッキの目の前で工事が進む