Actio 1261号(2008年2月10日発行)
CONTENTS
Topics(1面)
・ガソリン税論議よりエコロジカル税制改革を
環境税で福祉や社会保障を充実させるEU諸国
現在開催中の通常国会は、「ガソリン国会」「道路国会」と呼ばれている。3月末で期限切れとなるガソリン税暫定税率を延長するか否かを巡り、与野党が激しい攻防を繰り広げているからだ。
当初与党は、現行の暫定税率を5月末まで2カ月延長する「つなぎ法案」を目論んでいた。野党が過半数を占める参議院で否決されても、憲法59条で定められた「60日ルール」により衆議院で再可決する。この時間稼ぎにより暫定税率をさらに10年延長する租税特措法改正案を成立させる狙いだった。
しかし民主党をはじめとする野党各党は、参議院の存在を無視した暴挙だと猛反発。結局与党は「つなぎ法案」を取り下げ、やっと本格的な予算審議が開始される。「ガソリン値下げ隊」を発足させ「道路利権VS国民生活」を掲げてきた民主党は、暫定税率延長に反対する構えを崩していない。
Opinion(2面)
・パラダイム・チェンジからネーム・チェンジへ
変革へ向けた強い意志が未来を決する
アクティオ・ネットワーク(前ブント)代表 水澤努
「名は体を表す」という諺があります。その意味でブント(BUND)はもはや、私たちの組織の体を表しているとはいえません。
昨年5月の総会において規約を改正し、冒頭に「BUNDは『絆』を意味するドイツ語である」と記してルーツからの読み替えを試みました。しかし広義の「ブント」は社会運動の歴史に大きな位置を持っているだけに、やはり読み替えには無理があります。今や私たちは、自らの体を表すにふさわしい名称へ変更すべき時を迎えています。
Reports (3〜5面)
・ブント・スピリッツを引き継ぎ社会運動のネットワークを!
臨時総会においてアクティオ・ネットワークへの組織名称変更を決定
1月20日山梨県においてブント臨時総会が開催された。
今回の臨時総会は、水澤努代表による組織名称変更の提起を討議すべく開催された。規約に基いて昨年11月に運営委員会が開催を決定、会員には事前に議題が提起されていた。
午前9時半、運営委員会によって司会に選ばれたActio編集部の長田武さんが開会あいさつし、まず総会成立の可否を確認する。各セクションからの報告により、委任状を含めて全会員の98%以上の出席及び委任により総会成立が確定した。
・行動によって社会を変革するブントの心意気を継承しよう
アクティオ・ネットワーク代表 水澤努
組織名称変更を討議した臨時総会の場では、「ブントとして育んできたアイデンティティをどう継承するのか」との質問が出ました。同時に、名称変更に伴って社会変革を志向するブント・スピリッツをあらためて明らかにすべきとの意見も出されました。
組織名称変更を提起した私自身、ブントが育んできたアイデンティティを全否定するわけではありません。むしろそのポジティブな面を積極的に継承し、発展させるためにこそ名称変更を提起したのです。
・脱原発を掲げた相沢一正さん
東海村議会選挙で見事返り咲き
市民講座ハチドリの会 勢川雅彦
1月20日茨城県東海村議会選挙が行われ、元議員の相沢一正さんが返り咲き当選を果たした。企業や労組、政党などの組織基盤がないなかで、候補者22名、定員20名中16位、699票を獲得。
昨年新潟中越沖地震では、柏崎刈羽原発が重大なダメージを受けた。東海第2原発を抱え原子力産業が密集する東海村では、9年前にJCO臨界事故が起きている。しかし今回の選挙では、ほとんどの候補がそうした問題に触れなかった。
こうしたなかで相沢さんは、原子力事故の再発防止、JCO事故被害者支援を正面から取り上げた。同時に原子力に依存せず、農業と自然環境を大切にする新しい村づくりを訴えて村民の支持をかちとったのだ。
地元で市民運動を共にしてきた仲間として、私たちも全力で応援した。当選して本当に嬉しい。
・高尾山トンネル工事問題が広く認知された
八王子市長選挙で橋本よしひろ氏善戦するも惜敗
虔十の会 坂田昌子
1月27日に投票が行われた八王子市長選は、高尾山トンネル工事をおもな争点として、自民・公明が推す現職黒須隆一氏と、共産・生活者ネット・社民・民主党の一部議員が推す新人候補橋本よしひろ氏の一騎打ちになった。
虔十の会は、団体加盟している「高尾山の自然をまもる市民の会」の事務局長・橋本よしひろ氏を応援。「市民の会」は、圏央道トンネル工事に反対し続けてきた中心的な団体だ。しかし結果は黒須氏8万4887票、橋本氏6万3540票で惜敗。投票率は、34・37%だった。
・再処理工場の放射能で三陸の海を汚すな
「NO NUKES MORE HEARTS 」「Nobody talks, Nothing changes 30万署名パレード」
・地元住民も首長も前方司令部に反対
キャンプ座間での発足式に約200人が抗議
Interview(6〜7面)
・やんばるの森とジュゴンの海を守りたい
米軍基地は沖縄の豊かな自然を破壊する
WWF(世界自然保護基金)ジャパン自然保護室主任・花輪伸一さん
1月25日、米サンフランシスコ連邦地裁は沖縄辺野古に生息するジュゴンを保護すべき文化財として認め、基地移設に伴う環境影響調査を国防総省に命じた。この判決を前に自然保護活動に取り組むなかで、沖縄の基地問題と向き合っているWWF(世界自然保護基金)ジャパン自然保護室主任の花輪伸一さんに問題の背景を聞いた。
International (8面)
・南アジアの人々は1日2ドル以下で生活している
G8諸国は本気で貧困対策に取り組むべき
2007年10月14日、2008年G8サミットNGOフォーラム主催の国際会議、「2008年G8サミットに向けて市民社会ができること」が開催された。プレゼンテーターはアニル・シンさん。
Review (9面)
・書評『会社の品格』(小笹芳央・著 幻冬舎新書)
「会社あっての社員」から「社員あっての会社」の時代
内外の円滑なコミュニケーションが組織に品格をもたらす
従来の会社評価は、主に経営者の側に立った経営論として語られてきた。ホンダ技研の本多宗一郎、ナショナル電気の松下幸之助など、戦後日本を代表する企業を起こした人々のユニークな経営にスポットが当てられたのだ。
鉛筆1本まで徹底的に経費削減にこだわった「経営の神様」松下に象徴されるのは、大衆消費財をできるだけ安く、なおかつ高い品質で大量に生産する企業の姿だ。豊かになることはモノが満たされていくことと同義だった高度成長期までの日本では、それが最も必要とされた。
しかし地球環境問題が深刻化する現在、企業は安く大量に生産してとにかく金儲けをすれば良いという時代は終わりに近づいている。同時に耐震偽装や食品偽装など、「会社の品格」が問い直される事件が相次いでいる。問題発覚の背景には、自分の会社業務に疑問を感じて内部告発する社員が存在する。
社員をないがしろにする会社は、同時に内部に大きな矛盾を抱えているわけだ。ゆえに、今や社員の視点に立った経営論が必要とされている。本書はまさに、社員の人間関係とモチベーションに定位した興味深い視点を提起している。
Close Up (10〜11面)
・「介護職の乾き」と向き合う日々
それでも人に関わる仕事をしたい
後藤喜一(30代・介護職員)
私は昨年3月、それまで勤めていた介護施設を辞めて病院の介護職へ転職した。そこは「特殊疾患入院施設承認病院」。有効な治療が難しい難病指定の神経難病を患っている方が多い。
主な神経難病はALS(筋萎縮性側索硬化症)、パーキンソン病などで、言語障害、呼吸不全、四肢麻痺、排便排尿障害など様々な進行性の運動障害を伴っている。入院されている方は全員気管切開されており、自力呼吸ができない8割以上は人工呼吸器を使用している。
自力呼吸ができる場合でも酸素が送られており、全ての人は口・鼻・喉の吸引が必要な状態だ。主な原因は脳血管疾患(脳梗塞・脳出血・くも膜下出血)、脳腫瘍、脳外傷、脊髄損傷、蘇生後遺症などによる。。
・ハイビームで事故は防げるか
歩道のない田舎道で事故が起きている
加藤邦幸(30代・元自動車部品販売営業マン)
私は茨城県に住んでいる。仕事帰りに太平洋沿いの国道51号を自家用車で走っていると、電光掲示板に「夜間のライトは上向きで」と表示されていた。
夜間走行でハイビーム? 対向車にも歩行者にもまぶしいんじゃないかと疑問がわいた。調べてみると、夜間走行のハイビーム指導は2006年5月頃に茨城県警で始まり、現在13県警で取り組まれていることが分かった。ロービーム(下向き)だと事故の危険性が増えるからだという。
『JAFメイト』(2007年11月号)では、夜間の事故例として茨城県北西部で起こった1件の人身事故を取り上げていた。事故が起きたのは午後8時45分頃。現場は水田地帯を抜ける幅5mの道。周囲は街路灯が設置されておらず真っ暗な場所だった。
「突然、男性ドライバーの目に飛び込んできたのは歩行者の後ろ姿。十数m先の車道の左側だった。ドンッ。事故は起きた。ブレーキを踏むことなくぶつかった」
被害者の女性は死亡。事故を起こした車はロービームで走行していた。。
