Actio 1260号(2008年1月25日発行)
CONTENTS
Topics
・ミシュランガイド三ツ星の高尾山
トンネルを掘れば水系は破壊される(1面)
昨年12月27日、東京都収用委員会は圏央道建設予定地の収用と土地使用を認める裁決を下した。これを受けて国土交通省と中日本高速道路株式会社は、2009年度末までに八王子ジャンクション―八王子南インターチェンジ間(約2・1㎞)の開通を目指している。
最大の問題は、この区間を開通するために高尾山にトンネルが掘られることだ。この工事は2006年4月国交相が事業認定したが、地権者ら約560人は買収を拒否。そこで同年12月、国交相は収用委に収用裁決を申請した。予定されるトンネル真上の土地所有者も土地使用を拒否したため、同土地への使用裁決も申請されていた。
今回の裁決により、中途で止まっていたトンネル工事はいつ再開されてもおかしくない。住民側は地裁に収用裁決の取り消しを請求する方針だ。
Activity
・JCO臨界事故を風化させないために
健康被害を訴えた裁判の判決に注目して欲しい
市民講座ハチドリの会(2面)
昨年11月14日、「JCO臨界事故健康被害裁判」は水戸地方裁判所で結審を迎えた。平日にもかかわらず傍聴席は満席。取材に駆けつけたマスコミ、被告の住友金属鉱山やJCO関係者も多数いたが、何よりこの裁判を支えてきた地元住民にとっては5年にわたる闘いを締め括る日だった。この裁判を支え、地元で脱原発運動を続けている市民講座ハチドリの会は、2月27日に予定されている判決を前にあらためてこの裁判の意義を訴えている。
・様々な生き物が生息する盤洲干潟
センス・オブ・ワンダーを取り戻そう(3面)
今年3月、G20閣僚級対話が千葉県で開催される。それを受けて「生物多様性ちば県戦略」を策定している千葉には、東京湾に残る数少ない自然干潟・盤洲干潟がある。地元で自然観察を続ける宋石林さんに干潟の大切さについて聞いた。
Opinion (4〜5面)
・4月から東京23区で廃プラスチック焼却が始まる
健康と環境へのリスクについて考えてみた
蘇我畔太郎(グリーンアクションさいたま)
今年4月から東京23区で、プラスチックごみの焼却事業が本格的にスタートする。
東京23区は1974年以降、廃プラスチックを「不燃物」として扱ってきた。「炉が傷む」「塩化水素の発生によって健康被害が生じる」などが理由だ。それが一転して「可燃物」として扱われることになったのである。
プラスチックごみの焼却は、ダイオキシンその他の危険な化学物質を発生させ、温室効果ガス増加も懸念される。各地で取り組まれているプラスチックごみの減量化や再資源化に向けた取り組みに水をさすことにもなる。
ゆえに昨年暮れ、この政策に反対する住民は事業主体である東京23区清掃一部事業組合を相手に住民監査請求を申請。健康被害を懸念する人々は、公害調停申立ての準備も進めている。
私は埼玉県くぬぎ山のダイオキシン問題をきっかけにごみ問題に関心を持ち、現在は寄居町にある彩の国資源循環工場周辺の環境調査に取り組んでいる。東京23区が開始しようとしている廃プラ焼却の問題点について検討してみたい。
・ごみ減量の基本は3R(Reduce・Reuse・Recycle)
サーマルリサイクルを主軸にするのは疑問だ
吉永一矢(清掃労働者)
東京23区では2008年度から、廃プラのサーマルリサイクル(熱回収)が始まろうとしている。既に私が働く区では、昨年10月より一部地域で実施されている。
これまで23区では、廃プラは燃やさないごみとして収集され、埋め立て処分されてきた。しかし2004年東京都廃棄物審議会は、「廃プラは貴重な資源であり、埋め立て不適物だ」と埋め立て処分の中止を求めた。さらに05年環境省中央環境審議会で廃プラのサーマルリサイクルが打ち出され、ついに23区でも実施されることになったのだ。
Interview (6〜8面)
・「ネオリベラルなグローバリゼーションと闘う」
貧困廃絶を求める声がサミットを突き動かしてきた
北沢洋子さん
今年の夏、北海道洞爺湖で開催されるG8サミット。昨年、東京で開催された「洞爺湖サミットに吹く風Vol.1」で、北沢洋子さんが講演。北沢さんは、ジュビリー2000が勝ち取った成果を報告し、サミットで貧困問題をとりあげさせる重要性を訴えた。
Review (9面)
・映評『いのちの食べかた』(ニコラウス・ゲイハルター監督作品)
食物をめぐるあまりにショッキングな現実
人間の幸福はパンのみにあらず(栄養士・横尾佐和)
自分が食べる肉や野菜はどのようにして生産され、スーパーの店頭にならぶのか、多くの人は知らないと思う。
私自身、食を扱う栄養士でありながらほとんど関心がなかった。
この映画は食料(野菜や穀物、鶏・豚・牛肉、魚、塩など)の生産過程を淡々と映し出す。ナレーションもインタビューも音楽もない。機械化され管理された食物工場では、人々はミスのないよう機械の一部となってもくもくと働く。生肉工場では牛の足が電気カッターで切られ、ブロイラー工場ではひよこがわしづかみにされてコンベアーに流される。
人間は食物連鎖の頂点にいるが(牛乳販売業・山上達也)
野菜や果物、魚肉から鶏、豚、牛肉まで。その大量生産の現場を淡々と映し出すドキュメンタリー。撮影場所は主にヨーロッパの国々だ。作品にはナレーションもテロップも一切無いが、何をしている場面かは全て理解できるようになっている。
驚かされるのは生産規模の大きさと徹底した効率化の凄さ。私の想像を完全に超えていた。圧巻なのはブロイラー工場だ。野球場が何個も入りそうな広大な鶏舎で身動きできないほど過密飼育されたブロイラーを「収穫」する。まるで巨大な掃除機のような重機で吸い上げられていく鳥たちは、私にはもはや「生きもの」に見えなかった。
Close Up
・ユニバーサルデザインが普及してきた
バリアフリー新法を街づくりに活かそう
小川愛子(ふじみ野市会議員)(10面)
私は埼玉県ふじみ野市の障がい者サークル「とんぼの会」に関わっている。活動の中で、ノーマライゼーション、ユニバーサルデザイン、バリアフリーなどの言葉に触れることが多い。福祉を語る上で必ず出て来る言葉だが、どのような意味があるのだろうか。
・障がい者の交通アクセス行動に参加して
使えない設備が多いことに気づいた
小川幸吉(とんぼの会)(10面)
昨年の10月21日、埼玉県行田市を中心に「交通アクセスIN行田」が取り組まれた。DPI(障害者インターナショナル)日本会議が呼びかけている「誰もが使える交通機関を求める全国行動」の埼玉での取り組みで、県内の障がい者団体やボランティア140名が参加した。
・マスコミに踊らされる消費者が多すぎる
元・食材屋が語る食品偽装問題
井上正太郎(11面)
ギソー・ギソーと世間がかまびすしい。
でもねえ、食料自給率4割のニッポンでそんなに大騒ぎしてたら、明日から喰うモン無くなるぜ。いや、マジで。
新年早々、ほろ酔いついでに元・食材屋の独り言でも聞いてくれよ。
