Actio 1257号(2007年12月10日発行)
CONTENTS
Topics
・サブプライムローンは最後のバブルだった
資源・エネルギー・環境問題こそ本当の危機だ(1面)
この夏以降世界経済を襲ったサブプライム問題は、一向に沈静化する目処が立たない。
2000年のITバブル崩壊以降、アメリカの内需を喚起し世界経済を牽引してきた住宅バブルは完全に崩壊し、世界の金融・証券市場に激震が走っている。
アメリカで住宅バブルが膨らんだ原因は、NINJA(ニンジャ)ローンと呼ばれる低所得者向け住宅融資(サブプライムローン)だ。NINJAとは、収入も仕事も資産もない、ノー・インカム、ノー・ジョブ、ノー・アセットな低所得者層のことを指す。
本来なら融資を受けられないこうした人々に、最初の数年だけ金利を低く設定する住宅ローンが大盤振る舞いされてきた。余りにも実体経済からかけ離れた、空前の金余り現象が背景にある。ITバブル崩壊後のアメリカ経済の失速を回避するため、元FRB(連邦準備制度理事会)議長のグリーンスパンが低金利政策を続けたことも拍車をかけた。
年収がほとんど無い人に数億円の融資すら可能にするサブプライムローンは、極めてリスクが高い。通常ならば銀行や投資会社は手を出さない。しかしこれが証券化され、さらにそれらを束ねた債務担保証券(CDO)として金融・証券市場に出回っていた。どんな人がどんな条件でローンを組んだのかはブラック・ボックス化されたのである。
Opinion
・ウミガメ絶滅の危機は人類への警鐘
豊かな生態系サービスはお金では買えない(2-3面)
坂田昌子(虔十の会)
2年前の6月、私は世界遺産屋久島を訪れた。その際、「NPO法人屋久島うみがめ館」の館長大牟田一美さんの案内で、ウミガメの産卵を目の当たりにした。
場所は田舎浜の浜辺。月もない真っ暗な夜、アカウミガメは静かに砂浜に上がってきた。上陸時にはとても神経質で、人の姿を見れば決して上がってこない。私たちは息をひそめて遠くから見守る。
しばらく浜の様子を探るようにじっとした後、ゆっくりと動き始める。産卵場所を決め、フーと大きな息をつくと、おもむろに後肢で穴を掘り始めた。こうなると穴掘りに夢中になり、人が近づいても大丈夫だ。調査員は甲長と甲幅を計測する。
ウミガメは本来、十分な穴の深さを確保しなければ卵を産まない。砂を掘り進め、後肢が宙に浮いてはじめて産卵を始める。ところが、浜辺の砂が減ったためにすぐに固い土に突き当たってしまい、放置すれば後肢を血まみれにして掘り続ける。そこで大牟田さんが考案したのがウミガメ助産器だ。これでお尻を少し吊り上げてやると後肢が宙をかき、ウミガメは十分な深さの穴が掘れたと錯覚するのだ。
いよいよ産卵が始まった。「フー、フー」という荒い息と共にピンポン玉ぐらいの大きさのプヨプヨしたやわらかい卵が穴に落ちる。私たちはその後ろで待機し、産み落とされた卵をすぐに取り出して保護する。後で十分な深さの穴を掘って埋めなおすのだ。
20分程で100個位の卵を産んだら、今度は穴を埋め始めた。既に卵は保護のために取り出しているが、ウミガメにはそれは分らない。穴を完全に埋め、カモフラージュのために砂を後方に飛ばせた後、無事お産を済ませた彼女は疲れきった体を引きずりながら静かに海へ戻っていった。
Reports (4〜5面)
・放射能まみれの未来はゴメンだ
「NO NUKES MORE HEARTS」 ストップ再処理 パーティ&パレード
・一人でも多くの人に再処理工場の危険性を知ってほしい!
青森市青い森公園で反核LIVE
・廃絶へ向け国連は一歩踏み出した
劣化ウラン兵器禁止を求める国際行動デー
・自治体・市民一体で反基地訴える
ピース・フェスティバルin大和・綾瀬2007 他
Interview
・人と環境に優しい自転車で洞爺湖を目指す
サミットは実効性ある温暖化対策を議論すべきだ
横山茂彦さん(6-7面)
来年7月北海道洞爺湖でG8サミットが開催される。サミットに抜本的な温暖化対策を求めるキャンペーンの一環として、首都圏〜洞爺湖間1000キロの自転車ツーリングを呼びかけている横山茂彦さんに聞いた。(ツーリング趣意書は8面に掲載)
Project(8面)
来年のG8サミットに向けてツーリング2008洞爺湖が呼びかけられている。以下、趣意書を掲載する。
International (9面)
・オーストラリア全土に放射能が拡散する
ウラン鉱山開発に警鐘を鳴らすドキュメンタリー『A Hard Rain』
オーストラリアのオリンピック・ダム鉱山は、ウラン鉱山としては世界1の埋蔵量を誇る。同鉱山は1975年に発見され、87年より採掘が開始された。銅、金、ウランを産出し、非鉄金属の世界最大手BHPビリトン社が所有する。名称は、1956年メルボルン・オリンピックの年に貯水用ダムが造られたことに由来する。
この鉱山で最近、大規模な拡張計画が発表された。これに危機感を覚えたオーストラリアのドキュメンタリーフィルム監督、デイヴィッド・ブラッドベリー氏は、オリンピック・ダム鉱山問題を取り上げたドキュメンタリー作品『A Hard Rain』を発表した。社会運動家でもあるデイヴィッド氏は、鉱山拡張計画の危険性を告発し、ウェブサイトに6分間の短縮版をアップしている(http://www.frontlinefilms.com.au/blog2/?p=26)。
問題の背景には労働党の路線転換がある。過去11年間、オーストラリア連邦政府与党は保守連合だったが、各州政府は労働党が掌握してきた。連邦政府の権限は外交や貿易、国防など対外的なものに限られ、鉱山開発の許認可権は州政府の管轄下にある。ウラン鉱山開発を推進したい与党と、規制を求める野党は長年争ってきたが、今年4月労働党はウラン鉱山の開発を規制する綱領を撤廃したのだ。
今回の総選挙でハワード氏率いる保守連合は敗れたが、与党となった労働党もウラン鉱山開発を推進しようとしている。このままでは、オーストラリア全土が放射能で汚染されてしまう。
Review (10面)
・映評『水になった村』(大西暢夫監督作品)
忘れかけている四季の恵み
豊かさの意味を問いなおす
村上弘
2006年秋、岐阜県徳山ダムで試験湛水が始まった。来年完成すれば、総貯水量6億6千万立方メートルを有する日本最大のダムとなる。
ダムの湖面の下には、旧徳山村の8つの集落が眠っている。50年前にダム建設の話が持ち上がった時には、約1600人が住んでいた村だ。ほとんどの住民はダム建設にともない市街地につくられた移転地へと引っ越したが、水没寸前まで村にとどまり生活を続けた老人たちがいる。
・書評『食品の裏側』(安部司 東洋経済)
安いものには理由がある
岩本洋
食品企業のモラル・責任が問われる事件が相次いでいる。「ミートホープ」や「船場吉兆」、「白い恋人」や「赤福」など毎日のように報道されて呆れる限りだ。
いずれの企業も虚偽情報を記載した食品を消費者に売りつけていた。しかし問題は、食品表示の偽装だけなのか。そもそも私たちは本当に安全なものを食べているのだろうか。
Close Up
・精神と肉体を内側からリラックスさせる代替医療
ストレス過剰な現代社会を生き抜くのは辛い
富井典之(40代 専門学校生) (11面)
自分で言うのもなんだが、私はもともと「キレるオヤジ」だった。ところが1年ほど前から普段でもイライラして頭がのぼせることが多くなった。夜中も動悸がして眠れない。
「アル中か?」と思って禁酒したが治らない。下痢や頭痛にも悩まされた。一番困ったのは頻尿だ。本屋で立ち読み中急に尿意を感じトイレに飛び込んでも、タッチの差でちびってしまう。子どものころの寝小便を思いだして自嘲したが、さすがにこれには参った。
そこで内科の検診を受けたところ、「自律神経失調症」と診断された。生活習慣の乱れやストレスが原因らしい。思い当たる節はある。この1〜2年、妻との死別や職場でのトラブルなど人並みに様々な心労が重なったのだ。
