世界から見放されるサハラ以南アフリカの貧困

 2001年国連はミレニアム開発目標(Millennium Development Goals: MDGs)を採択した。2015年までに世界が貧困や格差を是正するために達成すべき8つの目標と、それに伴う具体的ターゲットを掲げたのだ。

 8つの目標は以下の通り。①「極度の貧困と飢餓の撲滅(1日の所得1ドル未満の人口の半減。飢餓の半減)」②「普遍的初等教育の達成」③「ジェンダーの平等の推進と女性の地位向上」④「幼児死亡率の削減(3分の2引き下げる)」⑤「妊産婦の健康の改善(妊婦死亡率を4分の3引き下げる)」⑥「HIV/エイズ、マラリア、その他の疾病の蔓延防止」⑦「環境の持続可能性の確保」⑧「開発のためのグローバル・パートナーシップの推進」。

 目標達成期限までの折り返しとなる本年7月、国連は中間報告を発表した。報告では各国の努力による前進を評価しつつも、次のような問題を指摘している。

 依然として世界では毎年50万人を超える女性が治療・予防可能な妊娠・出産関連の合併症で命を落としている。これらの合併症で死亡する危険は先進国では3800人に1人だが、サハラ以南のアフリカでは16人に1人に上る。

 また2005年時点で1500万人を超える子どもが、片親や両親をエイズで失っている。エイズ問題だけでなく、開発途上国で暮らす人々の半数は基礎的な衛生施設を利用することができない。さらにほとんどの国々では若者に雇用機会を提供できず、若者の失業率は大人の3倍を超えている。

 つまり未だに世界では貧困により無数の人々が苦しんでおり、8億の人々は飢えたままなのだ。毎年5歳未満の子供は1000万人死亡し、そのうちの半分は栄養失調が原因だ。エイズが蔓延するボツワナでは平均寿命はわずか34歳で、さらに2010年には27歳になると予測されている。

 ミレニアム開発目標にも関わらず、グローバリズムの進展下世界中の富をアメリカなどの一握りの先進諸国が吸い上げ、貧富の格差は拡大するばかりだ。1960年に30対1だった先進国と途上国との格差は、2002年には114対1に拡大した。世界の金持ち225人の総資産は1兆ドルを超え、その額は貧しい国に住む25億人の1年間の総収入に匹敵する。世界の大富豪15人の総資産は南アフリカを除くサハラ以南アフリカ諸国のGDPの合計と等しい。ビル・ゲイツ1人の資産ですら、途上国49カ国のGDPの合計よりも大きいのだ。

 国連ミレニアム・プロジェクトは、毎年の援助額を世界の軍事費の5%分(2006年は480億ドル)増額するだけでミレニアム目標は達成可能だと訴えている。先進国政府が本気で取り組めば、十分実現可能な目標なのだ。来年7月北海道洞爺湖サミットに集うG8各国首脳に、温暖化対策と並ぶ最優先の課題として突きつける必要がある。

 2005年のイギリス、グレン・イーグルズ・サミットには25万人、並行して世界各地で開催されたLIVE8(コンサート)には総勢200万人が集まった。今年のドイツ・ハイリゲンダム・サミットでも数万の人々が集結。NGOや市民の声がG8を突き動かし、気候変動や貧困問題への取り組みを促してきた。

 こうした欧米の動きと連動し、日本の社会運動はこれまで以上に大きな役割を果たしていかなければならない。貧困に喘ぐ世界の半分以上の人々の苦しみや怒りは、今や先進国に住むわれわれにとっても決して他人事ではないのだ。

 日本でも貧困と格差はますます拡大している。飽食のこの国で餓死者が出るほど、セーフティネットは機能していない。「弱肉強食」の構造改革の名の下で、地域社会や人々の絆はズタズタに切り裂かれている。北海道夕張市の財政破綻は、途上国の累積債務問題と瓜二つだ。

 民間企業に働く労働者の4人に1人が年収200万以下の暮らしを余儀なくされ、「生きさせろ」という叫びは大きくなるばかりだ。グローバリズムの嵐は、途上国だけでなくこの日本でも耐え難いほどの矛盾と苦痛を生み出している。

 グローバリゼーションの負の側面と対決し、地域のコミュニティを守り、抵抗の拠点を創造しよう。基本的人権である最低限度の文化的生活のためには、より公正な富の再分配が必要だ。

 G8へこうした声を届ける大キャンペーンの第1弾、「洞爺湖サミットに吹く風 Vol.1」を成功させ、この日本から一陣の風を巻き起こそう! 12月2日はベルサール西新宿へ集まろう!

2008年G8サミットに向けて日本の市民社会ができること

10月14日東京で「2008年G8サミットに向けて日本の市民社会ができること」が開催され、200名以上が参加。アフリカ・インドからゲストスピーカーが招聘され、環境や貧困、平和・人権をテーマに活発な討論が行なわれた(詳細次号)

(1254号 2007年10月25日発行)