CONTENTS

  Topics

・世界から見放されるサハラ以南アフリカの貧困
このままでは国連ミレニアム開発目標は達成できない
(1面)

 2001年国連はミレニアム開発目標(Millennium Development Goals: MDGs)を採択した。2015年までに世界が貧困や格差を是正するために達成すべき8つの目標と、それに伴う具体的ターゲットを掲げたのだ。
 8つの目標は以下の通り。①「極度の貧困と飢餓の撲滅(1日の所得1ドル未満の人口の半減。飢餓の半減)」②「普遍的初等教育の達成」③「ジェンダーの平等の推進と女性の地位向上」④「幼児死亡率の削減(3分の2引き下げる)」⑤「妊産婦の健康の改善(妊婦死亡率を4分の3引き下げる)」⑥「HIV/エイズ、マラリア、その他の疾病の蔓延防止」⑦「環境の持続可能性の確保」⑧「開発のためのグローバル・パートナーシップの推進」。
 目標達成期限までの折り返しとなる本年7月、国連は中間報告を発表した。

 

  Opinion 

・ケインズ主義とベバリッジ報告は戦後福祉国家の両輪だった
経済成長を前提とした社会保障は持続不可能
(2-3面)

     長田武(編集部)

 小泉政権以降の構造改革により、日本における格差は急速に拡大した。今や民間企業で働く労働者の約4人に1人、1000万人以上が年収200万以下だ。
 戦後の再分配政策の中心を占めてきた公共事業が縮小する一方で、医療・福祉などの社会保障費も大幅に削減され、セーフティネットは崩壊した。生活保護制度も十分に機能しておらず、世界に誇る経済大国であるはずの日本では、毎年50人以上が餓死している。
 政府がこれ以上の格差と貧困の拡大を容認することは、明らかに憲法違反だ。憲法25条第1項では、「すべて国民は、健康で文化的な最低限度の生活を営む権利を有する」と謳い、第2項では「国はすべての生活部面について、社会福祉、社会保障及び公衆衛生の向上及び増進に努めなければならない」と定めている。
 格差と貧困に喘ぐ日本国民は、社会保障制度の抜本的改革を求める権利がある。しかし、右肩上がりの経済成長を前提としたこれまでの社会保障制度は持続不可能だ。
 持続可能な社会保障へのパラダイム・シフトが求められている。

 

  Reports (4〜5面)

・地域住民を脅かす原子力産業
「東海村臨界事故を忘れない 再び事故を起こさせない 8周年集会」

・900人のランナーが駆け抜けた
高尾山天狗トレイル2007

・被曝住民の補償と柏崎刈羽原発の廃炉を
「JCO臨界事故8周年・健康被害賠償裁判判決勝利!全ての原発を止めろ!全国集会」に400名が参加        他

 

  Interview

・毎年50人以上が餓死する日本
広がる〝貧困〟に歯止めをかけよう
    湯浅誠さん
(6-7面)
 

 経済協力開発機構(OECD)は2006年の報告書で、OECD加盟国のうち17か国について相対的貧困率を列記。米国に次いで日本が2番目に高い数値となった。急速に広がる格差と貧困化についてNPO法人自立生活サポートセンター・もやい事務局長の湯浅誠さんに聞いた。

 

  International (8面)

・幸福な惑星指数(HPI)はオルタナティブな社会の指針
GDPで本当の豊かさや幸福は測れない
 

 イギリスのシンク・タンク(正確にはthink-and-do tank)nef(the new economics foundation)は最近、「幸福な惑星指数」(HPI)を発表した。nefは「もう1つの経済サミット」を主催した人々によって設立され、G8へ提言しジュビリー2000をリードしてきた。以下“The unHappy Planet Index”summaryの抄訳を掲載する。(訳 水澤努)

 

  Review (9面)

・映評『シッコ』(マイケル・ムーア監督作品)
アメリカでは病人を見捨てる医者ほど出世する
日本でも他人事ではなくなってきた
       蛭田勢二

 病院に入院していても、医療費が払えないと道路に捨てられる。一々保険会社に電話して了承を得ないと救急車にも乗れない。たとえ保険に入っていても、いざとなったら書類の不備を指摘され、既往症が未記入だと文句をつけられて保険金が下りない。
 これは何処の国の話だろうか? 絶対的貧困にあえぐアフリカのシエラレオネやスーダンの話ではない。世界で最も富める国、アメリカの話だ。マイケル・ムーア監督作品『シッコ』は、これらアメリカの医療の実態を赤裸々に暴き出す。
 これまでのムーアの作品とは違い、『ボーリング・フォー・コロンバイン』のチャールストン・ヘストン、『華氏911』でのブッシュ大統領のような象徴的悪役は出てこない。少年によるライフル乱射事件や大量殺戮テロなどのセンセーショナルな非日常シーンもない。
 描かれているのは、ありきたりの日常生活で傷つき、悩み、苦悩する普通の人々。地味な分だけ上映している映画館も少ない。だが、「明日はわが身」と切実に訴えてくる作品だ。 

 

  Close Up

・日本軍の集団自決強制はまぎれもない歴史的事実
11万人の沖縄県民は怒りに燃えていた
    グリーンアクションさいたま 多賀 実 (10面)

 沖縄県民大会が開催された9月29日早朝、私はレンタカーで那覇市を出発し、沖縄自動車道で一路辺野古に向かった。
 途中立ち寄った伊芸サービスエリアには、マリンブルーが美しい金武湾が見渡せる展望台がある。そこに立つと「パンパンパン」という乾いた音が聞こえた。米軍による実弾演習の音だ。あらためて基地の島であることを実感させられる。
 辺野古に向かったのは、基地建設反対の座りこみを続けるテント村の人々に、激励の「千匹ジュゴン」(折り紙)を手渡すためだ。「千羽鶴」にあやかったこの「千匹ジュゴン」は、8月高尾山で開催されたECOLABOキャンプで多くの親子連れに好評で500近くできていた。残りはグリーンアクションさいたまのメンバーが気持ちを込めて折り足した。

 

・心のバリアフリーが一番大切
「とんぼの会」サマーキャンプに参加して
     堀切さとみ(40代 自治体職員) (11面)

  「とんぼの会」はふじみ野市を中心に活動している障がい者サークルで、30年以上の歴史をもつ。私は1年ほど前から「とんぼの会」に参加し、障がい者と共に合唱練習やハイキングをしたり、クリスマス会で一緒に料理を作ったりしてきた。
 この会の特徴は何といっても障がい者と健常者の垣根がないことだ。健常者が一方的に障がい者のお世話をするのでなく、皆が対等な立場で(もちろんハンディに対しては手伝ってあげることを通じて)、さまざまな経験を共有化していく。
 例えば介助そっちのけで健常者どうしがつまらないことで言い争って喧嘩して、それをみている障害者が困って泣き出してしまうこともある。あるいは「○○さん、そこにいたら邪魔だよ」と車椅子の人が怒られたりする。
 「障がい者だから無条件でいたわらなくちゃ」という雰囲気がないのだ。「とんぼの会」の介助は、マニュアルに従いきちんと訓練を受けた人のみが行うのではなく、どんな人も参加できるのが魅力だ。