Actio 1252号(2007年9月25日発行)
CONTENTS
Opinion
・対米追随一辺倒で自滅した安倍首相
自衛隊はインド洋から撤退し民生部門での国際貢献を(1-2面)
9月10日に開会した秋の臨時国会の最大の焦点は、11月1日に期限切れとなるテロ対策特別措置法の延長問題だ。ところが国会開会直後の12日、本会議での代表質問を前に安倍首相は突然辞意を表明した。
首相は辞任の主な理由を、「このままでは自衛隊の給油活動が中断する」「テロとの戦いにおける責任を果たせない」と語ったが、直前に開催されたAPEC(アジア太平洋経済協力会議)での記者会見では、「国際公約となった以上、職を賭して取り組む」「あらゆる力を振り絞って職責を果たしていく」と明言していた。まさに舌の根も乾かぬうちに前言を翻したのだ。
そもそも参議院では野党が過半数を占め、第1党となった民主党はあくまで特措法延長に反対する構えだ。そこで政府は現行の特措法延長は不可能だと判断し、多国籍軍への協力支援や捜索救助、被災民救援などは削除し、自衛隊の活動を給油・給水に限定する新法を準備していた。この新法を衆議院で可決して参議院へ送り、たとえ否決されても衆議院の3分の2の賛成で再可決することで成立を狙っていたはずだ。
しかしこのプロセスでは、今後の日本の外交や安全保障戦略のビジョンを巡って激しい議論が巻き起こるのは避けられない。対米追随で思考停止している安倍首相は、こうした議論に晒されることを恐れて責任を放棄したのだ。
Activity
・このままでは三陸の海が放射能に汚染される
危険な再処理工場の本格稼動を止めたい
野村拓人さん(三陸・宮城の海を放射能から守る仙台の会〔わかめの会〕) (3面)
青森県六ヶ所村再処理工場は、昨年3月末に開始されたアクティブ試験の第3ステップを終えた。すでに海には1272人分致死量に相当する放射性物質トリチウムが垂れ流されている。
今年11月に予定されていた本格稼動は、耐震設計ミスのため来年2月に延期されることが決まった。
このまま本格稼動が強行されたら、通常運転でも1日に原発一基の1年分の放射能が環境中に放出される。10年後、20年後には地元の農産物・海産物から放射能が検出される可能性が強い。
三陸・宮城の海を放射能から守る仙台の会(わかめの会)の野村拓人さんは、「今必要なことは本格稼動を止めさせるための取り組みの強化と、様々な運動体・個人の連携による持続的な活動です」と訴える。
Reports (4〜5面)
・第1軍団司令部の年内移転にNO!
キャンプ座間 「移転チーム」発足に緊急抗議
・原告数6600人以上 過去最大の基地騒音訴訟
第4次厚木爆音訴訟原告団結団式
・高尾山エコラボキャンプの義援金を刈羽村へ
原発震災の恐怖を追体験する 他
Interview
・これ以上のエネルギー消費拡大は犯罪
原発がすべて止まっても決して停電は起きない(6-8面)
小出裕章さん
8月12日、東京・高尾山エコラボキャンプで京都大学原子炉実験所の小出裕章さんが原発・エネルギー問題について講演。森の中で多くの人が耳を傾けた。
Review
・映評『ヒロシマ ナガサキ』(スティーヴン・オカザキ監督作品)
今ほど被爆者の体験が重要な意味を持つ時代はない(9面)
宮沢 将司
広島、長崎の原爆被害についての記録、映像、小説などはこれまでもあった。だがスティーヴン・オカザキ監督の映画『ヒロシマ ナガサキ』(原題『WHITE LIGHT・BLACK RAIN』)は、そうした作品群のなかでも独自の位置をもつ作品だ。映画は、1931年日本の満州事変から中国大陸への侵略についてのアメリカのニュース映像からはじまる。
続いて1941年の真珠湾攻撃。ルーズベルト大統領の宣戦布告宣言の映像が流れる。その後、8月6日と9日、広島と長崎に原子爆弾投下というテロップ。それは戦争勝利の歓喜に沸き返るアメリカ国民の姿へと連なっていく。
突然、東京の雑踏を歩く若者たちの姿に画面は変わる。1945年の8月6日に何が起きたかという質問にわからないと答える若者たち。歴史は風化したのか?
・広島に住んでいた家族は癌で亡くなった
今でも続く残留放射能被曝の苦しみ(9面)
岩井 重人
『夕凪の街 桜の国』、『ヒロシマ ナガサキ』など、この夏は被爆をテーマにした映画が相次ぎ上映された。劇場には若い世代の観客が目立ち、原爆の悲劇は世代を超えて語り継がれようとしている。被爆者の一人岩井重人さんは訴える。
Close Up
・「地縁」と「事縁」のコミュニティ
災害救援ではどちらも必要だ
保科湘子(30代 社会福祉協議会職員) (10面)
9月1日の防災の日、全国各地で防災訓練が行われた。阪神大震災以来、災害やボランティアへの関心が高まり、災害救援ボランティア・NPO等によるシンポジウムやワークショップも数多く取り組まれている。
私は社会福祉協議会に勤めている。災害時には、救援ボランティア受け入れ等を担う災害ボランティアセンターを運営するので、自治体主催の防災訓練に参加したこともある。
新潟で起きた中越地震や中越沖地震の際、同僚は被災地のボランティアセンター支援に出向した。今度災害が発生すれば、私が出張することになるかもしれない。
・苔玉づくりから地球環境を考える
植物は人間よりもはるかに長い歴史をもっている
森 響子(虔十の会スタッフ) (11面)
私は8月に高尾山で開催されたエコラボキャンプで、苔玉づくりのワークショップを担当した。
エコラボキャンプの会場となった日影沢キャンプ場には、丸太を半分に切ったベンチがあった。頭上には木々が生い茂り日影ができ、そばには小さな沢が流れている。
苔がよく育つ環境は、気温5〜20℃くらいで適度な湿度が保たれ、日照が10〜30%の水はけのよい場所だ。まさにそのベンチは、苔が生育するには絶好の条件で、案の定側面には美しい苔がびっしりと生い茂っていた。
私は少しだけその苔を採り、ワークショップで利用した。
