テロ特措法反対を貫くのは民主党の責務 日米両国民は対テロ戦争の正当性を認めていない
安倍改造内閣が発足した。秋の臨時国会の最大の焦点は、11月1日の期限切れが迫るテロ対策特別措置法の延長問題だ。
7月参議院選挙で勝利し参議院で多数派となった民主党は、同法延長に反対する構えだ。民主党は選挙のマニフェストに「主体的な外交を確立する」と掲げ、具体的に以下の4点を打ち出していた。「相互信頼に基づいた、強固で対等な日米関係を構築」、「自衛隊のイラク派遣を直ちに終了」、「国連の平和活動に積極的に参加するとともに、国連改革を主導」、「中国、韓国をはじめ、アジア諸国との信頼関係構築」。
「NOと言える日本」を目指す民主党の外交方針に慌てたアメリカのシーファー駐日大使は、選挙直後の8月8日民主党本部で小沢一郎代表と会談し、対テロ戦争継続への協力を要請した。
これに対し小沢氏は、「アフガニスタンの戦争はブッシュ米大統領が『米国の戦争だ』と言って、国際社会の合意なしに米国独自で始めた。日本の直接の平和、安全と関係ない区域に米国や他の国と部隊を派遣して、共同の作戦をすることはできない」と明言。
同時に「米国を中心とした作戦は直接、国連安保理で認められていないという認識だ。国際社会の合意を取る努力を最初にしなければならない」と語り、あくまでも国連中心主義を強調した。
小沢氏の指摘はもっともだ。2001年9・11テロは、あくまでもアメリカの国内犯罪として処罰されるべきものだった。ところがブッシュ政権は1ヶ月後の10月7日、突然アフガニスタンへの空爆を開始した。同国がアルカイダの最高指導者ウサマ・ビン=ラディンをかくまっていると決めつけ、アルカイダとは何の関係もない多くのアフガン住民の頭上に爆弾を落としたのだ。
そもそもアフガン戦争は、国際法上認められない報復戦争だ。ところがブッシュ政権は「テロリストの側につくのか否か」と国際社会を恫喝し、各国に多国籍軍への参加を要請した。
日本政府も「ショー・ザ・フラッグ」と協力を要請され、小泉首相(当時)はテロ対策特別措置法を国会に提出。2001年11月2日に同法は成立し、11月9日直ちに海上自衛隊の護衛艦2隻と補給艦1隻がインド洋に派遣された。
以降今日まで海上自衛隊は11カ国の艦船に対し延べ750回以上、約48万キロリットル、総額219億円分の給油活動を行った。このうちアメリカの艦船への供給が約半分、350回を占めている。まさに海上自衛隊は、「米軍のための無料ガソリンスタンド」と化している。
現在もインド洋上で行われている「海上阻止活動」は、テロリストの海上移動を阻み、アフガニスタンへの武器や麻薬の海上輸送を遮断するのが目的のはずだ。しかし、アフガンからイラクに拡大した対テロ戦争は、「テロの根絶」どころかテロの拡大・拡散しか生み出していない。
アルカイダは世界各国に拠点を作り、アフガンではタリバンが復活しつつある。「対テロ戦争」は「報復と憎悪」の連鎖を世界中にばらまいただけだ。そして誰よりもその影に怯えているのがアメリカなのだ。
ニューヨーク市警はつい最近の8月10日、マンハッタン34丁目付近で放射性物質を含んだ「汚い爆弾」が爆発するかもしれないとの未確認情報を得、橋やトンネルで車の検問を実施した。アメリカは常にテロの恐怖に怯え、さらに力ずくでテロを抑え込もうとしてテロを誘発する悪循環に陥っている。
この悪循環を断ち切るために、今こそ日本は対等な日米関係を築き、アメリカの外交政策の誤りを指摘し、是正するために努力すべきだ。小沢民主党は有権者に明示したマニフェストを堅持し、最後まで特措法延長に反対する立場を貫く以外ない。
民主党が何よりも重視すべきは、日米両国の国民の意志だ。アメリカ国内でも、昨年の中間選挙でブッシュ政権のイラク派兵や対テロ戦争継続に反対する圧倒的な民意が示されている。対テロ戦争の継続に、日米両国民はともに反対の意思を示しているのだ。
民意を無視した日米のレイムダック政権には、1日も早く退場してもらうしかない。
