家庭から出るゴミの3分の1は生ゴミだそうだ。
 私の住んでいる埼玉県越谷には大きな焼却場がある。生ゴミは80%が水分で、焼却炉の中でなかなか燃えない。そのため大量の石油を混ぜて燃やす。貴重なエネルギーの石油を使って水を燃やすなんてもったいない!

 せめて生ゴミくらいは自分の家で処理できるようにならないだろうか。昨年からいろいろチャレンジしてみた。

<微生物が活動する条件>

 我が家は借家だが1階なので小さな庭があり、そこを使って野菜作りをしている。そこで私は、生ゴミを土に埋めれば野菜の栄養になるのではと考えた。

 最初はビニールを張った小さめのポリバケツに、細かく切った生ゴミとコーンスマイル(生ゴミ処理剤)の粉を入れることにした。2週間ほどでバケツがは生ゴミでいっぱいになった。

 ところがいざ土に返そうとしたところ、水分が溜まって腐敗も進み、臭いもきつくなっていた。ダンナと一緒に頑張って息を止めて、なんとか土に埋めた。

 2回目からはバケツの底に小さな穴を開けて庭の土の上に置き、水分だけは切れるようにした。しかし夏も近くなり、相変わらず埋める度に「近所迷惑かなぁ?」と思うほどのきつい臭いがでた。それでも土に埋めれば何とか臭いも消えた気がするが・・・。

 そんな中、うちのダンナがダンボールコンポストの情報を仕入れてきた。段ボール箱の中に新聞紙を敷いて、生ゴミに腐葉土とくん炭、生ゴミ処理剤を混ぜたものを入れるのだ。通気性が良いように箱の下にはレンガなどを置いて底を直接土につけないようにする。

 生ゴミを堆肥にするためには、生ゴミを分解する微生物が活発に活動しなければいけない。好気性菌の場合、通気を良くし、適度な水分調節を行うことが肝心だ。ダンボールコンポストでは、密閉されたポリバケツと違ってダンボールの表面から水分が逃げる上に通気性も良く、くん炭を使うから臭いも抑えられる。

 ポイントは、生ゴミを入れる度に腐葉土を少しかぶせてから蓋をすることだ。腐葉土の中の微生物が活発に活動するように促す。発酵が上手くいくと、ダンボールの中の温度が40度位にまで上がるはずだ。

 いろいろやってみて、ダンボールコンポストの土の表面が少し温かいことに気がついた時には、「やったぁ!成功だ」とちょっと嬉しくなった。

<わが家のゴミが減った>

 生ゴミのコンポスト化に取り組んでまず実感したことは、「これだけしかないのかぁ」と感心したぐらい、わが家の「燃えるゴミ」の量が目に見えて減ったことだ。

 昨年4月から越谷市ではゴミの分別が厳しくなり、「燃えるゴミ」が前年度より約9%減って、資源物の回収量も約12%増えた。市のゴミ処理経費も、回収費などは増加したが、最終的には2700万円削減できた。

 今後越谷市12万世帯がすべてコンポスト化に取り組んだら、さらに劇的にゴミは減るだろう。既に越谷市では、市販のコンポストを購入した市民には半額の補助金を出している。

 コンポスト化に取組む前、給食の仕事をしている私は、土の中の微生物をバイ菌と同じように考えていた。学校で子どもたちは、土を触ったらよく手を洗うようにと注意されている。ましてや、給食で食べるものはほとんど無菌だ。О―157事件以来、完全加熱して無菌状態の食べ物を提供するようになったからだ。

 しかし土に触れ、土の中の常在菌を守ることはとても大切だ。土の中で微生物が活動するから腐葉土が生まれ、川にその栄養分が流れて海の魚にも届けられる。そして再び私たちの食卓に還って来る。私たちは、良い土がなければ生きられない。

 どんなに仕事が忙しくても、土や緑と触れ合うといつの間にか気持ちが癒される。堆肥を作ったり、家庭で無農薬の野菜を育てる時間はとても満ち足りている。

 こんな幸せも、土から還ってくる大切なものの一つだと思う。

       元木菜々子(30代 給食調理員)


参考資料 循環型の生活を始めよう…ダンボールコンポスト
      http://www.e-w2.com/cp/cmpst2.htm


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自治体主導のコンポスト化が進むヨーロッパ

 日本では生ゴミのほとんどは、焼却や埋め立て処分される。コンポスト(堆肥)化する量はまだ僅かで、1割に満たない状況だ。

 これに比しヨーロッパでは、自治体自らがゴミの大部分をコンポスト化し、再資源化している。例えば、オランダでは95%、ベルギーでは30〜40%、ドイツでは50%がコンポスト化されている。

 ドイツでは、かつて生ゴミは全て埋め立てていたが処理が間に合わなくなり、一時焼却に頼らざるを得なくなった。しかし、ダイオキシン発生問題もあり、コンポスト化を積極的に進めることに転換した。

 その結果、生ゴミの埋め立て量は最盛時に比べて60%も低下した。さらに2005年以降、生ゴミを含め再生可能なゴミは埋め立て禁止となっている。

 ドイツのコンポスト施設は、1986年には5か所にすぎなかったが、現在では700〜900か所に達した。年間600〜800万トンの生ゴミを、300〜400万トンのコンポスト商品にしている。

 イタリアでも資源のリサイクルは法制化され、これまで焼却されていた紙、ダンボールもコンポスト化されるようになった。ミラノでは、生ゴミの90〜95%をコンポスト化するなど徹底した取り組みがなされている。

 日本でもいくつかの自治体は、80年代から生ゴミのコンポスト化=再資源化をめざしてきた。だが、大半は撤退してしまった。分別の不徹底により良質の原料が得られず採算がとれない上に、設備が老朽化しても国庫補助が得られなかったのが原因だ。

 一方国は、新型の高温焼却炉(ガス化溶融炉)の設置には積極的に補助を行っている。その結果、国の政策レベルでの生ゴミの処分方法は、コンポスト化=再資源化から焼却処分へと切り替えられてしまった。つまり現在の日本では、生ゴミの再資源化の努力は、ほとんどが個人に委ねられているのだ。

 しかし昨今、多くの自治体が独自の支援策に乗り出すようになった。47都道府県で約800の市町村は、家庭での生ゴミ処理に補助金を出している。生ゴミ処理機の機種を指定する自治体もある。補助金の額も2000円から5万円と自治体により様々だ。

 ただし、こうした自治体の支援策には大きな限界がある。そもそも日本では、堆肥を埋める庭を持たない家庭が多いからだ。とりわけ生ゴミが大量に出る大都市では、庭のない家がほとんどだ。

 日本でもヨーロッパの成功例に学びながら、生ゴミの再資源化を個人任せにするのではなく、制度的に保証していくことが問われている。

         (編集部)