与党・官僚からも見放される安倍首相 対米追随と格差拡大にNOの意志を
7月29日は参議選挙投票日。安倍政権へ国民が審判を下す日だ。
発足以来安倍内閣は泥まみれ状態だ。2ヶ月に1度は閣僚が問題を起こし、そのたびに支持率が低下。金にまみれた現職閣僚が自ら命を絶つ前代未聞の事態まで起きた。
6月30日と7月1日に朝日新聞が行った世論調査によると、内閣支持率は28%に低落している。「危機ライン」とされる30%を割り込んだのは、「史上最低の宰相」と揶揄された森内閣以来のことだ。
国民の支持を失っているに関わらず、安倍自民党はイラク特措法延長や在日米軍再編特措法などの重要法案を次々と強行採決し、国会は最後まで混乱した。国会最終日の7月5日河野洋平衆院議長は、「162日間を省みて、国会運営のあり方について改めて考えさせられる国会だった」と苦言を呈し、扇千景参院議長も「(良識の府とされる)参院らしくないこともあった」と不満を表明したぐらいだ。
安倍首相は北朝鮮と野党に対しては強行姿勢を貫いているが、「愛国心」を強制する国家主義者ぶりとは裏腹に相変わらず対米追随するだけだ。久間前防衛大臣の原爆投下「しょうがない」発言で大騒ぎとなっている最中でも、アメリカ高官の原爆投下肯定発言に批判のコメントすらできないのである。
ネオコンとして知られるロバート・ジョセフ核不拡散問題担当特使(前国務次官)は7月3日記者会見の席上で、「原爆の使用は、連合国側の数十万の生命だけでなく、文字通り何百万もの日本人の命がさらに犠牲になるかもしれなかった戦争に終わりをもたらした」と公言した。
原爆投下を肯定したこの発言に対し、安倍首相は「まずその発言を私自身見なければいけない」と誤魔化し、久間氏の後釜となった小池防衛大臣は「ジョセフ氏は前から言っているので目新しさはない。日本の見解とは異なる」とコメントするだけ。日本政府として抗議しないのかと問われた塩崎官房長官は、「発言は個人的な考えと聞いている…抗議をするより、核兵器が二度と使用されることがないよう核廃絶への取り組みを強めることが大事」とお茶を濁した。
しかし被爆地からは次々と抗議の声が上がった。田上富久・長崎市長は「繰り返し、こうした発言が出るのは非常に残念」と述べ、秋葉忠利・広島市長も「(米国側の見解は)歴史学者の定説とは大きく違っており、米国の政府首脳も広島、長崎のことについてもっと深く理解すべき」と訴えた。
イラク戦争を批判して外務省を追われた天木直人元駐レバノン大使は、自らのブログで次のように憤っている。「被害者側である日本がこれに迅速かつ強力な謝罪要求、発言撤回要求を行なわなければ、果たしてこの地球上で誰が米国に核兵器使用禁止を訴えられるというのか」。
まさに安倍政権の支持率が30%を切るのは当然なのだ。しかも、「史上最低の宰相」と比較される森内閣の時よりもさらに危機は深刻だ。少なくとも当時の森首相は最大派閥を率いて、自民党内では強大な権力を持っていた。それに比べ安倍首相は、今や身内からも見放されつつある。
自民党の舛添要一参院政審会長は、「参院選に向け頑張っているのに、大暴風雨の中の底なし沼だ。政治とカネで命を絶った松岡氏の後任がこの姿ではどうしようもない」と怒りを露にした。松岡氏の後任となった赤城農林水産大臣に、またしても事務所費不正疑惑が噴出したからだ。官邸の危機管理能力はまったく機能していないのである。
それには理由がある。安倍首相は小泉前首相を真似てトップダウンの官邸政治を目指した。しかし官邸政治は、与党議員や官僚への支配力がないと機能しない。自分の実力を省みず、形だけ小泉政治を真似ても無理なのだ。
自民党議員からも官僚からもそっぽを向かれた安倍内閣。「裸の王様」だと自覚させる最強の手段は、何と言っても選挙で国民の意志を示すことだ。
