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	<title>エコ＆ピース月刊誌Actio &#187; 173 映画レビュー</title>
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	<description>環境・平和・人権をテーマに持続可能な未来を展望する市民メディア</description>
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		<title>映評『キャタピラー』　「反戦」を直球で投げかける映画</title>
		<link>http://actio.gr.jp/2010/12/15115718.html</link>
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		<pubDate>Wed, 15 Dec 2010 02:57:18 +0000</pubDate>
		<dc:creator>taketake</dc:creator>
		
		<category><![CDATA[映画レビュー]]></category>

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		<description><![CDATA[　８月15日にこの映画を観た。
　主演の寺島しのぶが第60回ベルリン国際映画祭銀熊賞（最優秀女優賞）を受賞した事もあり、この日は立ち見客も断わられていたくらい、映画館は混雑していた。
　映画は、中国戦線で民間人らしき女性 [...]]]></description>
			<content:encoded><![CDATA[<p>　８月15日にこの映画を観た。<br />
　主演の寺島しのぶが第60回ベルリン国際映画祭銀熊賞（最優秀女優賞）を受賞した事もあり、この日は立ち見客も断わられていたくらい、映画館は混雑していた。</p>
<p>　映画は、中国戦線で民間人らしき女性を炎が拡がる小屋の中で集団レイプする日本兵の姿からはじまる。<br />
　その日本兵である久蔵（大西信満）が傷痍軍人となり妻・シゲ子（寺島しのぶ）の元へ帰還する。<br />
　四肢を失い、口も訊けないキャタピラー（芋虫）となった夫。</p>
<p>　しかし村人は「軍神さま」と崇めたてる。<br />
　部屋の中に寝かされた久蔵の視線の先には、天皇の御真影と軍功を賞した勲章が。<br />
　唯一の自慢なのだろうか、戦争を知らない私にとっては滑稽にしか感じなかった。</p>
<p>　出征以前は、家庭で威張り散らしていた久蔵。<br />
　しかし今は食べて寝てセックスを繰り返すだけ。<br />
　そんな夫に対し妻の立場が次第に逆転する。</p>
<p>　やがて、久蔵は中国戦線でレイプをした女性の顔をトラウマとして思い出すようになる。<br />
　この狂気じみたシーンに圧倒され息ができなかった。</p>
<p>　そして広島・長崎に原爆が投下され、8月15日に敗戦を迎える。</p>
<p>　映画には「神の国」日本を信じて竹やりを持ち、バケツリレーの訓練をし、出征兵士を日の丸で送り出す農村風景が、戯画化されて描き出される。<br />
　その意図は分かるのだが、何か違和感も感じた。あまりにも図式化されていたからだろうか。</p>
<p>　しかしながらここまで「反戦」を直球で投げかける映画も珍しいのではないか？<br />
　若松監督の意欲、情熱が寺島しのぶの演技で倍加されたかのような感じだ。<br />
　夫婦、男と女の生き方も考えさせてくれる作品だと思う。</p>
<p>　監督の主張を受け入れる、受け入れないは人それぞれだが、戦争を知らない人たちに観てほしい作品である。</p>
<p>　（白洲りお）</p>
<p><a href="http://actio.gr.jp/wp-content/uploads/2010/12/caterpillar.jpg"><img src="http://actio.gr.jp/wp-content/uploads/2010/12/caterpillar.jpg" title="caterpillar" width="450" height="330" class="aligncenter size-full wp-image-2501" /></a></p>
<p>監督＝若松孝二<br />
2010年／日本／84分<br />
詳細　<a href="http://www.wakamatsukoji.org/">http://www.wakamatsukoji.org/</a></p>
<p>（<a href="http://actio.gr.jp/2010/10/01120120.html">2010年11月号</a>掲載）</p>
<p style="text-align: center;"><iframe src="http://rcm-jp.amazon.co.jp/e/cm?t=actio-22&#038;o=9&#038;p=8&#038;l=as1&#038;asins=490489216X&#038;fc1=000000&#038;IS2=1&#038;lt1=_blank&#038;m=amazon&#038;lc1=0000FF&#038;bc1=000000&#038;bg1=FFFFFF&#038;f=ifr" style="width:120px;height:240px;" scrolling="no" marginwidth="0" marginheight="0" frameborder="0"></iframe></p>
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	</item>
		<item>
		<title>映評『アイコンタクト』　デフリンピック世界女子サッカー大会に初出場した「もうひとつのなでしこジャパン」</title>
		<link>http://actio.gr.jp/2010/09/03101833.html</link>
		<comments>http://actio.gr.jp/2010/09/03101833.html#comments</comments>
		<pubDate>Fri, 03 Sep 2010 01:18:33 +0000</pubDate>
		<dc:creator>taketake</dc:creator>
		
		<category><![CDATA[映画レビュー]]></category>

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		<description><![CDATA[　2009年９月デフリンピック世界女子サッカー大会に初出場した、もうひとつのなでしこジャパンのメンバー18人を描いたドキュメンタリー作品。
　デフリンピックとは4年に1度、世界規模で行われる聴覚障害者のための国際総合競技 [...]]]></description>
			<content:encoded><![CDATA[<p>　2009年９月デフリンピック世界女子サッカー大会に初出場した、もうひとつのなでしこジャパンのメンバー18人を描いたドキュメンタリー作品。</p>
<p>　デフリンピックとは4年に1度、世界規模で行われる聴覚障害者のための国際総合競技大会。<br />　出場資格は聴力損失が55デジベル（一般的な住宅街の昼間の騒音）を超えていると認定された者。<br />　競技中はいかなる補聴器も人工内耳の外部装置使用も認められない。</p>
<p>　だから試合中のコミュニケーションはアイコンタクトと手話のみ。<br />　ボールを追ってばかりでは他のメンバーとアイコンタクトは取れない。<br />　映画の中で「あっ、そこそこ！」「シュート！シュート！」などと思わず声をあげそうになる位歯痒いシーンもあった。</p>
<p>　しかし、試合中の彼女達には周りの声援や、コーチの怒鳴り声、ボールの音、ブブゼラの音さえも聞こえない。<br />　簡単そうに見えるが、健聴者と同じように試合をするのは何倍もの努力が必要なのだ。</p>
<p>　デンマーク戦の時、突然全くの無音になった。中村監督の演出である。<br />　無音の中で試合だけが、ただひたすら映し出される。<br />　これが、彼女達のいる世界なんだ。彼女達と私が一体になった様な気がした。</p>
<p>　驚いたのは、こうした国際試合でも実績の無い女子チームは全額自己負担での渡航であること。<br />　ハンデのある人達の大会に対する助成金はあまりにも少ない。</p>
<p>　映画の冒頭では、彼女達の家族の苦難や学校や職場の事なども語られ、健聴者が知らない事実も語られる。</p>
<p>　でも彼女達は明るく前向きでサッカー大好き。<br />　美人でオシャレで、手話だけどよくしゃべる。<br />　今すぐに彼女達の輪に入って一緒におしゃべりしたい気分になる。<br />　そしてサッカーを知らない人でも充分楽しむ事が出来る、そんな素晴らしい作品だ。</p>
<p>　（琴子クリストフル）</p>
<p style="text-align: center;"><a href="http://actio.gr.jp/wp-content/uploads/2010/09/eyecontact.jpg"><img src="http://actio.gr.jp/wp-content/uploads/2010/09/eyecontact.jpg" title="eyecontact" width="579" height="386" class="aligncenter size-full wp-image-2234" /></a></p>
<p>監督＝中村和彦<br />2010年／日本／88分<br />2010年9月18日からポレポレ東中野で公開<br />詳細　<a href="http://www.pan-dora.co.jp/eyecontact/">http://www.pan-dora.co.jp/eyecontact/</a></p>
<p>(<a href="http://actio.gr.jp/2010/09/01130339.html">2010年10月号</a>掲載）</p>
<p style="text-align: center;"><iframe src="http://rcm-jp.amazon.co.jp/e/cm?t=actio-22&#038;o=9&#038;p=8&#038;l=as1&#038;asins=4904892151&#038;fc1=000000&#038;IS2=1&#038;lt1=_blank&#038;m=amazon&#038;lc1=0000FF&#038;bc1=000000&#038;bg1=FFFFFF&#038;f=ifr" style="width:120px;height:240px;" scrolling="no" marginwidth="0" marginheight="0" frameborder="0"></iframe></p>
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	</item>
		<item>
		<title>映評『祝の島（ほうりのしま）』「宝の島を映した宝物のような映画」虹のカヤック隊　ありす</title>
		<link>http://actio.gr.jp/2010/08/06104613.html</link>
		<comments>http://actio.gr.jp/2010/08/06104613.html#comments</comments>
		<pubDate>Fri, 06 Aug 2010 01:46:13 +0000</pubDate>
		<dc:creator>taketake</dc:creator>
		
		<category><![CDATA[映画レビュー]]></category>

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		<description><![CDATA[　 私は祝島の公民館で『祝の島』を観ました。　私が感じている祝島の魅力が、本当にそのまま映画になっていることに感動しました。　そして、上映中、お母さんたちの楽しげな笑い声に包まれながら、こんなにも素晴らしい島に関われてい [...]]]></description>
			<content:encoded><![CDATA[<p>　 私は祝島の公民館で『祝の島』を観ました。<br />　私が感じている祝島の魅力が、本当にそのまま映画になっていることに感動しました。<br />　そして、上映中、お母さんたちの楽しげな笑い声に包まれながら、こんなにも素晴らしい島に関われていることを、幸せに感じました。</p>
<p>　この約10ヶ月間、上関原発建設計画への抗議活動をしながら、祝島の人たちと多くの時間を過ごしてきました。<br />　今では、お家に呼んでいただくこともあるくらい、関係が深くなっています。</p>
<p>　その中で、祝島の人たちの優しさ、強さ、生きる力の逞しさ、受け継がれてきた文化の素晴らしさ、積み重ねられてきた生活の歴史を感じています。<br />　同時に原発問題が、祝島の人の心、生活の中に常に存在していること、それがもたらす祝島の人の辛さや悲しさを感じます。</p>
<p>　映画の中で、「原発は悔しいね」と語った漁師さんの言葉が心に残っています。<br />　島の人たちは長い間、平和に仲良くやってきたのに、原発計画が持ち上がったことで、建つ前から島の生活や人間関係を壊されてしまっているのです。<br />　私はそれが、とても悔しいです。</p>
<p>　祝島の人は、一人一人がとても魅力的です。<br />　それは、一人一人が故郷や自分の暮らしを愛し、誇りと信念を持って生きているからだと思います。<br />　島選出の議員さんの「私たちは命を懸けてやっているんです。あなたたちも（推進するなら）命を懸けてやってください」という議会での言葉は、まさしく祝島の人たちの心を反映していると思いました。</p>
<p>　祝島の人たちは足るを知り、自然と人と密接に繋がって生きています。<br />　厳しい自然の中、決して楽ではないけれど、人間として幸せな生き方がここにはあるのです。</p>
<p>　また、祝島の人たちは、自分たちで生活を作って生きていく力を持っており、自然の大切さを知っています。<br />　だから、原発計画が持ち上がり、補償金を目の前に積まれても、揺らぐことなく大切なものを守る強さがあるのだと思います。</p>
<p>　この映画は、原発問題を前面に押し出してはいませんが、祝島の人々の暮らしぶりを映すことで、かえって原発の不自然さ、不必要さが強調されているように感じます。</p>
<p>　私自身、祝島の営みが好きです。<br />　例えば、映画冒頭に出てくる漁師さんの一本釣り。<br />　焦ることなく、いっぺんに大量に採ろうとするわけでもなく、魚のペースに合わせて、しかも一匹一匹に話しかけながら釣っています。<br />　命に対して愛情をもって接しているのが伝わってきました。</p>
<p>　その姿勢が、祝島の人たちの根底にあります。<br />　一本釣りは、魚の苦しむ時間が短いので、味が全然違うそうです。<br />　時間はかかるけれど、大切なものを守ろうとする祝島の営みを象徴しています。</p>
<p>　祝島の漁業は、採るのも加工するのもほとんどが手作業で、直に命に触れていると感じられます。<br />　ひじき採りなどを経験させてもらいましたが、自然の力、豊かさを感じると共に、自然の恵みをいただくことに感謝の気持ちが湧いてきました。</p>
<p>　第一次産業は、そんなことに気づかせてくれる産業であり、祝島の人たちは昔からそうやって自然と共に生きてきたのだなと思いました。<br />　だから「命の海」そのものであり、その海が埋め立てられるとなれば、当然反対すると思います。</p>
<p>　晴れた凪の日に、カヤックに乗って原発予定地・田ノ浦の海に漕ぎ出すと、その海水の透明度、美しさに驚きます。<br />　海草の上では、まるで海の森の上を歩いているかのような気分になります。<br />　魚がカヤックの下を泳いでいくのが見えます。</p>
<p>　浜から海を見れば、空の青を映して４色の青のグラデーションが広がっています。<br />　そしてその先には祝島が見えます。<br />　この海を埋め立ててほしくない。そんな思いで私は今日も抗議活動を続けています。</p>
<p>　この宝物みたいな映画を多くの人に観てもらい、それぞれに大切なことを感じてほしいと思いました。</p>
<p> <a href="http://actio.gr.jp/wp-content/uploads/2010/08/hourinoshima.jpg"><img src="http://actio.gr.jp/wp-content/uploads/2010/08/hourinoshima.jpg" title="hourinoshima" width="562" height="635" class="aligncenter size-full wp-image-2181" /></a></p>
<p>『祝の島』<br />監督＝纐纈あや<br />2010年／日本／105分<br />公式サイト　<a href="http://www.hourinoshima.com/">http://www.hourinoshima.com/</a><br />東京 ポレポレ東中野、広島 横川シネマにて上映中<br />全国順次公開</p>
<p>【ＳＴＯＲＹ】<br />1000年前、沖で難破した船を助けたことから 農耕がもたらされ、 子孫が栄え、 現在に至るまでいのちをつないできた小さな島がある。山口県上関町祝島。瀬戸内海に浮かぶ人口約500人のこの島は、人が暮らしやすい環境とは決して言えない。しかし島民は海からもたらされる恵みに支えられ、暮らしを営んできた。1982年、島の対岸4キロメートルに原子力発電所の建設計画が浮上。祝島の人々は「海と山さえあれば生きていける。わしらの代では海は売れん」と、自分たちの生活を守るべく、28年間反対を続けている。</p>
<p>　(<a href="http://actio.gr.jp/2010/08/03124636.html">2010年９月号</a>掲載）</p>
<p style="text-align: center;"><iframe src="http://rcm-jp.amazon.co.jp/e/cm?t=actio-22&#038;o=9&#038;p=8&#038;l=as1&#038;asins=4904892143&#038;fc1=000000&#038;IS2=1&#038;lt1=_blank&#038;m=amazon&#038;lc1=0000FF&#038;bc1=000000&#038;bg1=FFFFFF&#038;f=ifr" style="width:120px;height:240px;" scrolling="no" marginwidth="0" marginheight="0" frameborder="0"></iframe></p>
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	</item>
		<item>
		<title>映評『BOX 袴田事件 命とは』</title>
		<link>http://actio.gr.jp/2010/07/20130510.html</link>
		<comments>http://actio.gr.jp/2010/07/20130510.html#comments</comments>
		<pubDate>Tue, 20 Jul 2010 04:05:10 +0000</pubDate>
		<dc:creator>taketake</dc:creator>
		
		<category><![CDATA[映画レビュー]]></category>

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		<description><![CDATA[　この映画は実際に起きた事件を基にしています。　昭和41年6月30日、静岡県清水市の味噌製造会社専務宅が放火され、一家4人が殺害されました。　警察は従業員で元プロボクサーの袴田巌を逮捕・起訴。いわゆる「袴田事件」の始まり [...]]]></description>
			<content:encoded><![CDATA[<p>　この映画は実際に起きた事件を基にしています。<br />　昭和41年6月30日、静岡県清水市の味噌製造会社専務宅が放火され、一家4人が殺害されました。<br />　警察は従業員で元プロボクサーの袴田巌を逮捕・起訴。いわゆる「袴田事件」の始まりです。</p>
<p>　１日平均12時間の自白を迫る取調べは過酷で、拷問に近いものです。<br />　意識が朦朧とする中、袴田は調書にサインをしてしまいます。</p>
<p>　その裁判を担当したのが静岡地裁の熊本典道。<br />　熊本は調書を丹念に調べ、長時間の取調べと、日によって供述内容が二転三転することに疑問を抱きます。<br />　さらに公判で袴田が無実を主張したことから、冤罪の想いを強くします。</p>
<p>　自白以外に有力な証拠がないまま1年が経った頃、検察は新証拠を提出。<br />　それは一度捜査した味噌蔵の樽から発見された血染めの衣服でした。<br />　なんで1年も経って都合よく証拠が発見されるのでしょう？　とても不可解です。</p>
<p>　熊本は無罪を主張するも、裁判官の合議で最終的には多数決によって有罪＝死刑に。<br />　自らの意に反する判決文を書く主任判事の熊本。<br />　彼の苦悩とやるかたない憤りが伝わってきます。</p>
<p>　その後、裁判官を辞職した熊本は、事件の真相をつかむべく奔走します。<br />　次々明らかとなる証拠の矛盾。これは警察の捏造ではないのか？</p>
<p>　しかし高裁、最高裁でも判決はくつがえりません。<br />　昭和55年12月12日死刑確定。<br />　いつ死刑が執行されるのか分からず、看守の足音が毎日響く留置所で、袴田は精神に異常をきたします。</p>
<p>　熊本も酒におぼれ、自殺未遂を繰り返します。<br />　袴田役の新井浩文、熊本役の萩原聖人の演技が鬼気迫ります。</p>
<p>　熊本は「人を裁くことは自分も裁かれること」と語ります。<br />　もし裁判員制度で自分が裁く側に立った時、どうすればいいのか。<br />　そして今も袴田巌さんは収監されたままだという現実が重く心に残りました。</p>
<p>　（額賀まりえ）</p>
<p><a href="http://actio.gr.jp/wp-content/uploads/2010/07/hakamadacase_03.jpg"><img src="http://actio.gr.jp/wp-content/uploads/2010/07/hakamadacase_03.jpg" title="hakamadacase_03" width="400" height="266" class="aligncenter size-full wp-image-2110" /></a><br />監督＝高橋伴明<br />2010年／日本／1時間57分<br />銀座シネパトス他、全国で公開中<br />詳細　<a href="http://www.box-hakamadacase.com/">http://www.box-hakamadacase.com/</a></p>
<p> 　（<a href="http://actio.gr.jp/2010/07/04092121.html">2010年8月号</a>掲載）</p>
<p style="text-align: center;"> <iframe src="http://rcm-jp.amazon.co.jp/e/cm?t=actio-22&#038;o=9&#038;p=8&#038;l=as1&#038;asins=4904892135&#038;fc1=000000&#038;IS2=1&#038;lt1=_blank&#038;m=amazon&#038;lc1=0000FF&#038;bc1=000000&#038;bg1=FFFFFF&#038;f=ifr" style="width:120px;height:240px;" scrolling="no" marginwidth="0" marginheight="0" frameborder="0"></iframe></p>
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	</item>
		<item>
		<title>映評『ハート・ロッカー』「ドキュメンタリー風映画が切り取るのは現実の一面に過ぎない」映画ロケ地ヨルダンより</title>
		<link>http://actio.gr.jp/2010/05/21111206.html</link>
		<comments>http://actio.gr.jp/2010/05/21111206.html#comments</comments>
		<pubDate>Fri, 21 May 2010 02:12:06 +0000</pubDate>
		<dc:creator>taketake</dc:creator>
		
		<category><![CDATA[映画レビュー]]></category>

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		<description><![CDATA[　この映画は良くできている映画である。　イラクの戦場の様子を上手く再現していて、観客は最後まで飽きることなく、主人公の米軍兵士たちに感情移入しつつハラハラ・ドキドキ感を味わえる。
　それでいて彼ら米軍兵士の参加している戦 [...]]]></description>
			<content:encoded><![CDATA[<p>　この映画は良くできている映画である。<br />　イラクの戦場の様子を上手く再現していて、観客は最後まで飽きることなく、主人公の米軍兵士たちに感情移入しつつハラハラ・ドキドキ感を味わえる。</p>
<p>　それでいて彼ら米軍兵士の参加している戦争を全面的に肯定する訳でもなく、米軍兵士の苦悩も描きつつ、彼ら兵士が戦争に参加する意味も問う。<br />　アカデミー賞を受賞したのもうなずける。<br />　そう、備えるベき要素は全部揃えている様に見える。</p>
<p>　しかしこれが現実の戦争だと思うと違うのではないか。<br />　映画が切り取って見せるのは現実の一面に過ぎず、全てを表現することを期待する方が無理なのはわかっている。<br />　それでも物足りなさを覚えるのは、やはりこの映画が徹頭徹尾アメリカ側の主観で作られ、イラクの人々の視点が入ってないことが原因だろう。</p>
<p>　観客は米軍兵士の感じている戦場の緊迫感を共有することはできるし、彼らの感じている悩みもまた戦争の一面である。<br />　米軍兵士になったつもりで、彼らの思いを共有することはできる。</p>
<p>　しかし、イラクの人びとは米軍兵士の眼からみた「敵」、あるいは風景の一部としての「モノ」としか描かれていないように見える。<br />　典型的なのは、主人公が爆発物を処理するシーン。<br />　そこで描かれているのは、敵意を持った、あるいは冷ややかに、無機質な視線を送るイラクの人びとだ。</p>
<p>　イラクの市民が駐留外国軍を歓迎していないことは事実であり、米軍兵士から見れば全てのイラク人が敵に見えるのも事実としては間違っていない。<br />　しかしそれだけなのか。これだけを見て戦争の現実であると錯覚して終わりなのか。</p>
<p>　結局、この映画に出て来るイラクの人びとは米軍兵士を戦場の英雄として描くための引き立て役、背景に過ぎないのではないか。</p>
<p>　私は仕事の関係で、この映画のロケ地であるヨルダンに長期滞在をしている。<br />　そのヨルダンの地元新聞、雑誌の報道によると、イラク人の役で参加している映画のエキストラの人びとの多くは「本物」のイラク人であるという。<br />　その人々がどのような思いでこの映画に参加し、出来上がった作品をどのように感じるのか尋ねてみたい。</p>
<p>　ヨルダンに住んでいるイラク人の多くは、母国イラクからの避難民である。<br />　米軍の攻撃後も生き延びたものの、米国の占領統治の失敗により、生活基盤（各家庭の電気、ガス、水道から学校、病院まで）の復旧が進まず、またイラク国内の政治的な対立が生み出されたことによって、生命の危険を感じて隣国まで逃げて来た人々である。<br />　その多くが未だ母国に帰ることができない。</p>
<p>　米国の映画に出演して、「敵」を演じた人びとの複雑な胸中を思いやる視点がいくらかでも映画の中にあれば良かった。<br />　しかし それを期待するのは無理だろう。<br />　この映画は徹頭徹尾、米国人の制作スタッフによって、米国やあるいはそれに近い国々の観客に見られることを想定して制作された映画であるのだから。</p>
<p>　そもそも映画をノンフィクションのドキュメンタリーのつもりで見るのが間違いなのだろう。<br />　フィクションであるのならばフィクションに徹した方が余計な雑音無しに、純粋に娯楽作品として楽しめる。<br />　その意味で私は同じくアカデミー賞を争った映画で「アバター」の方に軍配を上げたい。</p>
<p>文＝原文次郎<br /><span style="font-size: xx-small;">日本国際ボランティアセンター(ＪＶＣ) イラク事業・現地調整員兼事業担当 。イラクで医療支援やイラク国内の避難民へ食料支援等を行う。2003年電機メーカー退社後、アメリカの難民支援NGOでのインターンシップを経て、2003年7月より現職。</span></p>
<p> <a href="http://actio.gr.jp/wp-content/uploads/2010/05/hurtlocker.jpg"><img src="http://actio.gr.jp/wp-content/uploads/2010/05/hurtlocker.jpg" title="hurtlocker" width="515" height="290" class="aligncenter size-full wp-image-1901" /></a></p>
<p>　監督＝キャスリン・ビグロー<br />　2008年／アメリカ／2時間11分<br />　公式サイト<a href="http://hurtlocker.jp/">http://hurtlocker.jp/</a></p>
<p>【ＳＴＯＲＹ】<br />2004年夏、イラクのバグダッド郊外。駐留するアメリカ軍に所属する爆発物処理班は、爆弾処理を行うスペシャリストたち。ある日処理中の爆弾が突如爆発。殉職した隊員に代わり、中隊のリーダーに就任したのはウィリアム・ジェームズ二等軍曹。恐れ知らずのジェームズにより、部下たちはこれまで以上の危険にさらされることになる。</p>
<p>（<a href="http://actio.gr.jp/2010/05/10095933.html">2010年6月号</a>掲載）</p>
<p style="text-align: center;"><iframe src="http://rcm-jp.amazon.co.jp/e/cm?t=actio-22&#038;o=9&#038;p=8&#038;l=as1&#038;asins=4904892119&#038;fc1=000000&#038;IS2=1&#038;lt1=_blank&#038;m=amazon&#038;lc1=0000FF&#038;bc1=000000&#038;bg1=FFFFFF&#038;f=ifr" style="width:120px;height:240px;" scrolling="no" marginwidth="0" marginheight="0" frameborder="0"></iframe></p>
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	</item>
		<item>
		<title>映評『アバター』「おとぎ話は現実解決の方途を示さない」シリアの首都ダマスカスより</title>
		<link>http://actio.gr.jp/2010/03/15153143.html</link>
		<comments>http://actio.gr.jp/2010/03/15153143.html#comments</comments>
		<pubDate>Mon, 15 Mar 2010 06:31:43 +0000</pubDate>
		<dc:creator>taketake</dc:creator>
		
		<category><![CDATA[映画レビュー]]></category>

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		<description><![CDATA[　新年早々観に行った話題の映画『アバター』。
　その感想にしては哲学的なタイトルをつけてしまったが、このように書かざるを得ない。
　そもそもこのアメリカ映画の新作を、私は元日、アメリカにテロ支援国家の扱いで目の敵にされて [...]]]></description>
			<content:encoded><![CDATA[<p>　新年早々観に行った話題の映画『アバター』。<br />
　その感想にしては哲学的なタイトルをつけてしまったが、このように書かざるを得ない。</p>
<p>　そもそもこのアメリカ映画の新作を、私は元日、アメリカにテロ支援国家の扱いで目の敵にされているシリアの首都ダマスカスで観た。<br />
　映画館を満席で埋めた観客は、シリアの中でもどちらかと言えば富裕層に当たる人々に見えたし、もともとが娯楽映画。<br />
　だから多くの人は全く現実世界の政治とは関係ないものとして鑑賞している。</p>
<p>　そんな観客に混じり、普段の生活の中で戦争の被害者に接する仕事をしている日本人がいる。<br />
　これがかなり特殊なケースであろうことは確かである。だが、特殊だからこそまた見えてくるものがある。</p>
<p>　さて、本題の映画の中身だが、美しい映像で描いているものの中身は相当シリアスで、遠く離れた星の資源を収奪しようとする人間の暴虐さをこれでもかと見せる。<br />
　もしこれがドキュメンタリーなら観客は最後まで耐えられないだろうが、あくまでも架空の世界の出来事という了解のもとに話は進む。</p>
<p>　しかし、主人公が自分の姿をアバターに託して別世界の一員になる設定は、観客である私たちもまた、架空世界の一員となる追体験へと導く。<br />
　だから否応なく、自分の心の中で映画が象徴する現実に向き合うことになる。<br />
　そう、現実世界の人間の暴虐ぶりに。</p>
<p>　特にこの映画を作った国アメリカは、実際にここ中東で何をしてきたのか。<br />
　それを目の当たりにし、聞いているだけに、いくら架空の話だと了解はしていても、だんだん観ていて辛くなるのだ。<br />
　総攻撃のシーンはイラクを思い出してしまい、涙なしに席に座っていることはできず、そんな私を隣の観客が不思議そうに見ていた。</p>
<p>　現実の世界で問題を引き起こしつつ、こんな批判精神を織り込んだ映画を作ってしまうのもまた人間である。<br />
　しかし、自然や人間性の破壊は、もう後戻りできないところまで来てしまったのではないかと悲観的になる。</p>
<p>　映画の結末も、私から見れば解決になっていない。<br />
　自然からのしっぺ返しで破壊者である人間は敗北を喫する。</p>
<p>　しかし主人公は心を痛めることはあっても、破壊者の側の人間であった責任からは逃れているし、最後には正義があり、より強い力を持つ者が勝つという結果で収まっているようにも思える。</p>
<p>　そんな風に考えた瞬間、イラクに対する戦争を支持した国の一員でありながら、その責任から逃れている自分自身が二重写しになって頭がくらくらした。</p>
<p>　ＣＧを駆使した映像で観客の目を驚かすことはできても、結論は実に陳腐で現実的な力のバランスの論理に終息している。<br />
　そこに本当の解決はない。<br />
　作品として面白かったと言えばその通りであるが、見終わった後に違和感と疲れが残った。</p>
<p><span style="font-size: xx-small;">文＝原文次郎<br />
日本国際ボランティアセンター(ＪＶＣ)イラク現地調整員（在ヨルダン）。イラクで医療支援やイラク国内の避難民へ食料支援等を行う。２００３年電機メーカー退社後、アメリカの難民支援ＮＧＯでのインターンシップを経て、２００３年７月より現職。</span></p>
<p><a href="http://actio.gr.jp/wp-content/uploads/2010/03/avatar.jpg"><img src="http://actio.gr.jp/wp-content/uploads/2010/03/avatar.jpg" title="avatar" width="480" height="270" class="aligncenter size-full wp-image-1597" /></a></p>
<p>監督＝ジェームズ・キャメロン<br />
2009年／アメリカ／2時間42分<br />
公式サイト<a href="http://movies.foxjapan.com/avatar">http://movies.foxjapan.com/avatar</a></p>
<p>【ＳＴＯＲＹ】<br />
元海兵隊員のジェイクは、衛星パンドラで実行される「アバター・プログラム」へ参加。星の先住民ナヴィと人間との遺伝子から造られた肉体「アバター」を操作すべく意識を送り込まれる。アバターとしてパンドラの地に降り立ったジェイクはナヴィの族長の娘ネイティリと出会い、恋に落ちる。次第にジェイクの胸に採掘プロジェクトへの疑念が生まれる。</p>
<p style="text-align: left;">　（<a href="http://actio.gr.jp/2010/02/04114941.html">２０１０年３月号</a>掲載）</p>
<p style="text-align: center;"> <iframe src="http://rcm-jp.amazon.co.jp/e/cm?t=actio-22&#038;o=9&#038;p=8&#038;l=as1&#038;asins=4904892089&#038;fc1=000000&#038;IS2=1&#038;lt1=_blank&#038;m=amazon&#038;lc1=0000FF&#038;bc1=000000&#038;bg1=FFFFFF&#038;f=ifr" style="width:120px;height:240px;" scrolling="no" marginwidth="0" marginheight="0" frameborder="0"></iframe></p>
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	</item>
		<item>
		<title>ドキュメンタリー映画「こつなぎー山を巡る百年物語」　50年前の日本で森の入会権を主張し闘った人々</title>
		<link>http://actio.gr.jp/2010/03/11101231.html</link>
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		<pubDate>Thu, 11 Mar 2010 01:12:31 +0000</pubDate>
		<dc:creator>taketake</dc:creator>
		
		<category><![CDATA[映画レビュー]]></category>

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		<description><![CDATA[　昭和35年、岩手県北部の小繋（こつなぎ）地域で山の入会権をめぐり事件が起きた。　それを３人のジャーナリストが取材。　残された貴重な記録資料に現在の様子を加え、7年の歳月を経て1本の映画『こつなぎ』が出来上がった。
　入 [...]]]></description>
			<content:encoded><![CDATA[<p>　昭和35年、岩手県北部の小繋（こつなぎ）地域で山の入会権をめぐり事件が起きた。<br />　それを３人のジャーナリストが取材。<br />　残された貴重な記録資料に現在の様子を加え、7年の歳月を経て1本の映画『こつなぎ』が出来上がった。</p>
<p>　入会権とは、一定地域の住民が、慣習的な権利により特定の山林・原野・漁場の薪材・緑肥・魚貝などの採集を目的に使用すること（参考…三省堂大辞林・Yahoo百科事典）。<br />　農地の少ない小繋の集落住民にとり、小繋山で得る自然の恵みは生活に不可欠だった。</p>
<p>　しかし人々は山に入ることを禁止される。<br />　糧を絶たれた住民は入会権を主張し裁判で闘う。</p>
<p>　地域の自然と共に暮らす人々を記録したこの映画は、私たちに「山は誰のものか」「大地や森は誰のものか」「生きるとは」と問いかける。　</p>
<p>　２００９年のノーベル経済学賞は、森林や漁業資源など共有財産の運用に関する研究を行ったオストロム教授（米国）に授与された。<br />　小繋の人々の主張したことが正しく評価される時代がようやく訪れたのだ。</p>
<p><strong><span style="color: #800080;">上映会＆シンポジウム</span></strong></p>
<p>　日時：2010年3月13日（土）<br />　11:00／14:00／17:00の3回上映　<br />　会場：全電通ホール（東京・お茶の水）<br />　シンポジウムの同日開催も予定しています（司会：辻信一氏）<br />　料金：特別鑑賞券一般1,500円（税込）絶賛発売中／当日一般1,800円<br />　　　　シンポジウムのみ参加800円（当日会場受付のみ）</p>
<p>【鑑賞券取扱および購入、イベント問合せ先】<br />　「こつなぎ」上映実行委員会事務局　<br />　　〒104-0041中央区新富2-12-6パンドラ内　TEL:03-3555-3987<br />　　　<a href="mailto:kotsunagi1@yahoo.co.jp">kotsunagi1@yahoo.co.jp</a></p>
<p><a href="http://actio.gr.jp/wp-content/uploads/2010/02/kotunagi.jpg"><img src="http://actio.gr.jp/wp-content/uploads/2010/02/kotunagi.jpg" title="kotunagi" width="559" height="635" class="aligncenter size-full wp-image-1492" /></a></p>
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	</item>
		<item>
		<title>映評『グラントリノ』もっとも遠い他者とのつながりにアメリカの希望をみた</title>
		<link>http://actio.gr.jp/2010/02/12162815.html</link>
		<comments>http://actio.gr.jp/2010/02/12162815.html#comments</comments>
		<pubDate>Fri, 12 Feb 2010 07:28:15 +0000</pubDate>
		<dc:creator>taketake</dc:creator>
		
		<category><![CDATA[映画レビュー]]></category>

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		<description><![CDATA[　妻と死別したばかりのウォルト・コワルスキーの心の支えは愛犬とフォードの名車72年型グラントリノだった。
　子供や孫たちはウォルトを疎ましく思い、ウォルトもまたも彼らを嫌悪する。　愛犬を隣に座らせポーチの椅子で缶ビールを [...]]]></description>
			<content:encoded><![CDATA[<p>　妻と死別したばかりのウォルト・コワルスキーの心の支えは愛犬とフォードの名車72年型グラントリノだった。</p>
<p>　子供や孫たちはウォルトを疎ましく思い、ウォルトもまたも彼らを嫌悪する。<br />　愛犬を隣に座らせポーチの椅子で缶ビールを飲むこと、あらゆる工具の完備したガレージにあるグラントリノを磨き上げること、芝を刈ること、それが彼の日課だ。</p>
<p>　ウォルトがフォード社を勤め上げ、定年してからずいぶん時が経つ。<br />　かつては活気に満ちていたデトロイトも今ではすたれ、マイノリティのコミュニティに変貌している。</p>
<p>　ウォルトはそんな現実を憎んで差別語を吐き散らし、古き良き日々の記憶だけに生きている。<br />　「映画史上最も頑固で口が悪く、最も偏見に満ちたキャラクター」とパンフレットには記されている。</p>
<p>　ある夜、ウォルトは愛車を盗もうとした少年を発見し、ライフルを突きつける。蔑視して止まない隣家のモン族の息子だった。<br />　知り合いの不良グループから盗みを強制させられたのだ。</p>
<p>　少年は深く反省し、不良グループの誘いを断り続けるが、彼らは許さない。嫌がらせの暴力はエスカレートし、家が銃撃され、姉はレイプされる。<br />　ウォルトは少年と彼の家族のために起ち上がり、最後のクライマックスが訪れる。</p>
<p>　理不尽な暴力にひとりで立ち向かっていくクリント・イーストウッドの姿はダーティーハリーを彷彿とさせる…と思って観ている観客はラストシーンに驚愕させられることになる。</p>
<p>　ネタバレになるので触れないが、このウォルトのケリのつけ方こそ、イーストウッド自身の「おとしまえ」なのである。<br />　彼はやむにやまれぬ超法規的暴力の発動というアメリカ的正義の原型を体現してきた。しかしイラク戦争に示されるように一方的な正義の行使は暴力の連鎖を呼んだだけだ。</p>
<p>　「これはつぐないの物語なんだ」と脚本家ニック・シェンクは語る。<br />　「古き良きもの」の裏側に張りついたおぞましさに対するひとつの回答をこの作品は与えている。</p>
<p>　ウォルトは朝鮮戦争時代の制服や勲章、写真などを大切に保管していた。だが同時に朝鮮人殺害は古き良き記憶に刺さったトゲであり、ぬぐい去れないトラウマだった。<br />　モン族もまたベトナム戦争時にラオスで米軍に協力したため革命後に迫害され、多くがアメリカに逃れてきたアメリカ的正義の犠牲者なのだ。</p>
<p>　「どうにもならない身内より、ここの連中の方が身近に思える」とモン族のパーティーに招かれて独り言をつぶやいたウォルトは、遺言でグラントリノを少年に託した。</p>
<p>　「古き良きもの」は失われてしまったのではなかった。最も遠いと思われた他者とのつながりの中に引き継がれていったのだ。<br />　これはアメリカに対する絶望の映画ではなく、希望の映画である。</p>
<p>　（虎田五郎）</p>
<p>（<a href="http://actio.gr.jp/2009/06/01105843.html">２００９年７月号</a>掲載）</p>
<p>監督＝クリント・イーストウッド<br />製作年＝2008年<br />製作国＝アメリカ<br />原題＝Gran Torino<br />時間＝117分</p>
<p><iframe src="http://rcm-jp.amazon.co.jp/e/cm?t=actio-22&#038;o=9&#038;p=8&#038;l=as1&#038;asins=B001V9KBSA&#038;fc1=000000&#038;IS2=1&#038;lt1=_blank&#038;m=amazon&#038;lc1=0000FF&#038;bc1=000000&#038;bg1=FFFFFF&#038;f=ifr" style="width:120px;height:240px;" scrolling="no" marginwidth="0" marginheight="0" frameborder="0"></iframe></p>
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	</item>
		<item>
		<title>映評『地球が静止する日』（スコット・デリクソン監督作品）　蘇我畔太郎</title>
		<link>http://actio.gr.jp/2009/06/25110543.html</link>
		<comments>http://actio.gr.jp/2009/06/25110543.html#comments</comments>
		<pubDate>Thu, 25 Jun 2009 02:05:43 +0000</pubDate>
		<dc:creator>taketake</dc:creator>
		
		<category><![CDATA[映画レビュー]]></category>

		<guid isPermaLink="false">http://actio.gr.jp/?p=707</guid>
		<description><![CDATA[If the earth dies,you die. If you die,the earth survives.
地球が滅べば人類も滅びる　しかし人類が滅亡すれば地球は生き残れる


　或る日突然、宇宙の彼方から謎の [...]]]></description>
			<content:encoded><![CDATA[<p>
<span style="color: #008000"><strong>If the earth dies,you die. If you die,the earth survives.<br />
地球が滅べば人類も滅びる　しかし人類が滅亡すれば地球は生き残れる</strong></span>
</p>
<p>
　或る日突然、宇宙の彼方から謎の物体が地球に飛来する。マンハッタンのセントラルパークに着陸した物体から、一人の男と一体のロボットが姿を現した。男はクラトゥと名乗り、地球を救いに来たと語るが&hellip;
</p>
<p>
　『地球が静止する日』は、１９５１年にロバート・ワイズ監督が制作したＳＦ映画『地球の静止する日』のリメイク。主役の宇宙人＝クラトゥはキアヌ・リーブスが演じている。どことなく浮世離れした雰囲気がすごくＳＦ的でよかった。彼の宇宙人ぶりはスタートレックのミスター・スポックにも匹敵する。コンピュータ・グラフィックスで描かれた宇宙ロボットのゴートもかなりカッコよい。そういう意味ではＳＦ映画として十分成功していると思う。
</p>
<p>
　しかしネットの書き込みを散見すると、映画の評判はよろしくない。「陳腐だ」「プロットの構成が十分に練られておらず消化不良気味でわかりにくい」「シナリオの酷さを主演のキアヌ･リーブスのカッコ良さとコンピュータグラフィックスの凄さで誤魔化している」「金にものを言わせたハリウッド大作主義丸だし」「ムシの好かない映画」などなど、かなりの酷評である。
</p>
<p>
　確かにプロットが破綻してツッコミどころ満載になっているとの批判はあたっている。デリクソン監督は「映画のストーリーは十分今日に通用する」と判断して制作に着手したというが、実際は根幹部分が大きく変わっている。ロバート・ワイズのオリジナル版のテーマは人類に対するメッセージだった。ところが今回のリメイク版にはそれがない。はっきり言って本作の宇宙人は、人類を相手にしていないのだ。
</p>
<p>
<span style="color: #0000ff"><strong>＜進歩に希望託したオリジナル版＞</strong></span>
</p>
<p>
　オリジナル版では、クラトゥは地球外の進歩した文明を代表して人類に警告を与えにやってきた。原子力エネルギーを手に入れたもののそれを十分に制御できず、いつ全面核戦争に突入してもおかしくない状況にあった人類に対し、クラトゥは告げる。
</p>
<p>
　「決定的な破壊力を有した複数の文明が共存するためにはルールが必要だ。どんなことがあっても他人を攻撃してはいけない。もしもこの掟を破れば無敵のロボットによって組織された警察機構が発動して制裁が行なわれる。制裁には例外がなく徹底的だ。もしも人類が他の星を攻撃するようなことがあったら、ただちにロボット警察が出動して地球を灰にしてしまうだろう」
</p>
<p>
<img src="/old_files/mt/mt-static/FileUpload/pics/2009review/Day_the_Earth_Stood_Still_1951-420.jpg" alt="『地球の静止する日』" title="『地球の静止する日』" width="420" height="617" />
</p>
<p>
　ここには東西冷戦下の緊迫した社会状況が色濃く反映されている。同時にクラトゥの恐るべき警告は、人類が理性的に振舞えば「よりすぐれた文明」に到達できるとの期待が込められている。しかしこれを現代において語るのは大いに白々しい。
</p>
<p>
　チェルノブイリを経験した人類にとって、原子力は既に進歩の象徴ではない。「使い方さえ気をつければ」の話ではないのだ。政治家には期待出来ないが科学者の理性になら期待できる？　１９５０年代、アインシュタインは核軍拡競争に反対してバグウオッシュ会議の開催を世界の科学者に呼びかけていた。しかし今や科学者が理性を代表しているなんてとても考えられない。
</p>
<p>
<span style="color: #0000ff"><strong>＜人類を相手にしないリメイク版＞</strong></span>
</p>
<p>
　ポスト冷戦の現代、熱核戦争の危機は少し遠のいたが、国際紛争はなくならず、環境破壊は進行している。核兵器を使わなくてもこのままでは地球が壊れてしまいそうだ。このような地球に降り立ったキアヌ演じるクラトゥのメッセージはいかなるものなのか。
</p>
<p>
　キャシイ・ベイツ演じるアメリカ国防長官が大統領の代理としてクラトゥと対談する。「私達の星に何をしにきたの？」「君達の星だって？？」。クラトゥはオリジナル版と同様に各国の指導者と会談する席を要求するが、それが叶わないとわかるとさっさと退場してしまう。彼は人間と語り合うために地球に来たわけではないのである。この時点でオリジナル版と決定的に違う。
</p>
<p>
　そして地球の運命についての最終決定は、70年間地球に潜入している工作員との間で行なわれる。その席上に人類はいない。高齢の中国人男性の姿をした工作員は、クラトゥと中国語で対話し、人類について「破壊的な種族で、それは今後も変わらないだろう」と語る。
</p>
<p>
　「公式な報告か？」。頷づく工作員。「では決まりだ」。人類抹殺計画の発動が決定された瞬間である。ちなみに、この会談場所は街中のマクドナルド。なんだかゾクゾクするシチュエーションだ。
</p>
<p>
　クラトゥが地球にやってきた目的は警告でも制裁でもなく、人類の排除である。ジェニファー・コネリー演じる女性科学者にクラトゥは告げる。If the earth dies,you die. If you die,the earth survives.（地球が滅べば人類も滅びる。しかし人類が滅亡すれば地球は生き残れる）。
</p>
<p>
　この宇宙で多様な生物が生息できる星は僅かしかない。人類のためだけに地球が滅びることを黙認することはできない。人類抹殺に使われるのは顕微鏡サイズの微少な金属昆虫の大群。イナゴのように都市を襲い、人間とその文明の産物のみを木っ端微塵に破壊していく。対話もヘチマも無いのである。
</p>
<p>
<span style="color: #0000ff"><strong>＜破綻したシナリオは希望か絶望か＞</strong></span>
</p>
<p>
　スピルバーグが『未知との遭遇』や『ＥＴ』を撮る前は『地球の静止する日』のクラトゥは友好的な宇宙人の代名詞とされてきた。そのキャラクターやプロットを生かしながらの物語展開には無理がある。ツジツマが合わない部分が出てくるのは仕方ない。例えば人類抹殺が目的ならば、何故クラトゥは秘密裏に地球に潜入せず、公然と劇的な方法で姿を現したのか。
</p>
<p>
　理解不能なハチャメチャな部分を映像の力で誤魔化しているといえば、その通りかもしれない。それでも私はこのリメイクを面白い試みだと思う。半世紀前と比べても、時代は決して良い方向に向かっていないことを示しているからだ。
</p>
<p>
　東西冷戦が終わり、熱核戦争の危機を回避した途端、予期せぬ方向から新しい危機が次々舞い込んで来た。私達はまだどうしていいのかわからない。その訳のわからなさがクラトゥにそのまま反映されている。彼はわれわれに明瞭なメッセージを伝えることはできない。なぜなら何を伝えてよいかわからないからだ。ここにＳＦ的な誠実さを感じる。プロットの整合性を犠牲にしてでも大切にされなければならないもの、それは挑戦だ。今回のリメイク版は優れてＳＦ的なスピリッツに溢れている。
</p>
<p>
　マクドナルドで人類抹殺計画の決定が下された直後、キアヌ＝クラトゥは工作員に帰還を促す。しかし老人は地球に残るつもりだと語る。「ここが故郷だ。何故だかわからないのだが、私は彼らが好きなのだよ」。希望とはいつの時代も謎めいているものだ。
</p>
<p>
<a href="/2009/02/15061034.html">（１２８６号　２００９年２月２５日発行）</a>
</p>
<p><iframe src="http://rcm-jp.amazon.co.jp/e/cm?t=actio-22&#038;o=9&#038;p=8&#038;l=as1&#038;asins=B002PHBIHU&#038;fc1=000000&#038;IS2=1&#038;lt1=_blank&#038;m=amazon&#038;lc1=0000FF&#038;bc1=000000&#038;bg1=FFFFFF&#038;f=ifr" style="width:120px;height:240px;" scrolling="no" marginwidth="0" marginheight="0" frameborder="0"></iframe></p>
]]></content:encoded>
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		<xhtml:link rel="alternate" media="handheld" type="text/html" href="http://actio.gr.jp/2009/06/25110543.html" />
	</item>
		<item>
		<title>映評『精神』（想田和弘　監督作品）　精神障害者が全世界に自分をさらけ出した勇気　　山本真也</title>
		<link>http://actio.gr.jp/2009/04/09134859.html</link>
		<comments>http://actio.gr.jp/2009/04/09134859.html#comments</comments>
		<pubDate>Thu, 09 Apr 2009 04:48:59 +0000</pubDate>
		<dc:creator>taketake</dc:creator>
		
		<category><![CDATA[映画レビュー]]></category>

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		<description><![CDATA[タブーに挑戦した観察映画第２弾


　精神障害者と彼らをとりまく人々の日常をひたすら追い続けたドキュメンタリー映画『精神』。その撮影のほとんどは、私の働く岡山市の診療所と作業所で行われた。


　登場人物は全て顔見知り [...]]]></description>
			<content:encoded><![CDATA[<p>
<span style="color: #008000"><strong>タブーに挑戦した観察映画第２弾</strong></span>
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　精神障害者と彼らをとりまく人々の日常をひたすら追い続けたドキュメンタリー映画『精神』。その撮影のほとんどは、私の働く岡山市の診療所と作業所で行われた。
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　登場人物は全て顔見知り。現場で日々繰り返されている出来事が、いったいどんな映像作品になったのか？　一日でも早く映画を観たくなり、昨年10月、世界初上映となる釜山国際映画祭に駆けつけた。
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<span style="color: #0000ff"><strong>＜次のシーンが全く読めない＞</strong></span>
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　釜山映画祭はアジア最大規模のメジャーイベントで、内外から３００本以上の映像作品が集まる。韓流スター出演の大作や上野樹里主演の新作など、楽しい映画が他にいくらでもあるのに、果たしてわざわざこんな重苦しいテーマの映画を観に来る人がいるのか？　そんな心配をよそに、大きなシアターの席は若い観客たちで埋まった。
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　夜８時、映画『精神』の上映開始。作品は私の「ドキュメンタリー」概念と大きくかけ離れたものだった。監督の想田和弘氏が自ら「観察映画」と名づけた映像には、ナレーションもＢＧＭも、場の状況を伝えるテロップさえも一切ない。登場人物の誰が障害者で誰が健常者かの説明もない。
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　統合失調症患者が通う精神科診療所や精神障害者の作業所、ショートステイ施設。多くの人にとって馴染みのない場所が映し出され、その場で繰り広げられる人間模様をカメラは淡々と、しかし容赦なく追い続ける。カメラを持つ監督と同じ場に、自らも立っているような気持ちにさせる映画だ。そして自分の持つ経験と感性のみを頼りに、目の前に映し出された現実と対峙しなければならない。
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　あらかじめ起承転結があり、一つの結論へ導いていくようなドキュメンタリーに慣らされている私は、ずっと不安を抱えたままスクリーンと向き合うことになった。何せ次のシーンが全く読めないのだ。今この瞬間の自分の感情は、次のシーンでは裏切られるかもしれない。そのような緊張感のなか、２時間15分の長編作は実にスピード感に満ちていた。
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<span style="color: #0000ff"><strong>＜モザイクをかけずに公開＞</strong></span>
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　もう一つ、この映画が特別なのは、作品中に一切の「モザイク」をかけていない点だ。精神障害者など「社会的弱者」と言われる人たちが映像に登場する場合、日本では「本人の人権を守る」との理由で顔にモザイクを入れ、個人を特定できないようにするのが慣例となっている。
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　精神病院内を取材したテレビ映像など、画面のほとんどがモザイクで覆われ、声まで音声処理されて、何を訴えようとしているのかさっぱりわからない。そんなドキュメンタリー映像が当たり前だった私にとって、全ての精神障害者が顔モザイク無しで登場するこの作品は実に新鮮に感じた。精神病に対する偏見の強さを身をもって知り抜いている彼らが、堂々と自らの病歴や過去を語る姿は、勇気と誇りに満ちていた。
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　想田監督は「作品中に特定の価値観を持ち込むことを極力排した」と語っており、その姿勢は貫かれている。確かにこの映画は、観る人それぞれの様々な感じ方や結論を尊重する自由な映画だ。
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　だとすれば、私にとってこの作品の主人公は、医療者でも介護者でもなく、次々と登場する精神障害者たち一人一人である。カメラを通じて、文字通り全世界に自らをさらけ出した彼らの勇気が、果たして彼らのこれからの人生にとって吉と出るのか凶と出るのか？　それは分からない。この映画を多くの人が観ることで、精神障害者たちの置かれている状況が少しでも改善するきっかけとなるのか？　それも全くわからない。ただ彼らは、自らが生きてきた証を、堂々とフィルムに残した。その行為の尊さが全編を通じて私の心を揺さぶり続けた。
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　だがこの作品は、そんな安易な共感をも排除する。この映画に登場する精神障害者のうちの３名は、完成した作品を観ることもなく、自ら命を絶つなどで亡くなっている。観るものはその事実を作品の終了時に知らされることとなる。重い現実が再び観る者を突き放す。「こんな映画くらいで、簡単に分かったような顔をするなよ」。「あの世」からの声が聴こえるようだった。
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<span style="color: #0000ff"><strong>＜公開後に始まる新たな関係＞</strong></span>
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　監督の想田氏は、私の職場に撮影許可を求めに来た時、作品に「モザイクをかけない」「シナリオを描かない」「劇場での一般上映を目指す」の３点を約束した。彼はその全てを実現したのであり、心からの敬意を表したい。
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　『精神』は釜山国際映画祭で最優秀ドキュメンタリー賞を受賞した。ドバイ国際映画祭でも最優秀賞を受賞し、今年３月にはベルリン国際映画祭にも招待され好評を得た。この映画は世界中をまたにかけ、順調に走り続けている。
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　そしていよいよ、６月から東京を皮切りに日本全国での公開が始まる。映画に登場した精神障害者たちは、映画の評価が世界的に高まっていることを、少なくとも表面的には喜んでいる。
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　だが、いよいよ地元岡山での上映が始まれば、彼らの心には大きな動揺が広がると思う。自らが赤裸々に語った過去、現在を、例えば自分の親や子供、知人がスクリーンを通して初めて知ることになる。そのことに傷つき、調子を崩す人もあるだろう。最悪の事態が起こらないように、私も出来るだけのことをしようと思う。
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　だがリスクを犯さなければ伝わらない事実がある。監督も「この映画は一種の賭け」と語っている。得られるものより、失うものの方が大きいかもしれないが、今のままでもドン詰まり。「何か新しい関係性が生まれれば」との思いで私も監督の賭けに乗ったのだ。何が起こるかわからない国内上映だが、わくわくしながら待ちたいと思う。
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　<span style="font-size: 90%">映画『精神』は６月、シアター・イメージフォーラム他、全国順次ロードショー！<br />
　　釜山国際映画祭　最優秀ドキュメンタリー賞<br />
　　ドバイ国際映画祭　最優秀ドキュメンタリー賞<br />
　　マイアミ国際映画祭　審査員特別賞<br />
　配給・宣伝　アステア<br />
　▼公式ＨＰ<br />
　　</span><a href="http://www.laboratoryx.us/mentaljp/index.php"><span style="font-size: 90%">http://www.laboratoryx.us/mentaljp/index.php</span></a>
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<a href="/2009/04/01065421.html">（１２８９号　２００９年４月１０日発行）</a>
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<img src="/old_files/mt/mt-static/FileUpload/pics/2009review/mental.JPG" alt="『精神』（想田和弘　監督作品）" title="『精神』（想田和弘　監督作品）" width="350" height="197" /></p>
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